ソフトで穏やかな乗り心地 ホンダ「クロスカブ110/くまモンバージョン」にスーパーカブの思い出があふれる

スーパーカブを遊び心満載でカスタマイズしたのが「クロスカブ」。SUV感覚で、ストリートにも映えるではありませんか。

偉大なスーパーカブはホビーユースにも最適

 スーパーカブと言えば、ホンダ創業者である本田宗一郎氏が「そば屋さんの出前持ちが片手で運転できるように」と、1958年に発売して以来60年以上、世界生産累計台数1億台を突破する超ロングセラーバイクです。それを遊び心満載でホビーユース向けにカスタムされているのが「CROSS CUB(クロスカブ)」です。

ホンダ「クロスカブ110」に試乗する筆者(青木タカオ)

 もはやオシャレで都会にもよく馴染むスタイル。SUV感覚で、ストリートにも映えるではありませんか。これでゆったり街を流すと、見慣れたいつもの景色もポップで新鮮になってくるから不思議な気がします。なんだか若返った気分で、学生の頃の感覚が蘇ってくるのは気のせいでしょうか。

 日本を代表する工業製品として、世界中に輸出されたスーパーカブ。じつは1960年代から「クロスカブ」のようにレッグシールドが外され、タフさを強調したモデルが北米や豪州向けにありました。

「ハンターカブ」と呼ばれたCTシリーズがそれで、酪農やハンティングに使われることを前提に開発され、急坂や悪路も走破できる性能を持ち合わせていたことから、そのサバイバル性の高さが人気を呼び、世界中にファンを生み出します。

第46回東京モーターショー2019に出展のコンセプトモデル「CT125」は、往年のCTシリーズのスタイルを受け継いだもの

「クロスカブ」はCTシリーズが“元ネタ”とも言えますが、じつは東京モーターショー2019(東京ビックサイト:10月24日から11月4日開催)で、ホンダはコンセプトモデルとしてズバリ「CT125」を出展。かつてのCTシリーズを現代に蘇らせ、早くも話題沸騰中。こちらも市販化か否かが楽しみで仕方ありません。

「幻の5速、地獄の6速」は昔話

 話しは逸れましたが「クロスカブ」は、スーパーカブ同様に110と50の2本立てでラインナップされています。

ホンダ「クロスカブ110」

 今回試乗したのは110の方で、走りが想像以上に力強く「えっ、カブってこんなに速かったっけ?」というのが第一印象です。侮ってはいけません、最新の110はクルマの流れなど容易くリードできる動力性能を持っているのです。

 燃費に優れる空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンの始動はセルスターターで一発ですし、相変わらずキックペダルも付いたままですから、もしものときの頼もしさは失っていません。

 シフトペダルはシーソー式で、前側をツマ先で踏み込むごとにシフトアップし、後ろ側をカカトで踏み込むとギアを落とせます。

 1速はかなりのローギアで、急坂でなければ2速でもスムーズに発進可能。上手な“カブ主(かぶぬし)”になると、シフトチェンジも巧みでエンブレも活用しますが、トップ4速のまま停止してもお構いありません。停まった状態でのみ、4速でシフトアップするとニュートラルに戻るようになっているのです。

シフトチェンジはクラッチ操作不要でペダルを踏み込むだけ、停車時のみロータリー式となる4段リターン式を採用

 そもそもスーパーカブは、ニュートラルから「1、2、3、4、ニュートラル」と、トップからニュートラルに戻るシフトパターンです。

 昔はトップギアに入っていることに気付かず、もっとスピードを出そうとシフトアップするとニュートラルに入ってしまい、さらに焦ってギアを上げると1速に入ってタイヤがロックする、なんてことを不慣れな人は経験したものです。

 これを「幻の5速、地獄の6速」なんて言って笑ったものですが、筆者(青木タカオ)もロータリー式を初体験したときにコワイ思いをしたのを覚えています。もちろん、現行モデルではそんなことがないよう、走行中はトップからニュートラルに入らないようになっていますから、そんな心配は要りません。

「クロスカブ」の話しに集中しろと自分でツッコミたくなりますが、カブに乗ると地獄の6速を必ず思い出してしまうから仕方ないのです。お許しください。

フワッと柔らかい乗り心地

 フロントタイヤはスーパーカブ110では70/90-17ですが、クロスカブ110では80/90-17と、ワンサイズ太くなっています(リアは共通で80/90-17)。

ホンダ「クロスカブ110」

 サスペンションはスーパーカブよりストローク量が増え、動きが柔らかく乗り心地もフワッとソフト。車体の前後ピッチングが明確となり、コーナーではその挙動をきっかけに寝かし込み、スムーズに旋回していけます。

 タイヤはIRC製のセミブロックタイヤを履き、トレールバイクに近い動きです。シート高も784mmで、スーパーカブ110/50よりも49mm上がっていますが、身長175cmの筆者でカカトまで両足ベッタリ、足着き性に不安はありません。ちなみにクロスカブ50はシート高740mmで、ドッシリ座ってヒザがもっと曲がります。

 街乗りでよりキビキビ走るのは、クロスカブ110では加速重視の二次減速比となっているから。見た目だけでなく、よりスポーティに走れるよう味付けも変えてあるのです。

「くまモンバージョン」も選べる

 クロスカブ110のカラーバリエーションは「カムフラージュグリーン」「クラシカルホワイト」「パールシャイニングイエロー」の3色設定ですが、さらに「くまモン バージョン」もあって人気を呼んでいます。

「クロスカブ110・くまモン バージョン」イメージ色である黒と赤を基調に、くまモンのイラストをあしらったエンブレムやスペシャルキーを採用

 世界中のホンダ二輪車生産のマザー工場である熊本製作所がある熊本県のPRマスコットキャラクターということで、「くまモン」とのコラボが50ccのモンキー、ジョルノに続き、クロスカブ50と110で実現しています。

 可愛らしさ倍増となり、クロスカブで出掛けるのが一段と楽しくなる特別仕様車です。車体価格はクロスカブ110が税抜き31万円、クロスカブ110・くまモン バージョンは32万円となっています。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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