水冷Vツインエンジン搭載のハーレー新型「スポーツスターS」 どこがスポーツスター新時代? 実車をチェック!

2021年7月14日に世界同時発表されたハーレー・ダビッドソンのニューモデル「Sprtster S(スポーツスター・エス)」は、水冷エンジンを搭載した新世代の「スポーツスター」です。日本にはまだ1台のみというプロトタイプを見てみましょう。

新世代「スポーツスター」、「S」から始まるレボリューション

 2021年7月14日に世界同時発表されたハーレー・ダビッドソンのニューモデル「Sprtster S(スポーツスター・エス)」は、水冷エンジンを搭載した新世代の「スポーツスター」です。1957年に始まったスポーツスターの歴史が大きく書き換えられました。

ハーレー・ダビッドソン新型「スポーツスターS」 ※写真は日本モデルプロトタイプ

「REVOLUTION MAX 1250 T(レボリューションマックス1250T)」と名付けられた可変バルブタイミングを採用した水冷DOHC60度Vツインエンジンは、最高出力が121HP、最大トルクが125Nmという今までの「スポーツスター」からは考えられないほどの高出力となっています。

 これは先行して販売されたハーレー初のアドベンチャーモデル「Pan America(パン・アメリカ)」と同型のエンジンですが、トルク重視のチューニングが施こされています。エンジン名称の「T」はトルク(Torque)の意味とのこと。

 現代の大型バイクの装備としては標準になっていますが、新型「スポーツスターS」にもあらかじめ設定された3つのライディングモード(スポーツ、ロード、レイン)に加え、出力特性、エンジンブレーキ、ABS、トラクションコントロールなどの設定を任意で選択可能なカスタムモードも備えています。

エンジンは排気量1252ccの水冷DOHC60度Vツイン「REVOLUTION MAX 1250 T(レボリューションマックス1250T)」を搭載 ※写真は日本モデルプロトタイプ

 スピードメーターはクラシックな丸型ですが、中身は多機能なデジタルメーターとなっており、Bluetoothでスマートフォンを接続することもできます。

 空冷モデルの「Iron 1200(アイアン1200)」の車両重量256kgと比較すると「スポーツスターS」は228kgと軽量化された車体にハイパワーのエンジンが搭載されています。
「ハーレー」=「クラシカル」という図式を打ち破る、正に「Revolution(革命・変革)」を体現したモデルだ、と筆者(増井貴光)は感じました。

 世界同時発表と同日に『南箱根バイカーズパラダイス』で開催されたパブリックビューイングでは、ハーレー・ダビッドソン・ジャパン(HDJ)の田中さん(ご自身もハーレー「Forty-Eight」に乗る)から車両説明がありました。

 身長156cmの田中さんが「スポーツスターS」にまたがり、「Foty-Eight(フォーティエイト)」と比較すると755mmのシート高はやや高いものの、車体がスリムなので足つきは全く問題なく、ステップが着座位置よりも前方にあるフォワードコントロールも違和感は無いとのこと。もし気になるなら、オプションのミッドコントロール(着座位置の真下に近い位置にステップがある)に交換することもできるなど、女性目線でのインプレッションも参考になりました。

車体がスリムなため、身長156cmの田中さん(HDJ)でも755mmのシート高は苦にならないという

 2-1-2ハイマウントエキゾーストと、シートからテールまわりのデザインは、ハーレー・ダビッドソンのレース用バイク「XR750」からインスパイアされたそうですが、フロント17インチ、リア16インチのホイールにはフロントに160、リアに180というファットタイヤを履き、フォワードステップなどで形成されるライディングポジションは人気モデルである「フォーティエイト」を彷彿させ、ロー&ロングのスタイルはドラッグレース的でもあります。

「スポーツスターS」を全世界に発表したビデオ「From Evolution to Revolution」の中で、デザイナーは「さまざまな世代のスポーツスターから象徴的なデザインの要素を取り込みたいと思いました」と語っています。つまりこれは「スポーツスターの歴史を凝縮させたデザイン」と言っても良いのかもしれません。

 そしてこのビデオでは、新型「スポーツスターS」の位置付けを「最初の一手は、ワイルドなものにしたかった」と説明しています。まずはインパクトのあるモデルを出すことで、新世代「スポーツスター」の印象を強くした、ということでしょうか。

 さらに後半では「スポーツスターならではのクラシックな形の要素をうまく活用したモデルが将来登場する」という言葉と共に「S」ではない新世代スポーツスターらしきバイクのクローズアップが映されます。

新型「スポーツスターS」のスタイリングはこれまでの「スポーツスター」の象徴的なデザイン要素を取り込んだ独特なもの ※写真は日本モデルプロトタイプ

 ハーレー・ダビッドソンが起こす「Revolution=革命」は、今まさに新型「スポーツスターS」から始まるのです。

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 新型「スポーツスターS」の価格(消費税10%込み)は、「ビビッドブラック」が185万8000円、「ストーンウォッシュドホワイト」と「ミッドナイトクリムゾン」が188万7700円です。

【了】

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Writer: 増井貴光

旅をライフワークにバイク専門誌などで活躍するカメラマンでコラムニスト。国内だけでなく、アメリカでランドスピードレースやドラッグレースの撮影を続けている。著書としてユタ州ボンネビルで最高速に挑戦するライダーを撮影した写真集『bonneville』と、ルート66を実際に走って撮影した『movin’on』がある。また撮影だけでなく、イベント等の企画・運営にも携わるなどその活動は幅広い。愛車はハーレーFLTRXS、ホンダXR250とCT110

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