女性にも優しいイタリアンカフェレーサー!! ドゥカティ「Scrambler Cafe Racer(スクランブラー カフェレーサー)」
ドゥカティ「スクランブラー カフェレーサー」は、若干高めのシート高も車体の軽さと軽快なハンドリングで“乗りづらい”というカフェレーサーの概念を覆すような乗り心地の良さを実現しています。
ビックリするほど乗りやすいイタリアンカフェレーサーとは?
これはかっこいい? ぱっと見でこのバイク「素敵!」と心ひかれた人も多いのではないでしょうか? ブルーのフレームにブルーのシート、そしてシルバーのタンクにゼッケンプレート。カスタムしていないのにこの仕上がりですよ。量産車にこんなこだわりを魅せるなんて、イタリアンメーカーならでは。
しかし、一般的にカフェレーサースタイルとは、低く垂れ下がったセパレートハンドルが特徴的で、前後に長いタンクが装備されたりして、乗る体制(ポジション)がめちゃくちゃキツかったりするんです!
お腹がタンクにべったり付いてしまうほどの前傾に加えて、遠いハンドル、かっこいいのにこれは無理ですー!と、いったカスタムがほとんどだったのですが…。このDUCATI スクランブラー カフェレーサーはびっくりするほど乗りやすい。ちゃんと見た目がカフェレーサーなのに、程よい前傾でレーシーな気分を盛り上げ、タンクも大きすぎず、足つきも程々に良い感じ。そして、空冷の800ccLツインエンジンが穏やかで操りやすく、身構えていたのが馬鹿らしくなるくらいでした。
カフェレーサーといえば、バイクの歴史において最もカルチャーに影響を与えたカスタムスタイルのひとつ。60年代に反骨心を持つ若者たちが、速く走るために作りあげた公道レーサーがその元となっています。このドゥカティの「スクランブラー カフェレーサー」は、スクランブラーなのにカフェレーサー? とちょっと頭の中にハテナマークが浮かんでしまうようなネーミング。しかし、ドゥカティの「スクランブラー」は、レーシーなイメージが強いドゥカティから発進される、いわばカジュアルラインで、バイクのスタイルではなくブランド名となるのです。
「スクランブラー」シリーズは、空冷Lツイン803ccエンジンを搭載している車両がメインで(他に1100ccもあり)、その尖っていないフレンドリーさが特徴となっています。シリーズ名と捉えたら、カフェレーサーがあってもおかしくない、ということなんです。
スクランブラーにカフェレーサー、どちらも60年代に流行したスタイルであり、それをドゥカティが現代的に表現するとこの形になるということなのです。
「スクランブラー カフェレーサー」の2019年モデルは、マットなアイスシルバーにブルーをアクセントにしたカラーリングが採用されており、このカラーは125GP Desmoを始めとする、ドゥカティの往年のスポーツバイクからインスパイアされています。カジュアルに楽しむためのモデルとはいえ、こういったところにもMotoGPやワールドスーパーバイクなど、世界最高峰のレースに積極的に挑んでいるドゥカティらしさが、忘れずに表現されているのです。
そして、先にも書きましたがカフェレーサーの特徴といえば、低く垂れ下がったセパレートハンドルで、腕が短めの女性にとっては、まずここが鬼門となるのですが、これが辛くないのです。実際に跨ってポジションをとってみても、ハンドルの位置は見た目よりも低くなく、腕が伸び切ることもないので、あ、やばいこれ、乗れない。という恐怖心はあまり生じないでしょう。
足着きはというと、シート高が805mmと若干高めではありますが、身長157cm(体重49kg)でも、両足のつま先は届きます。シート高が800mmを超えると、ちょっときついかな? と感じることが多いのですが、車重が196kgと軽いので片足でも耐えられる重さ。バイクに慣れている人であれば、無理することなく、身長が高い人であれば気軽に乗れるサイズといえます。
車両を走らせても軽快で、気苦労するところがほとんどなく、“乗りづらい”というカフェレーサーの概念を覆すような乗り心地。先代モデルは、発進や低速時にギクシャクするところが多少あって、ちょっと気を使うところがあったのですが、19年モデルはそれがなくなり極めてスムーズになっていました。軽快で安心感が高く乗りやすい! クラッチも軽く、低速域でのトルクがあるので渋滞や発進で神経質になることもありません。
高速域までしなやかに吹けあがり、心地よい加速感が味わえるのですが、800ccの大型を操っているという気負い感を感じさせないところが気持ちいい。素直に思い通りに操れるところは、見た目のトンガリ具合からは想像できない楽しさが味わえます。
見た目だけで選んでも、これはありでしょう! 気負いなく乗れるカフェレーサー、乗る人によってスタイルが変わる、そんな素敵バイクなのでした。
【了】