日本メーカーの活躍が印象的だった2020年 新技術搭載の海外モデル上陸に期待が高まる2021年

『バイクのニュース』へ寄稿くださっているライターの方々に、2020年の振り返りと2021年の展望を伺いました。海外のオフロードレース参戦経験を持ち、大型アドベンチャーから最新スーパースポーツまで、試乗や取材レポート、プロモーション映像など2輪メディア業界で活動中の松井勉さんの考察です。

迫りくる環境変化に翻弄されながら、記憶に残る幾筋かの光明

 これまでも人生様々な変換点がありました。その意味では2020年もそのひとつ。生活様式に強制変更の必要に迫られた年でした。もちろん、コロナ禍を受けてです。

海外メディアローンチでBMW Motorrad新型「F900XR」に試乗する筆者(松井勉)

 2020年1月下旬。新型機種のメディアテストでスペインに出ました。太陽の下、走らせる新機種の変化を感じ取り、開発者とも顔合わせができた貴重な時間でした。2月上旬に跨がったその取材から戻ると、新型コロナウイルスの感染拡大という世界規模の話題が浸透し始めます。

 日本に戻ってすぐ、ニュージーランドでのアドベンチャーイベントの取材に出た2月4日、空港のチェックインカウンター周辺に居る人のだれもがマスクを着用しています。そして2月17日に戻る頃、世界は完全にウイルスに翻弄されています。3月上旬、再びスペインへと向かう出張の前には「こんな状況なので不参加でもかまいません」との意思確認まで。もうマスクなしに空港に居る人など皆無、アジア系の人の流れが激減したのを感じます。その後、モーターサイクルショーの中止、長いロックダウン生活が始まることに。

 そんな中、2020年はユーロ4からユーロ5へとバイクの環境規制が変化する年でもあり、新型が多くリリースされました。販売目標を軽々越えて見せたホンダ「CT125・ハンターカブ」、大注目のカワサキ「Ninja ZX-25R」の人気も高いものに。

 そして通っているバイク屋さんでも「売上ガタ落ちを覚悟したものの、実は昨対まったく悪くないんですよ」と、バイク業界が平常運転である話が耳に入ることで、2020年でバイク業界が過去のものに、という春の想定は霧消することに。

 確かにコミューター系小排気量モデルの目撃率は増え、夏以降、ライダー達が元気にツーリングする姿を多く見ています。アウトドア系アクティビティも延びたとのことなので、“密”を避けながら移動ができて、趣味マインドも満たせる遊びの時代は今しばらく続くのだろうと想像します。

 そんな不透明な中、スズキが創業100周年、モータースポーツ活動開始から60周年、前回のタイトル獲得から20年目、という2020年、MotoGPライダー&チームタイトルを獲得。ジョアン・ミル選手は2年目での快挙達成。

 振り返れば、何もかも記憶に残る年でした。

新技術搭載車への期待と、あらためて感じるバイクツーリングの尊さ

 2021年、多くのメーカーから新機種が導入されます。環境規制ユーロ5が施行されるのに合わせたモデルチェンジなど、2020年から続いたその動きは後半パートに。そして、本格的なモデル移行が始まります。

新型ドゥカティ「Multistrada V4(ムルティストラーダV4)」は、前方用/後方用レーダーシステムを搭載する世界初のモーターサイクル。排気量1158ccのV4エンジンを搭載

 海外ブランドの中には、2020年に発表されたものでも、ロックダウンの影響で生産スケジュールに遅延が生じたものも多く、充分な供給量が得られなかったモデルもあるようなので、実質2021年が本格再開となる模様です。

 その中の注目株のひとつが、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を採用したモデルが上陸することです。ドゥカティからは「ムルティストラーダV4」、BMW Motorradの「R1250RT」などに搭載される予定です。

 レーダーを使ったものは4輪ではすでにポピュラーであり、CCDカメラとの併用で精度を高める手法を採る中、2輪のそれがレーダー波のみでどのような性能を確立しているのか。ムルティストラーダのレーダーは同時にブラインドスポットモニターも兼ねるそうで、この精度、利便性も気になります。2016年からBMW Motorradの「C650GT」に採用されている音波式(4輪のコーナーセンサーと同様超音波をつかったもの)とどんな違いがあるのかも気になるところ。

 ハーレーダビッドソンからは、同社初のアドベンチャーツアラー「Pan America(パン・アメリカ)」が投入される予定です。ホンダも続々新機種、継続機種のアップデイト版を発表しているように、全体的には明るい話題が多い1年になる見込みです。

 個人的な希望としては、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、ワクチン、対処薬など早期に有効性の高いものが必要なだけ市場に投入されることです。そして、それが2019年までの風邪薬のようにポピュラーになれば、再び自由にバイクツーリングを楽しめるはず。北海道10日間とか、日本一周だって、現時点で考えたら、本当に尊いものに感じます。

 2021年、そんな日が早く来てくれることを祈りつつ期待に胸を膨らませます。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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