【電動バイクレースMotoE第4戦オランダ大会】大久保選手、マシントラブルに見舞われるもレース2は11位で終える
2022年6月25日、26日に電動バイクレース『FIMエネルMotoE World Cup』第4戦オランダ大会の決勝レースがオランダのTT・サーキット・アッセンで行なわれ、大久保光選手はレース1を13位、レース2を11位で終えました。
2022年シーズン折り返し、第5戦に向け気持ちを切り替える
電動バイクによって争われる世界選手権『FIM Enel MotoE World Cup』(以下、MotoE)の第4戦オランダ大会の決勝レースが、2022年6月25日(レース1)、26日(レース2)にオランダのTT・サーキット・アッセンで行なわれました。

日本からは唯一、2022年シーズンのMotoEにフル参戦する大久保選手にとって、オランダ大会はトラブルに翻弄されるレースウイークとなりました。金曜日のフリープラクティス1ではマシントラブルのためにほとんど走行ができずに終わり、フリープラクティス2は雨によってセッション自体がキャンセルとなります。
フリープラクティス1のトラブルは、冷却水が入っていなかったことによるものでした。さらに予選では別のマシントラブルが発生。オランダ大会後、大久保選手に話を聞いたところ「しっかりした原因は解明されていないのですが、スロットルの問題が一番大きかったと思います」と予選でのトラブルについて説明しています。スロットルが重たくなり、実際の操作と出力が合わない症状があったそうです。
予選ではこのトラブルの影響で、計測に入る前に転倒。大久保選手は不本意な形で最後尾からレースを迎えることになったのです。
レースまでに問題箇所を交換したものの、MotoEはウオームアップ・セッションがないために予選を終えたら土曜日のレース1まで走行機会はありません。このため、レース1では「(マシンの状態を)しっかり確認できていなかったので、最初はペースを上げられず、徐々にペースを上げていくレースになりました」ということでした。

翌日曜日のレース2では天候が影響しました。アッセンの天候は変わりやすく、ダッチウェザーと呼ばれています。MotoEのレース2は雨が降り出したことで、最終的に8周から6周に周回数が減算され、約30分遅れでのスタートとなりました。大久保選手を含む多くのライダーはスリックタイヤでレースに挑みましたが、大久保選手曰く「路面が濡れていたり濡れていなかったり、中途半端なところが続いたりしていてなんとも言えないコンディションでした」ということで、難しい状況だったようです。
このレースは3周目に発生した転倒により赤旗終了となり、結果に応じてハーフポイントが付与されることとなりました。

レース1を13位、レース2を11位で終えた大久保選手は、オランダ大会を振り返り、残り2戦のターゲットを次のように語っています。
「前回のムジェロ(イタリア大会)に続き、流れが悪かったです。このあとインターバルが入り、その間に鈴鹿8耐にも参戦するので、リフレッシュしていきたいです。
(次戦の)オーストリア、そして(最終戦の)ミサノは好きなサーキット。オーストリア大会には(ヨーロッパに避難した)ウクライナ人の友人が見に来ると連絡があったので、がんばりたいですね。
まずはもう一度表彰台を獲得するのが第一目標、そして初優勝を飾りたいと思います」

MotoE第5戦オーストリア大会は、MotoGP第13戦オーストリアGPに併催で、8月20日、21日に決勝レースが行なわれます。
■FIMエネルMotoEワールドカップとは……
2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップ。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催され、2022年シーズンは各2レース、7戦14レースが予定されている。バイクはイタリアの電動バイクメーカー『Energica Motor Company(エネルジカ・モーターカンパニー)』の電動レーサー『Ego Corsa(エゴ・コルサ)』のワンメイク、タイヤはミシュラン。2022年シーズンのMotoEには11チーム18名のライダーが参戦し、唯一の日本人ライダー大久保光選手は2年目のシーズンを迎えている。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。