なぜ人気? 大きくて重い、けど優れた快適性と運動性能を持つ「アドベンチャーバイク」を知る
日本や海外のバイクメーカーにラインナップされる「アドベンチャーバイク」というカテゴリーは、いったいどのようなモデルを示すのでしょうか?
アドベンチャーバイクの特徴とは?
いま「アドベンチャーバイク」が人気です。この表現はバイクのジャンル分けを示す言葉であり、スポーツバイク、ツーリングバイク、オフロードモデル、スクーターなどと同様のものだと理解して下さい。
その特徴は、高速道路のクルージングやワインディングでのハンドリングの楽しさなど、高い舗装路性能を持ち、同時にどのような路面でも走破できるサスペンション、タイヤチョイスがされていて、なおかつ荷物の積載能力に優れ、パッセンジャーを乗せてのタンデム(2人乗り)性能にも長けていること。そして、どこかプレミアム感を持ったパッケージであること、などです。
つまり、ツーリングバイク、スポーツバイク、オフロードバイク、そしてメーカーを代表する顔も持ち合わせるバイク、そう置き換えることもできそうです。各カテゴリーのバイクが持つ特性の中から、ふさわしい部分を集合し、パッケージにしたのがアドベンチャーバイクと言えるのです。
代表的なアドベンチャーバイクとは?
では、どのようなバイクを「アドベンチャーバイク」と言うのでしょうか。まずアドベンチャーバイクとして代表的な機種を羅列します。
日本メーカーでは、1100エンジンを搭載した新型がリリースされたばかりのホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」をはじめ、2020年夏以降に発売予定とのアナウンスがされたヤマハ「テネレ700」、逆輸入車として展開するヤマハ「スーパーテネレ1200」、スズキには「Vストローム1000」シリーズと「Vストローム650」シリーズがあります。
また、輸入ブランドでは、BMW Motorradの「GS」シリーズ、ドゥカティの「ムルティストラーダ」シリーズ、KTMの「アドベンチャー」シリーズ、トライアンフの「タイガー」シリーズなどが代表格で、モトグッツィからも「V85 TT」というモデルが展開されています。
例えば、ホンダの「400X」、「NC750X」、「VFR800Xクロスツアラー」、ヤマハの「トレーサー」シリーズ、カワサキの「ベルシス」シリーズなども、広義で言えばアドベンチャーに含まれますが、オフロード性能よりも舗装路での快適性に軸足を置いた、「クロスオーバー」性に長けたモデル達、と表現したほうがわかりやすいでしょう。
ただし、これらのモデルやドゥカティのムルティストラーダの一部など、前後17インチホイールを履く車体でも、ライダーがこうした重量車でオフロードを走ることに慣れてさえいれば、意外な行動半径の広さを持つことは言うまでもありません。ライディングポジションからくるコントロールのしやすさという点でも、ロードバイクよりもダート路に親和性があると言えるでしょう。
【了】
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。