お正月にテレビで観た砂漠を走るラリーマシン! その衝撃まさかハーレーでも!? 海を渡りダカールへ!!

ハーレーダビッドソンのアドベンチャーツーリング『パンアメリカ1250スペシャル』が、過酷な砂漠を走り続ける第一線級の世界的ラリーで実力を示しました。心臓部は水冷60度Vツインで、いよいよその実力が開花し、人気を博す時代の到来を予感せずにはいられません! バイクジャーナリストの青木タカオさんが乗って解説しましょう。

過酷なデザートラリーで戦闘力を証明

 年末年始にかけて、モナコから海を渡ってダカールを目指す「Africa Eco Race(アフリカエコレース)に、『パンアメリカ1250スペシャル』で参戦したジョアン・ペドレロ選手が、マキシトレイル部門で見事1位! 総合25位でフィニッシュしました。

Africa Eco Race(アフリカエコレース)マキシトレイル部門で見事1位に輝いたハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」とジョアン・ペドレロ選手
Africa Eco Race(アフリカエコレース)マキシトレイル部門で見事1位に輝いたハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」とジョアン・ペドレロ選手

 ハーレーダビッドソン・ヨーロッパ/中東/アフリカ地域の本部長(Vice President)コルヤ・レブストック氏は、「このレースの結果とジョアン・ペドレロ選手の素晴らしいパフォーマンスに興奮しています。当社のブランドは冒険とパフォーマンスに根ざしており、パンアメリカがこのレースを完走することは、テクノロジーとパフォーマンスの限界を押し広げた素晴らしい前例でしょう」と述べています。

 15回目を迎えたアフリカエコレースは、北アフリカの砂漠およそ6500kmを約2週間かけて走破する壮大で過酷なラリー。南米でも中東でもなく、海を越えてアフリカ大陸を走り、セネガル共和国のダカールでゴールするのは、かつてお正月にテレビでダイジェスト版を観て興奮したパリダカを思い出さずにはいられません。

 ジョアン・ペドロはパンアメリカで「Basella Race2023」などにも参戦し好成績を収めたほか、4月には難関の「Baja Extremadura」に出場し、マキシ・トレイル部門で優勝し、7月には同部門で優勝して「バハ・エスパーニャ・アラゴン」を完走しました。パンアメリカとともに実績を着実に積み重ねています。

Africa Eco Race(アフリカエコレース)で総合優勝果たしたアプリリア「トゥアレグ 660」とヤコポ・チェルッティ選手
Africa Eco Race(アフリカエコレース)で総合優勝果たしたアプリリア「トゥアレグ 660」とヤコポ・チェルッティ選手

 なお、総合優勝はアプリリアの『トゥアレグ 660』で、ファクトリーライダーを務めたイタリアを代表するトップライダー・ヤコポ・チェルッティ氏でした。

電子制御サスの恩恵は大きい

 ハーレーダビッドソンにとって新境地となるアドベンチャーツーリングというカテゴリーへ、2021年に新規投入したモデル『パンアメリカ1250スペシャル』はいったいどのようなバイクでしょうか。改めて乗ってみます。

ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」に乗る筆者(青木タカオ)
ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」に乗る筆者(青木タカオ)

 ダートでの高い走破性を考慮し、前後サスペンションのストロークが長く背の高いアドベンチャーモデル。それゆえシート高が上がり、足つき性に不安を抱きがちですが、停車時に車高を自動で落とす「アダプティブライドハイト」(ARH)を搭載する『パンアメリカ1250スペシャル』なら心配無用となっています。

 ARH、これは心強い装備と言えるでしょう。減速に伴ってシート高を落とし、電子制御によって停止時には車高を50mmダウン。地面におろす足がしっかりと地面に届き、一時停止も苦になりませんし、ブーツのソールをどこへ置くか絶えず気にしなければならないオフロードでも大きな武器となるのは言うまでもありません。

足つき性に優れるから引き起こしでも踏ん張りが効く

 ARHの装備によって足つき性を改善し、大排気量アドベンチャーへのハードルを引き下げることに成功しています。これは『パンアメリカ1250スペシャル』だけではなく、ハーレーの他のモデルにも流用されていく予感がしてなりません。

ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」
ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」

 というのも、シート高はさほど高くありませんが、同社のグランドツアラーは400kgにも迫るヘヴィ級揃いで、フルドレッサーのフラッグシップ『ウルトラリミテッド』の車体重量は416kg。シート高は740mmとさほど高くありませんが、その巨体を引き起こすにはカカトまで足の裏を地面にしっかりと付け、踏ん張りたいところなのです。

ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」
ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」

 それは日本だけでなく、欧米のライダーも同じ。ユーザーの要望から、2015~2017年式ではツーリングファミリーの最高峰にも『ウルトラリミテッド ロー』という車高を下げたモデルがラインナップされていました。

『パンアメリカ1250スペシャル』に導入された「アダプティブライドハイト」ですが、近い将来に重量級モデルに採用される可能性もあるでしょう。それほどに『パンアメリカ1250スペシャル』に乗っていると、ありがたさを感じるのです。

ツアラーとしての能力が非常に高い

 話を戻しましょう。『パンアメリカ1250スペシャル』はウインドプロテクションに優れ、スピードレンジが上がってもクルージングが快適です。長距離をそつなくこなすには高速巡航性能も重要ですから、ツアラーとしての能力もかなり高いと言えます。

ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」。ハードケースが装着できるマウントも標準装備されています
ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」。ハードケースが装着できるマウントも標準装備されています

 また、『パンアメリカ1250スペシャル』には純正オプションでハードケース(トップケース+左右パニア)も設定されていますから、積載力でもグランドツアラーらにひけをとりません。

ハーレー十八番の旅バイク

 そもそも“長旅”なら、広大な国土を持つアメリカで生まれ育ったハーレーダビッドソンが得意とするところです。創業120年を超え、古くから北米大陸横断という果てしないロングライドも前提にモデル開発がされ、穏やかでゆったりとしたライドフィールのグランドツアラーを長きに渡ってリリースし続けてきました。

 ロングライドのためにホイールベースを長くし、エンジンはロングストロークで低中速のトルク重視に。防風性能や積載力も目をみはるものがあります。

ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」に搭載された水冷Vツイン「レボリューションマックス」エンジン
ハーレーダビッドソン「パンアメリカ1250スペシャル」に搭載された水冷Vツイン「レボリューションマックス」エンジン

 しかし新境地となる「アドベンチャー」というセグメントでは、ダート性能も高い次元で求められます。これまでのロー&ロングな車体、味わい深く心地良い鼓動を伴うパワーユニットで対応というわけにはいきません。そこで新たにシャシーとエンジンを開発し、2021年にデビューしたのが、このPAN AMERICA(パンアメリカ)という新シリーズです。

 伝統のVツインエンジンはV字の挟み角を空冷時代の45度から60度に広げ、ダウンドラフト吸気のためのスペースを確保するなどし、ヘッドはOHVからDOHC4バルブへ劇的な進化を遂げました。これが「レボリューションマックス」エンジンです。

【画像】ハーレー唯一のアドベンチャーモデル「パンアメリカ」を画像で見る(15枚)

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