「iMacだけじゃない!?」1990年代末「スケルトン」ブーム ホンダやビューエルが本気で作った「透けるバイク」 現代のEVスクーターで再燃の兆し?
中身が透けて見える「スケルトン」は「平成レトロ」とも呼ばれており、人気のゲーム機やパソコンの躯体も存在しました。ブーム再燃とも言われていますが、当時はなんと、スケルトンのバイクもありました。
パソコンやゲーム機で人気沸騰!
透明カバーなどで中身が見える機械類(ゲーム機やパソコンの躯体など)は「スケルトン」と呼ばれ、1999~2000年頃にブームになりました。元々の「スケルトン(Skelton)」の意味は、中世ヨーロッパなどで伝承された「動く骸骨」のことです。
そんなスケルトンで有名なモノでは、アップル社のパソコン「iMAC G3」があり、当初は半透明のブルーのケースでしたが、後に豊富なカラーをラインナップしました。
もっと身近なところでは、ニンテンドーのゲーム機「NINTENDO64」が1999年12月に半透明のクリアブルーとクリアレッドの2色を発売しました。
他にもニンテンドーの「ゲームボーイ」をはじめ、各社のポータブルゲーム機やゲームのコントローラーなどにもスケルトン仕様が多数登場しました。
じつは半透明で中身が透けて見えるカバーやカラーは、「トランスルーセント(Translucent)」と呼ぶのが正しい形容詞のようですが、スケルトンの呼び方が一般的だったと記憶します。
そのスケルトンが最近また流行し始めているようで、パソコンのキーボードやマウス、ワイヤレスのイヤホンなど、デジタルガジェットが販売されています。
そして最近はスケルトンではなく「クリアデバイス」と呼ぶそうですが、大ブームだった1999~2000年代には、なんとバイクにもスケルトン仕様が存在ました。
ホンダがスケルトンのスクーターを限定販売!
スケルトンのバイク第1弾は、ホンダの「ジュリオ・スケルトン」です。1999年の第33回モーターショーに参考出品して注目を集め、翌2000年の3月14日に限定3000台で発売しました。

クリーミーホワイトをベースに、シート下のボディカバーとフロントフェンダー下部が半透明のスケルトン仕様になっていました(シュガークリアミントグリーンとシュガークリアオレンジの2色をラインナップ)。
続いて2000年3月24日には、限定5000台で「ライブ・Dio ZX スケルトン」が発売されました。こちらはハンドルカバーやフロントカバー、シート下のボディカバーやリアウイング(?)までスケルトン仕様で、サイバークリアブルーとサイバークリアレッドの2色をラインナップしました。
スケルトンのスポーツバイクも登場
スケルトン仕様の外装はインパクト絶大ですが、そもそもボディが樹脂製のスクーターなので、ある意味でスケルトン仕様があっても不思議はないかもしれません。
それではスポーツバイクでスケルトン仕様は無理なのかと思いきや、じつは存在します。しかもワンオフのカスタム車ではなく、量産市販モデルです。
それは米国のBuell(ビューエル)が2005年に発売した「Lightning CITYX XB9SX」で、一般的な燃料タンクの位置にあるエアボックスカバーと、ヘッドライト上のスクリーンにスケルトン素材を採用し、内部が透けて見えていました。

Buell社(当時)は奇才エンジニアのエリック・ビューエル氏が興したバイクメーカーで、一般的なスポーツバイクとは異なる革新的な作りが特徴でした。
なかでも2002年に発売された「Firebolt XB9R」は、スーパースポーツ車のアルミ製ツインスパーフレームに似た幅広なフレームを燃料タンクとして使い、スイングアームをドライサンプ式エンジンのオイルタンクとして使うことで、低重心とマスの集中化を狙いました。
そのため一般的な燃料タンクの場所はエアクリーナーボックスや補器類を納め、樹脂製のカバーを装着していました。
そして2003年にラインナップ拡大でネイキッドモデルの「Lightning XB9」が加わり、そのバリエーションとして2005年に「Lightning CITYX XB9SX」が登場します。
前述したように、いわゆる燃料タンクの場所は樹脂製カバーなので、スケルトン化が可能になったワケです。
その後も排気量を拡大した兄弟車の「Lightning XB12Scg」や「XB12Ss」にもスケルトン仕様が登場し、2009年頃まで販売されました。
ちなみにカラーはトランスルーセント・ヒーローブルー(青)やトランスルーセント・キックアッシュ(濃いグレー)、トランスルーセント・チェリーボム(赤)、トランスルーセント・バレンシアオレンジ(橙)がありました(車種によって異なる)。
それ以降、個々のカスタムパーツ類はともかく、2輪メーカーのスケルトンのバイクは登場しませんでした……近年までは。
レトロと最新技術とスケルトンが合体!?
最近はスケルトンのガジェットが人気再燃しそうですが、なんとバイクにもありました。1960年代のスクーター文化を現代の技術で再現することをコンセプトに掲げ、2010年頃にイングランド北部でブランドを立ち上げた「Royal Alloy(ロイヤルアロイ)」が、スケルトン仕様のスクーター「GP350MT」などをラインナップしています。
コンセプトや社名(Alloy=合金)からイメージできる通り、同社のスクーターは鉄フレームに鉄ボディが大きな特徴ですが、敢えてシート下のサイドパネルを透明な樹脂素材とすることで、エンジンや駆動部などが透けて見えるデザインになっています。
そしてロイヤルアロイは現在、EVスクーターの生産も開始しています。同社のコンセプトに沿った既存のモデルと同様のレトロなスタイルで、サイドパネルがスケルトン仕様のモデルもラインナップしており、こちらはモーターなどの駆動部が透けて見えるところが斬新です。

日本では東京都大田区に本拠を構えるモータリスト合同会社がロイヤルアロイのスクーターを輸入し、全国の正規販売店で取り扱っています。
スケルトンと言っても性能には関係ないかもしれませんが、やはり内部のメカニズムが透けて見えるのはロマンがあります。
その意味ではスクーターだけでなく、スーパースポーツ車のカウリングもスケルトンにしたらカッコいいのでは……と妄想してしまいます。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。










