ホンダ「GB350S」でレース走るの!? ライダーとマシンを成長させる“モリワキ仕様” 「鉄馬」を走った女性ライダーに訊く
10年以上前の初開催から着実にファンを増やし続けているサンデーレース「鉄馬」に参戦した、ホンダ「GB350S」モリワキ仕様を駆る金子美寿々選手に、自身もレースを楽しむライターの後藤武さんが話を伺いました。
ホンダ「GB350S」をレースベースに選ぶ理由
2026年5月2日~3日にHSR九州で開催された、鉄フレームのバイクを対象としたサンデーレース「2026 鉄馬 with TSK 合戦の日」に、ホンダ「GB350S」モリワキ仕様で金子美寿々選手が参戦しました。
「GB350Sでレースに出ているの?」と思う人もいるかもしれません。ゆったりツーリングを楽しむイメージが強いモデルで、実際にサーキットを走る姿を見ると驚かされます。
スポーツバイクやビッグバイクのような絶対的な速さとは異なるものの、比較的低い速度域で走りを楽しめて、コストも抑えやすい。これからレースに挑戦してみたいライダーにとっても、魅力的なレースベースになりそうです。
モリワキが「GB350S」をどのようにレーサーとして仕立て、金子選手がどんな思いで走ったのかを聞きました。

モリワキは「GB350S」を、ただ速さを追い求めるためのベース車ではなく、ライダーとマシンの双方を成長させるモデルとして捉えています。
「GB350Sは本来、街乗りやツーリングを主な用途として開発されたバイクです。サーキットでの高出力、高回転のスポーツモデルと比較するとパワーや最高速で不利な部分があります。
一方で、限られたパワーをいかに効率よく使うか、どのように車速を維持するかが重要となり、ライダーの技術やセッティングの工夫が結果に大きく影響します。
また、空冷単気筒エンジンを搭載したシンプルな構造であり、足まわりやポジション、軽量化などの成果が感じ取りやすい車両です。私達はこの車両を、速さを追求するレースベースではなく、『ライダーの技術やマシン開発を学べるレースベース』として考えています」
「今回の主な変更点ですが、車両自体は去年まででほぼ完成されていたので、軽量化をメインに進めていきました。単に不要部品を外すだけでなく、一度エンジンを降ろし、フレーム単体の状態まで分解を行いました。実際にフレームやブラケットの軽量化、不要部品の撤去を進める事で、車両本来の性能を損なう事なく運動性能の向上を目指しました。
セッティングに関しても事前のテストから金子選手と話し合い、多くのセットを試していきました。基本的な車両のポジションから見直し、コースの特性、路面状況に合わせて足まわりのセッティングを進めています。今回のレースウィークでは天候が目まぐるしく変わる難しいコンディションでしたが、周りの意見やライダーからのフィードバックを取り入れながら、ひとつひとつの変更による効果を確認し、最適なセットを追求しました」

「GB350Sの魅力は、車両価格や維持費を含めた低コストで楽しめる点にもあります。近年のスポーツバイクは高性能化が進む一方で車両価格も上がり、サーキット走行を楽しむ上でのハードルも高くなっています。その点GB350Sは比較的入手しやすい価格であり、車両自体に大きな手を加えなくても低コストなチューニングでサーキット走行を楽しむ事が出来ます。
パワーも穏やかで車体の挙動もわかりやすい為、リターンライダーやこれからサーキット走行を始めたいライダーにも非常に扱いやすい車両だと感じています。
今回のレースを通じて得られた経験やデータを今後の車両製作や製品化に繋げていければと考えています。そしてGB350Sならではの操る楽しさ、サーキット走行の楽しさを多くのライダーに伝えていければと思います」
ポケバイから復帰してモリワキライダーへ
金子美寿々選手は、幼少期にポケバイを経験し、長いブランクを経てサーキットへ戻ってきたライダーです。モリワキライダー募集への応募から、「GB350S」との挑戦が始まりました。

「サーキットを走り出して3~4カ月の頃、モリワキライダー募集の公募があり、条件は『モリワキライダーになりたい! その夢を持っている方』とだけ! 最初はまさか自分が選ばれるわけない。けど面白そうな企画! と面白半分で応募しました。
元々5歳からポケバイに乗り、12歳でミニバイクレースを辞め、それ以降16年バイクには乗っていませんでしたが、復帰してすぐにモリワキライダーに選ばれた自分の運の良さに驚きました(笑)。
選ばれて初めてGB350Sに乗った日は、1日で3回も転倒してしまいました。ですが、毎走行、毎転倒ごとに、どんどんマシンは改良されていき、わたしの技量でも安心して楽しく攻められるレースマシンへと進化していきました。
いろんなことにどんどん挑戦して、やるならとことん突き詰めたい性格の私と、飽くなき探究心でBeyond the Bestを掲げるモリワキさんとはすごく相性が良いと勝手ながら思っていて、走りの面もマシンのことも、アドバイスをいただくと、毎回できるような気がして、早く試したくて、新しい自分に会える気がして、すごくワクワクするんです。
バイクって楽しいなと、自分の可能性を無限に試したくなる、いつもそんな気持ちにさせてくれるのがモリワキの皆様です。教えていただいたことをたくさん吸収して、もっと活躍して、私自身もワクワクを与えられる人間になりたいと思って勉強中です!」
単気筒のトルクを活かして鉄馬を走る
2026年はホンダ「CBR250RR」で練習を重ねている金子選手にとって、「GB350S」はエンジン特性とライディングを改めて考える機会にもなったようです。
「今年はCBR250RRで練習していて、高回転域で走ることが多かったため、GB350Sの単気筒ならではの低回転からの力強いトルク感、シフトチェンジのタイミング、エンジンブレーキのかかり方など、乗り換えで戸惑うことも多かったですが、マシン特性を活かして速く走れるよう意識して走りました。」
ホンダ「CBR250RR」で次のステップへ
鉄馬で「GB350S」を走らせながら、金子選手は今季、より本格的なレースにも挑戦していきます。

「2025年までHRC GROMでミニバイクレースに参戦していましたが、2026年はCBR250RRへステップアップして鈴鹿サンデーロードレースのCBR DREAM CUPへ出場予定です。また、モビリティリゾート茂木で行われるもて耐など、様々な耐久レースに仲間と参戦予定です」
■取材協力=モリワキエンジニアリング
(撮影=POP近藤)
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。






