「余裕」という贅沢に変換してくれるのがドゥカティ「ムルティストラーダV4 S」の魅力!! ~高梨はづきのきおくきろく。~

毎月「8」がつく日は『高梨はづきのきおくきろく。』です。今回は、ドゥカティの大きな旅の相棒「ムルティストラーダV4 S」の魅力についてお届けします。

自動的に車高が下がってくれる!

 皆さんこんにちは、バイク女子の高梨はづきです!

 本日はイタリアのバイクメーカー、ドゥカティの「Multistrada V4 S(ムルティストラーダ・ブイ・フォー・エス)」をお届けしていくよ!

 シャープなフロントマスクに、どんと構えた容量22Lの大きな燃料タンクは正直、最初は少し身構えた。「大きい」、「重そう」、「アドベンチャーらしい迫力」そんな第一印象だった。

 でも、視線をそのままシートに落とした瞬間、少し冷静になる。前方がくびれたシート形状で、「あ、これなら私でもいけそう!」と、思えたことで気持ちが一旦落ち着いた。

ドゥカティ「Multistrada V4 S」と、バイク女子の高梨はづきさん
ドゥカティ「Multistrada V4 S」と、バイク女子の高梨はづきさん

 またがってみると、ニーグリップはしやすい。でも気を抜くと脚が少し開くくらい、どっしりと乗れてしまう。バイクにすっぽり収まる感覚で、車体が懐深く受け止めてくれる。それがそのまま安心感につながっているんだね。

 私が乗ったのはローシートとローサスペンションを組み合わせた仕様で、シート高は795~815mm。身長158cmの私で、停車時は踵がほんの少し浮く程度。両足でしっかり地面を捉えられるから驚き! さらに、低速時(およそ30km/h以下)で車高が自動的に下がる電子制御が入っている。

 正直に言うと、私はそれにまったく気づかなかった。それくらい自然だった。たぶんそれは、最初から「不安」がなかったからだと思う。

 走り出して、まず拍子抜けした。想像していた重さが、そこになかったから。車重232kgながら、車体は大きいのに動きは驚くほど軽やか。信号からの発進も、コーナーの入口も、スッと前に出る。マスの集中化という言葉を、理屈ではなく感覚で理解させられる。

 搭載される排気量1158ccのグランツーリスモV4エンジンは、170psという数字を持ちながら、とにかく荒々しくない。低回転からトルクはしっかりあるのに、背中を乱暴に押される感じがない。

 スロットルを開けると、引っ張るでも突き飛ばすでもなく、ただ自然に前へ連れていってくれる。神経をすり減らさなくても、バイクのほうがすべてを整えてくれていた。

ドゥカティ「Multistrada V4 S」に試乗する高梨はづきさん。車重232kgで大きな車体なのに、動きは驚くほど軽やか
ドゥカティ「Multistrada V4 S」に試乗する高梨はづきさん。車重232kgで大きな車体なのに、動きは驚くほど軽やか

 そしてもうひとつ、安心感につながっていたのがハンドルまわり。大きめのナックルガードが常に視界に入り、手元が守られているという感覚を与えてくれる。防風や飛び石対策だけでなく、心理的にも「旅バイク」だと実感させてくれる装備だった。

 高性能なバイクほど、どこかで「覚悟」や「気合」を求めてくる。でも「ムルティストラーダV4 S」は違った。怖さがない。恐怖がないから、体が固まらない。余計な緊張がなく、自然体のまま走り続けられる。それは性能というより、気遣いに近い。

 電子制御サスペンション、トラクションコントロール、コーナリングABSなど、すべてが「速く走らせる」ためではなく、ライダーの余力を削らないために使われている感覚だった。

 ライディングモードも複数用意されているけれど、今回の試乗では、すべてを試す余裕は正直なかった。それでも、基本状態の完成度が高すぎて、「変えなくても十分」と思えてしまったのが本音かな。

