軽自動車よりコンパクト!! ヘルメット不要で普免で乗れる 傾いて曲がるけど転ばない3輪EV!? ライダー目線で見た「Lean3」の正体とは
2026年1月に開催された『東京オートサロン2026』の「オートバックス」ブースで異彩を放っていたのが、3輪EVコミューター「Lean3」です。バイクのように車体が傾きながらも、操作は一般的なクルマと同じ。転倒しない3輪構造と先進制御を組み合わせており、ライダーにとっても無視できない存在です。
クルマは大きすぎる、バイクは割り切りが必要
バイクのように車体が傾き、操作は一般的なクルマと同じで転倒しない3輪構造と先進制御を組み合わせた「Lean3」が、2026年1月に開催された『東京オートサロン2026』の展示会場で異彩を放っていました。
開発したのはリーンモビリティ株式会社・代表取締役の谷中壯弘さんです。その出発点は非常にシンプルな疑問だったと言います。
クルマは5人乗りが当たり前ですが、実際の平均乗車人数は約1.3人。しかも日常の移動距離は短く、都市部では駐車スペースも限られています。CO2削減が求められるなかで、フルサイズのクルマを使い続けることに違和感を覚えたのが始まりでした。
一方で、ライダーの声にも耳を傾けると、「機動力は最高だけど、雨の日はつらい」、「夏は暑く、冬は寒い」、「転倒のリスクが気になる」といった本音も少なくありません。
そこで谷中さんが目指したのが、「バイクのサイズ感」で、「クルマの快適性」を備えた乗りもの。それがEVコミューターの「Lean3」です。
操舵に合わせて車体が傾く「リーン機構」の正体
「Lean3」最大の特徴は、コーナリング時の「リーン(傾き)」です。ただし、ヤマハの3輪スクーター「トリシティ」(フロント2輪、リア1輪)のように、ライダーの体重移動で傾く構造とは根本的に異なります。

操作はクルマ(AT)と同じで、アクセル、ブレーキ、ハンドルのみ。車速とハンドル角から旋回Gを演算し、横Gと重力が釣り合う角度まで、車体が自動で傾きます。この動作はアクチュエーターによって制御され、すべてECUが管理するとのこと。
さらにステア・バイ・ワイヤを採用しており、ハンドルと前輪は物理的につながっておらず、操作は一旦センサーで読み取られ、最適な舵角とリーン角が計算されます。
谷中さんは「ロボットのような構造」と表現していましたが、その言葉どおり、「Lean3」は制御技術の塊と言えます。この高度な制御により、どんな状況でも転倒しないことを前提に設計されているのです。
低速では自動で直立し、旋回中に強くブレーキをかけても姿勢が破綻することはないそうです。
普段バイクを運転している人が試乗すると、「最初は違和感を覚えるものの、数分で慣れるケースがほとんど」と谷中さん。特に驚かれるのが、「旋回中にフルブレーキングしても倒れない」という点です。これについては、「白バイ隊員からも驚きの声が上がったほど」と谷中さんは胸を張ります。
「原付ミニカー」という現実解と、「Lean3」が示す未来
日本仕様の「Lean3」は第1種原動機付自転車(ミニカー)区分となり、最高速度は60km/hに制限されます(青ナンバー)。
一方、海外では最高80km/h仕様や2人乗り仕様も展開予定です。台湾向けモデルでは後席にISOFIX対応チャイルドシートの装着も可能で、送り迎え用途のニーズも高いとのこと。
そのため、現車ではタンデムシートがありますが、国内では当然2人乗り不可。その代わり、荷物置き場として大いに活用できそうです。
また、エアコン付き、雨に濡れない、ヘルメット不要という点は、バイクにはない大きな魅力です。
気になる価格(消費税10%込み)は169万8000円とのこと。国の補助金を活用すれば、実質150万円前後まで下がる見込みです。多数のセンサーやアクチュエーター、複雑な制御システムを搭載していることを考えると、かなり踏み込んだ価格設定と言えるでしょう。

ちなみに、「オートバックス」ブースで展示されていたことからも分かる通り、全国のオートバックスでも販売予定ということです。
車体がコンパクトなので、1台分の駐車スペースに2台駐車できる点も、都市部では見逃せないポイントです。
小型モビリティを長年研究してきた結果、リーン機構を使わずに安定性を確保しようとすると、車幅は1mを超えてしまうそうです。それでは軽自動車と変わりません。
このサイズで、ちゃんと走れて、ちゃんと曲がる。その答えが「リーン」でした。
どうやらバイクやクルマの代用品でもないようで、都市での移動をもっと合理的に、そして少し楽しくするための新しい選択肢。「便利だから」ではなく、「運転が楽しい」……そんな感覚が、ライダーにも刺さると言えそうです。
Writer: 佐賀山敏行
カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。















