一体いつから? 何故義務化? バイクに搭載されたABSの歴史とは
ABSはブレーキ操作を強くおこなった際に、タイヤがロックして滑るのを防ぐ安全装置です。今ではほとんどの新型車への標準装備が当たり前となっていますが、そもそもどのような経緯で装着が義務付けられたのでしょうか。
バイクのABS装着が義務化されたのは2018年から
急制動時や路面が濡れている状況での走行時、タイヤがロックしてしまうと制御が難しくなって、転倒や事故につながる危険性が高まります。
そういった状況で役立つのが、ABS(アンチロックブレーキシステム)です。
これはブレーキ操作を強くおこなった際に、タイヤがロックして滑るのを防ぐための安全装置で、ABSが搭載されている車両では強いブレーキをかけてもタイヤが完全にロックせず、ハンドル操作や姿勢を保ちながら安全に減速することが可能になります。
そんなABSは2018年10月1日以降に発売された新型モデルから、搭載が義務付けられるようになりました。
つまり現在販売されている新型モデルには、基本的にABSが標準装備されているということです。
では、どのような経緯でバイクにABSの装着が義務付けられたのでしょうか。

ABSの標準装備化によって、生命にかかわるような深刻なバイク事故のおよそ4分の1が防げるとされているとされています。
これを踏まえ、国土交通省が2015年1月に「道路運送車両の保安基準」などの法令改正をおこないました。その結果、2018年10月1日以降に発売される新型車へのABS搭載が義務付けられたのです。
さらに、2021年10月1日以降は新型車だけでなく、継続生産車や並行輸入車においても、ABSの装着が義務化されました。
それにより2025年4月現在、日本で販売されるほぼすべての新車バイクにはABSが標準装備されるようになっています。
しかし、バイクのABS装着義務には、一部例外となる車両も存在します。
たとえば、競技専用車両として登録されているバイクや、排気量が50cc以下の原付一種については、未装着であっても問題ありません。
また、義務化以前に製造・販売されたモデルについても、ABSが装着されていなくてもそのまま乗り続けることは可能です。
ただし、義務化された後に製造された車両に関しては、ABSが標準で装備されていることが前提となります。そのため、装着されているABSを意図的に取り外したり、機能を無効化したりすることは認められていません。
もしABSを取り外したり機能を停止させたりすると、車検に通らなくなるだけでなく、不正改造や整備不良車両として扱われるため注意しましょう。
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ABSの装着により、ライダーが安全にバイクを楽しめる環境がさらに整備されてきていることは、言うまでもありません。
そして今後、さらに性能が向上した安全装置が開発される可能性もあるでしょう。
走行時の安全性を高めるために、どのような法整備が進むのかバイク業界全体の動きに注目したいところです。