“立ちゴケ”の不安を解消したい(切実)!! バイクの「足つき性」を良くするにはどんな方法がある?

乗りたいバイクがあるけれど、どうにもシートが高くて地面に足が届かない……。そんなときは素直に諦めるしかないのでしょうか? 足つき性を良くする方法を探してみましょう。

いまどきのスポーツバイクは足つきがキビしい……

 小排気量のスクーターやクルーザー(いわゆるアメリカン)を除けば、いまどきのスポーツバイクはオンロード、オフロードに関わらず、総じて「シートが高め」です。

 もちろんこれはライディング時の運動性やスポーツ性能を考慮して設計された高さです。

 とはいえ、身長が低い小柄なライダーにとって「高いシート」はバイクに乗る上で大きな関門になります。跨った際に足が地面に届きにくければ(足つき性が悪ければ)、停車時の不安は計り知れません……というか、常に「立ちゴケ」の危険があります。

 そのため、足つきが不安で乗りたいバイクを諦めた……という声も耳にしますが、それはけっこう残念な話です。少しでも足つきを良くする方法はないのでしょうか。

足つきに不安があると、停止するたびにドキドキ。泣く泣く乗りたいバイクを諦めたという声も……
足つきに不安があると、停止するたびにドキドキ。泣く泣く乗りたいバイクを諦めたという声も……

シート高の調整やローダウン仕様の有無をチェック

 現在はアドベンチャー系のバイクが世界的にも人気ですが、このカテゴリーは走破性を高めるために最低地上高の確保や、サスペンションのストローク(ホイールトラベル)が長いため、シートが高く足つき性が厳しい車両が少なくありません。

 その代わりと言ってはナンですが、アドベンチャー系のバイクの中には、シートの高さを何段階かに調整できる車両があります。

 たとえばホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」は、シートの高さを840mmと820mmの2段階に調整可能です。なので、まずはメーカーHPやカタログなどで、シート高を調整できるか否かをチェックしてみましょう。

 またカワサキのデュアルパーパスモデル「KLX230」では、シート高は880mmですが、ホイールトラベルを少し縮めてシート高を845mmに抑えた「KLX230 S」もラインナップしており、これは嬉しい選択肢と言えます。

 また外国車でも、BMW Motorrad「F 900 R」(シート高815mm)も、足つき性を向上した「F 900 R ロー(シート高760mm)」を用意しています。

 このように、同一機種でシート高が異なるモデルをラインナップしている例もあります。

「プリロード調整」で足つきが良くなる!?

 シート高の調整機構を備えるバイクは限られますが、スポーツバイクの多くはリアサスペンションに「プリロード」の調整機構を備えています。

 プリロードの調整は、ライダーの体重など「荷重」に対応するためのアジャスターですが、これを調整することでリアサスペンションのスプリングの沈み込む量が変化します。

リアサスペンション(リアショック)のプリロードアジャスター(矢印)を弱める方向に調整すると、多少は足つき性が良くなる
リアサスペンション(リアショック)のプリロードアジャスター(矢印)を弱める方向に調整すると、多少は足つき性が良くなる

 必ずしもそうではありませんが、「足つきが厳しい=小柄なライダー=体重が軽い」パターンが多く、その場合はプリロードを標準位置から弱める(かける量を減らす)ことで、リアサスペンションの沈み込む量が増え、総体的にシート高が下がって足つき性が良くなります。

 車載工具で調整できるバイクが多いので、バイクのハンドブックを見て調整することをオススメします。工具が無かったりやり方がわからい場合は、バイクショップに相談しましょう。

ローシートやローダウンリンクを活用

 足つき性を向上させるために、バイクメーカーが純正アクセサリーで「ローシート」を用意している車両もあります。たとえばヤマハの「MT-25」「MT-03」および「YZF-R25」「YZF-R3」には、標準シートと比べて約14mm座面が低くなるローシートがあります。

