後方スタートから10位ゴールの小椋藍 現在の課題が明確に MotoGP第20戦マレーシアGP
MotoGP第20戦マレーシアGPが、2025年10月24日から26日にかけて、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行なわれました。MotoGPクラスに参戦する日本人ライダーにしてルーキーの小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)は、スプリントレースでは12位、決勝レースは10位でした。
10位ゴールの小椋藍、アプリリア勢ではトップ
MotoGP第20戦マレーシアGPは、ヨーロッパを離れて開催されるフライアウェイラウンドの最後となります。また、開催地のセパン・インターナショナル・サーキットは、開幕前に公式テストが行われたサーキットであり、ルーキーの小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)にとっては、MotoGPマシンでの走行経験のある数少ないサーキットの一つです。

前戦オーストラリアGPで右手の負傷による欠場から復帰した小椋選手ですが、今回については手の状態は「もう大丈夫だと思う」ということでした。
金曜日、予選のQ1とQ2の進出を分けるプラクティスでは、途中でレッドクロスのフラッグが提示されます。これは雨が降ってきたことを知らせるものです。コンディションの変化が懸念されましたが、レインタイヤでの走行にはなりませんでした。
小椋選手はこのプラクティスで14番手となりました。3回のコースインを行なっていますが、「2回目のアタックで全然タイムが伸びなかった」そうです。3回目のコースインではそれまでのタイムを更新したものの、14番手タイムでした。
プラクティスでトップ10に入ることができればQ2への進出が決まります。Q2はQ1のトップ2を含めた12名で争われる予選で、Q2に進んだ時点で12番手以上の予選順位が確定します。プラクティス14番手の小椋選手は、Q1からの予選となりました。
土曜日のQ1では、小椋選手は7番手でした。スプリントレースと決勝レースは17番手からのスタートとなりました。土曜日午後に行われたスプリントレースを、小椋選手は12位で終えています。
タイヤをいたわり、終盤までパフォーマンスを維持して走ることができるのは、小椋選手の強みです。ただ、スプリントレースは決勝レースの半分の距離で行なわれるため、その強さがメリットになりづらかったのです。
「あまりタイヤを壊さないように走りましたが、スプリントはそこまで気にする必要がないんですね。レース序盤、周りのみんながアグレッシブで、僕はポジションを落としてしまいました。少し落ち着いたスタートになりすぎましたね。明日(日曜日)は20周のレースなので、みんな、序盤はそこまでアグレッシブにはなれないと思うんですが」
決勝レースが行なわれる日曜日は、Moto3クラス決勝レース前のサイティングラップで激しいクラッシュが発生したため、スタートが大幅に遅れました。その影響でMoto3クラス決勝レースの周回数が短縮され、Moto2クラスの決勝レースはMotoGPクラスの後になるなど、スケジュールが変更されましたが、MotoGPクラスは予定通り、現地時間の15時に20周でスタートしました。
小椋選手は17番手からスタートして、10位までポジションを上げてゴールしています。セパンではアプリリア勢が苦戦しており、小椋選手がアプリリアの中で最上位でした。
「レース序盤に頑張ったライダーが後半に苦戦していました。僕は序盤にそこまで頑張らなかったので、逆に後半で良かった、という感じでした」
小椋選手は、今の課題のひとつに「一発の速さ」を挙げています。つまり、プラクティスの終盤や予選といった、「タイムを詰める1周の速さ」のことです。このタイムが向上すれば、前の位置からスタートすることができます。前の位置からスタートができれば、小椋選手の強みが発揮できるレース後半を、さらに上位で迎えられるのです。
「一発の速さは絶対(必要)ですね。僕は、一発の速さとペースが比例する方です。どうしてもスピードがないと、うまくレースをマネジメントしても、順位に限界がありますから」
ちなみに、マレーシアGPではMoto3クラスの決勝レースで、古里太陽選手(ホンダ・チームアジア)が初優勝を飾りました。過去、小椋選手は古里選手とクラスは異なれど同じホンダ・チームアジアに所属していました。そんな“後輩”の活躍に「太陽が勝ったから、今日は良い気分です」と、素直な感情も語っていました。
MotoGPはヨーロッパへ開催地を移し、第21戦ポルトガルGPは、11月7日から9日にかけて、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行なわれます。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。




