一体なぜ? バイクのヘッドライトがオフにできない理由

クルマとは違い、日本国内で現在新車販売されているバイクは、原則ヘッドライトをオフにすることができません。なぜ、バイクのヘッドライトは、オフにできないのでしょうか?

視認性向上を目的に、自主規制から義務化へ

 街を走るバイクを見ていると、そのほとんどすべてがヘッドライトを点灯した状態であることに気が付くと思います。夜間やトンネルなどでヘッドライトを点灯させるのは当然ですが、太陽が明るい日中でもヘッドライトをオフにしているバイクを見かけることはあまりありません。

 クルマの場合、どんな車種でも基本的にヘッドライトのON/OFFを切り替えるスイッチが備えられていますが、バイクの場合、そもそもヘッドライトのON/OFFを切り替えるスイッチは搭載されておらず、エンジンの始動と連動して点灯する仕組みとなっていることが一般的です。

 ではなぜ、バイクとクルマでこのような違いがあるのでしょうか。

ヘッドライトを光らせるホンダ「CBR650R」
ヘッドライトを光らせるホンダ「CBR650R」

 かつてのバイクは、クルマと同様にヘッドライトのON/OFFを切り替えるスイッチが備えられていました。しかし、増加するバイクの大事故を防ぐために、1989年には「バイクは昼間もライト・オン」という啓蒙活動が、日本自動車工業会や日本二輪車安全普及協会主導により、展開されることになります。

 これは、昼間もヘッドライトを点灯することで、ほかの車両などからの視認性を高めることが目的でしたが、バッテリー上がりなどの懸念があることから、ライダー達からの不満も少なくありませんでした。

 そこで、バイクメーカー各社は、ヘッドライトのON/OFFを切り替えるスイッチがそもそも備わっていないバイクを発売するようになり、その結果、街を走るバイクのほとんどがヘッドライトを常時点灯した状態となったのです。

 その後、1998年に道路運送車両法が改正され、以降に発売されるバイクはヘッドライトの常時点灯が義務付けられるようになりました。つまり、当初はあくまでバイクメーカー各社による自主規制という意味合いが強かったものが、法律によって義務化されることになったのです。

 なお、道路運送車両法の改正前に製造されたバイクについてはヘッドライトの常時点灯義務はありません。

 とはいえ、法改正からすでに20年以上が経過しており、街を走るバイクのほとんどが改正後に製造されたものとなっているため、現在では、ほとんどのバイクが昼間もヘッドライトを常時点灯しているということです。

「DRL」の装着で常時点灯しなくてもOKに!

 一方、比較的年式の新しいバイクでも、ヘッドライトが常時点灯していない車両を見かける場合もあります。実は、2020年の道路運送車両法の改正によって、条件次第でバイクのヘッドライトの常時点灯を行わなくて良いことになりました。

 その条件とは、「デイタイム・ランニング・ライト(DRL)」が装着されていることです。DRLは、昼間でも薄暗いことの多い北欧において、クルマやバイクの視認性を高めるために装着されるようになったのが発祥とされており、その後ヨーロッパやほかの地域へも広まっていきました。

国内モデルとしては初めてDRLが搭載されたホンダ「X-ADV」
国内モデルとしては初めてDRLが搭載されたホンダ「X-ADV」

 現在では欧州で販売されるクルマにはDRLを備えることが義務化されており、日本でも2016年から正式に認められるようになりました。そして2020年の改正でバイクでもDRLが認められるようになり、ホンダ「X-ADV」が国内モデルとしては初めてDRLを搭載したバイク、つまりヘッドライトの常時点灯義務のないバイクとなっています。

 現状、DRLを備えたバイクというのはそれほど多くはありません。ただ、特にヨーロッパ向けのバイクではDRLが標準装備となっていることが一般的であるため、今後は輸入車を中心に、DRLは普及していくと見られています。

 注意しなければならないのは、現在の道路運送車両法では、ヘッドライトとDRLの同時点灯が認められていないという点。つまり、既存のバイクに単にDRLを後付けするだけでは、保安基準に適合しないことになります。

 デザイン上のアクセントになることも多いDRLですが、現在の道路運送車両法では、既存のバイクに後付けすることは難しいということは覚えておいて方が良いでしょう。

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