 他にもヤマハ「MT-09/SP」や、このバイクから派生した「XSR900」、「XSR900 GP」、「TRACER9 GT」には、リアサスペンションのリンク長を変更して車高を下げる「ローダウンリンク」が用意ざれています。このパーツを交換することで、16~26mmシート高が下がります(車種による)。

 また、日本に導入されて注目を集めた原付2種オフロードのヤマハ「WR125R」は、シート高が875mmとかなり高いですが、純正アクセサリーで約30mm座面が下がるローダウンシートと、約40mm下がるローダウンリンクが発売されており、両方をセットすれば約70mmもシート位置が下がり、かなり足つきが良くなります。

ヤマハ「WR125R」に純正アクセサリーのローダウンシートとローダウンリンクをセットすると、約70mmもシートが下がり、足つき性が大幅に向上する
ヤマハ「WR125R」に純正アクセサリーのローダウンシートとローダウンリンクをセットすると、約70mmもシートが下がり、足つき性が大幅に向上する

 バイクメーカーが純正アクセサリーでローダウンリンクを用意している車両は多いとは言えませんが、インターネットで検索してみると、カスタムパーツとして販売しているアフターパーツメーカーは結構あります。

 とはいえローダウンリンクはリアサスペンションがリンク式の1本ショック(モノサス)の車両の話なので、リンク非装備のモノサス車や、旧車やレトロ系、クラシック系の2本ショックの場合は、ショックユニットそのものを短いタイプに交換する方法になります。これもインターネットで検索すると、人気車やメジャーなバイク用だと結構リリースされています。

 話が前後しますが、足つき性を良くするには、昔からシートのスポンジを削る「アンコ抜き」という手法がメジャーでした。一旦シートの表皮を剥がし、スポンジをカッターナイフやヤスリなどで削って整形し、再びシート表皮を貼れば良いので、D.I.Y.が得意な人なら自分でもできます。

 ただし、このやり方は確かにシートの座面は下がりますが、ともすれば角が立った断面形状になるため、跨った際に股が広げられてしまい、かえって足つきが悪くなった……というパターンもあるので注意が必要です。

 また、当然ですが削ってスポンジが薄くなるのでクッション性は悪くなり、長時間のライディングだとお尻が痛くなる弊害もあります。アンコ抜きを検討するなら、実績のある専門ショップに依頼するのがオススメです。

ローダウンにはデメリットが!?

 ところで、足つき性を良くするための様々な手法をとった場合、デメリットは無いのでしょうか?

 じつはシートの高さ調整やローダウンシートによってライダーの着座位置が変わったり、サスペンションのリンクやショックの長さが変わると、本来の設計時と車体姿勢などが変わるため、厳密に言えば乗り味や運動性は変化します。

大型アドベンチャーモデルなど、シート高を下げようとすると着座位置が変わり、本来のライディングポジションから外れて乗りづらくなる可能性もある
大型アドベンチャーモデルなど、シート高を下げようとすると着座位置が変わり、本来のライディングポジションから外れて乗りづらくなる可能性もある

 そのため設計時の車両の性能をフルに発揮できるのか、という意味ではわずかながらマイナスになる部分が無いとは言えません。アドベンチャーやオフロードモデルなら、走破性が少し低下するかもしれません。

 しかし足つき性に大きな不安を抱え、好きなバイクに乗れなかったり、また乗ったとしても不安でバイクに乗る頻度が下がったり、バイクの楽しさより足つきの不安の方が勝ってしまったら、性能発揮以前の問題だと言えます。

 その意味では、何らかの方法で足つき性を向上してバイクに乗る機会を増やした方が、バイクに慣れて不安が減ったり、バイクライフ的にもプラスになるのではないでしょうか。

【画像】乗らないよりはマシ!? “立ちゴケ”の不安を少しでも軽減する足つき性向上の手法を画像で見る(16枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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