北アルプスを一望! 長野県の山岳都市・大町の裏山「鷹狩山」を自転車で駆け上がる その絶景たるや!!
北アルプスの玄関口、長野県大町市の鷹狩山では、激坂に挑み、絶景を眺め、博物館で学ぶ、山の魅力を一度に体感できる、特別なヒルクライムを楽しめます。
北アルプスの玄関口、長野県大町市と鷹狩山
北アルプス北部、後立山連峰の玄関口にあたる長野県大町市では、JR信濃大町駅から振り返ると、すぐ背後に標高1164mの鷹狩山(たかがりやま)が聳えており、市街地からの近さに驚かされます。

その名の由来は江戸時代にまで遡ります。周辺の山々で鷹の幼鳥を捕獲し、松本藩へ献上していたことから「鷹狩山」と呼ばれるようになったのだとか。山と共に暮らしてきた大町の人々の生活と歴史の一端を物語っています。
駅から登り口まではわずか1kmにも満たず、アクセスのしやすさは抜群。大町市街地は標高700mを超える場所に位置するため、あっという間に標高1000m以上の頂までヒルクライムできるのも、鷹狩山の大きな特徴です。
大糸線の踏切を渡ったらすぐに、ヒルクライムが始まります。スタート地点から見上げれば、はるか高みに展望台の姿があります。「あそこまで登るのか」と、目標になるとともに心が引き締まります。
全長は約4.5kmで平均勾配は9.5%です。数値だけでも十分に厳しさを物語っていますが、鷹狩山は「平均値」に騙されてはいけません。特に前半2.5kmの平均勾配は11%を超え、息をつく間もなく九十九折の急坂が続きます。
序盤で右手に現れる大町公園展望台にたどり着くころには、すでに標高を一気に稼いでいることを実感できるでしょう。
中盤になると一瞬「平坦?」と思える区間に入ります。しかし実際には6%前後の登りが続いています。前半の激坂との落差で錯覚しているだけなのです。脚を回してリラックスしながら終盤に備えましょう。
ラスト1kmは再び勾配が増し、8%以上の坂が最後まで続きます。そしてその先に待つのは北アルプスの大展望。脚の疲れが一瞬で吹き飛ぶようなご褒美が待っています。
山頂には絶景の展望台
鷹狩山の山頂には展望台が整備されています。階段を上がると、眼下には大町市街、その奥には後立山連峰の名峰が連なります。天気が良ければ鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、そして白馬岳といった、北アルプスの名だたる山々の大パノラマが広がります。
山頂付近には「恋人の聖地」のモニュメントも置かれています。『恋人の聖地プロジェクト』によって全国200カ所以上が選定されている、プロポーズにふさわしいロマンティックなスポットのひとつ。少子化対策と地域活性化が主な目的なのだとか。それも納得の景色です。
地元の人の話では、自転車だけでなくスカイランニングを楽しむ人も多いそうです。駅から徒歩でもアクセスできる立地ゆえ、様々な楽しみ方ができるのも、鷹狩山が愛される理由のひとつです。
市立大町山岳博物館
ここまで来たらぜひ訪れたいのが、ヒルクライムコース序盤にある「市立大町山岳博物館」です。大町は「岳の町」と呼ばれるほど北アルプスとの関わりが深く、ここでは、その文化や自然を深く知ることができます。

館内は3フロア構成です。1階では日本全体の登山史を、2階では立山連峰の成り立ちや動植物の生態を学び、3階には北アルプスを一望できる展望ラウンジがあります。
さらに隣接する附属園では、ニホンカモシカやフクロウ、さらには雷鳥まで飼育されており、こちらは無料で入場可能。ヒルクライムの達成感とともに、自然や文化への理解を深められる場所です。
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鷹狩山は、短距離ながら強烈な勾配がサイクリストを待ち受けています。しかしその先に広がる景色は、苦労をはるかに上回ること間違いなし。そして山岳博物館に立ち寄れば、自然や登山文化を学び、北アルプスをより多くの視点で味わうことができるようになります。
激坂に挑み、絶景を目に焼き付け、山の知を体感する……鷹狩山はまさに「脚と頭で感じる」ヒルクライムです。北アルプスの玄関口、大町にしかない体験を、ぜひ自転車で味わってみてください。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。













