お正月にテレビで観た砂漠を走るラリーマシン! その衝撃まさかハーレーでも!? 海を渡りダカールへ!!
幻のハーレー水冷V4エンジン
じつはハーレーの水冷エンジンは、1976年という早い段階からポルシェとの技術提携によって開発がスタートし、1981年には『NOVA PROJECT』とネーミングされた水冷V型4気筒エンジンの存在が明らかになっています。

市販化には至りませんでしたが、『NOVA PROJECT』のモックアップは、今もハーレーダビッドソンが本社を構える米国ウィスコンシン州ミルウォーキーにある公式ミュージアムに展示されています。
打倒ドカで開発されたVR1000
そのテクノロジーは1994年、ロードレースにフィードバックされました。アルミツインスパーフレームに水冷60度VツインDOHC4バルブエンジンを搭載するハーレーダビッドソンのファクトリーレーサー『VR1000』が、AMAスーパーバイク選手権にフル参戦したのです。

打倒ドゥカティを目指し、プロジェクトは1988年にスタート。135馬力超える強力なパワーユニットを完成させ、ホモロゲーション獲得のために50台を販売しつつ、当時盛り上がりを見せたツインレースへ挑んだのでした。
AMAスーパーバイクでのレース活動は、2001年まで8年間に及びます。この間、ミゲール・デュハメル、フリッツ・クリング、ダグ・チャンドラー、トム・ウイルソン、クリス・カー、パスカル・ピコッテ、スコット・ラッセルら、錚々たるライダーをファクトリーチームは起用したものの、大きな戦果はクリス・カーが1996年第2戦ポモナで獲得したポールポジションと、同年第5戦ミッド・オハイオでの2位表彰台(ウイルソン)、99年にピコッテが第4戦シアーズポイント3位と最終第11戦パイクスピーク2位を果たしただけと、満足のいくものではありませんでした。
水冷エンジンがVロッドで市販化!
ワークス参戦最後の年となった2001年シーズン、ハーレーダビッドソンはついに市販モデルに水冷60度Vツインを採用します。世界中のバイクファンらが注目した『V-ROD(ブイ・ロッド)』です。

『VR1000』のボア・ストロークは98x66mmで排気量995ccでしたが、『Vロッド』の「レボリューション」エンジンはボア・ストロークを100x72mmで1131ccとしました。前傾姿勢となるスーパースポーツタイプではなく、ロー&ロングなドラッグレーサースタイル。2007年式ではボアを5mm拡大し、1246ccへとスケールアップしています。
VVT採用でさらなる進化
こうした歴史を踏まえつつ、ハーレー水冷60度Vツインはパンアメリカで『レボリューションマックス』へとさらなる進化を果たしました。ボア・ストロークを105×72.3mmとし、排気量は1252cc。可変バルブタイミング機構(VVT/バリアブルバルブタイミング)を新採用したことで、ダートで多用する低中回転域で扱いやすいトルクを発揮しつつ、トップエンドもDOHC4バルブらしく気持ちよく伸びます。

ちなみに可変バルブタイミング機構は、昨夏デビューした『CVOストリートグライド』および『CVOロードグライド』のニューエンジン「ミルウォーキーエイト121VVT」にも採用。『レボリューションマックス』で培われた技術が、メインストリームであるビッグツイン系にも受け継がれたのでした。
スーパーフーリガンレーサーで活躍
そして驚くことなかれ、パンアメリカはアドベンチャーラリーだけでなく、ロードレースにも挑んでいます。『ヨコハマホットロッドカスタムショー2023』(12月3日/パシフィコ横浜)のライドインショーで会場入りし、ハーレーダビッドソンのブースで展示されたのが、紛れもなくそのリアルレーサー!
アメリカでいま盛り上がりを見せる市販車レースシリーズ「AMA Moto America スーパーフーリガンナショナルチャンピオンシップ」に参戦する2台のマシンでした。

これはカリフォルニアに拠点を置く『SUICIDE MACHINE COMPANY』が製作したパンアメリカベースのロードレーサーで、ビルダー兼ライダーのガルダド兄弟によれば「パンアメリカはサーキットでも高いポテンシャルを発揮する」とのことです。

スイングアームやホイール、サスペンション&ブレーキをはじめ、スーパースポーツ顔負けの足まわりで、見るからに戦闘力が高そうではありませんか。センターアップ2本出しマフラーなどを見ていると、こうしたロードスポーツ仕様へのカスタム、あるいはニューモデルへの期待も高まるのでした。

水冷Vツインハーレーは可能性無限大!!
何が言いたいかと言うと、着実に進化を遂げ技術を積み上げてきたハーレーの水冷60度Vツインは、一線級の競技でもついに通用するレベルに達しているということです。
それを思いつつ乗ると、より頼もしく、なんだかワクワクしてきます。このまま『パンアメリカ1250スペシャル』でまた、未舗装路を含むロングツーリングに出かけたくなるではなりませんか。

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。



