「ムルティストラーダV4 S」は、乗り手を試すバイクではない。乗り手を守りながら、心の余白を残してくれるバイク。

 試乗を終えて思ったのは、「このバイクの底力を見ることなく終わった」という事実だった。でも、それでいい。むしろ、それが正解なのだと思う。

 公道で限界を試さなくても、速くて、楽しくて、安心できる。その圧倒的なポテンシャルが、そのまま「余裕」という贅沢に変換されている。

 ツーリングも、ワインディングも、高速道路も、すべてをちゃんと楽しませてくれるのに、ライダーに無理をさせない。だからこのバイクには、「速かった?」よりも「余裕、あったでしょ?」と聞きたくなる。

「調子に乗ると危ないかも」……ドゥカティ「Multistrada V4 S」に試乗する高梨はづきさん
「調子に乗ると危ないかも」……ドゥカティ「Multistrada V4 S」に試乗する高梨はづきさん

 ただし、Uターンや低速域になると、このバイクの正直さが顔を出す。フロント19インチの存在感は、やはり大きい。軽々しく振り回せるタイプではないし、慣れないまま雑に扱えば、慣性はきちんと主張してくる。

「調子に乗ると危ないかも」……そう思わせる予感が残されているのは、むしろ好印象だった。電子制御で完璧に武装されていながら、「丁寧に向き合う道具」であることを、きちんと伝えてくる。

 そんなふうに走りの完成度に感心しきったところで、ふと視界に入ったのが、燃料タンクの上だった。思わずタンク上のスマホ収納スペースを2度見してしまった。

 iPhoneだと、普通サイズでも入るのか怪しいサイズ。ケースを付けていたら、なおさらだ。たぶん、SEくらいじゃないと素直には収まらなさそう。

 でもこれ、不親切なのかと言われると、たぶん違う。最初からスマホを主役にする気がない。操作は6.5インチのTFTディスプレイとハンドルスイッチに任せて、スマホは「触るもの」じゃなく、「しまっておくもの」。画面を確認するより、目の前の景色とV4エンジンの鼓動に集中してほしい。

 この小さな収納スペースは、そんなドゥカティからの無言のメッセージみたいに感じた。スマホは旅の途中で取り出すものじゃない。走り終えたあとに、ログとして振り返るための相棒。ライダーにそう割り切らせる。

燃料タンクに装備された、充電も可能なスマートフォン専用の収納スペース。サイズはだいぶ小さめ
燃料タンクに装備された、充電も可能なスマートフォン専用の収納スペース。サイズはだいぶ小さめ

 そしてもうひとつ、面白い優先順位がある。ライダー側だけじゃなく、パッセンジャー側にもしっかりとシートヒーターが備わっているけど、グリップヒーターは標準装備されない(※日本仕様)。

「自分の指先くらい、装備や工夫でなんとかしなさい」そんな少し突き放した視線を感じる一方で、後ろに乗る人には、最初から最大限の快適さを用意している。

 もしかしたらメーカー的には、購入後にオプション追加するにしても、グリップヒーターより、シートヒーターを後付けする方が大変だから……みたいなところもあるかもしれない(笑)

「ムルティストラーダV4 S」は、1人で走っても、もちろん楽しい。けれど、大切な誰かを後ろに乗せて、同じ風を受けて走ったときに、このバイクが持つ「余裕」という言葉の意味が、ようやく完成する。

 速さを誇るバイクじゃない。余裕を惜しみなく渡してくる。そんなバイクだったよ。

 ということで本日はここまで! また「8」のつく日にお会いしましょ~♪

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Writer: 高梨はづき/hapi

(役者/YouTuber)17歳で普通自動二輪免許取得し、当時の愛車はホンダCB400T。声優を目指して専門学校に入学後、勉学に専念するため同車を手放し一時バイクを離れる。2020年3月にカワサキ・エストレヤを購入し、数年ぶりにバイクの世界にリターン。声優活動を経て、現在は舞台役者・バイカーモデルとして活動中。同時に"hapi"名義でYouTubeチャンネルを開設、自身のバイクライフをマイペースに投稿してます!チャンネル登録お願いします!!

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