バーチカルツインが奏でる「ダブワンサウンド」に酔いしれる! カワサキ「650-W1」に乗った!

東京モーターショー2019のカワサキブースで展示されている「650-W1」(俗称:ダブワン)は、1966年に発売され、カワサキビッグバイクの礎を築いたモデルです。なんと、川崎重工業所蔵のたいへん貴重なダブワンに乗せてもらいました。

暖機でさえ心弾む憧れの初期型

 じつは筆者(青木タカオ)は、その直系の後継機種にあたる1971年式「W1SA」を25年以上所有する熱狂的なダブワン好きでもあります。

カワサキ「650-W1」(1966年型)に試乗する筆者(青木タカオ)

 カワサキが用意した車両だけに、コンディションは抜群。キック一発でバーチカルツインエンジンが元気よく目覚めます。アイドリングも600rpmほどで安定し、ミクニVM31キャブレターの調整も絶妙なのでしょう。

 カワサキ「W(ダブル)」シリーズは、東京モーターショー2019の展示でも隣り合う「カワサキ500メグロK2」(1965年)に端を発し、その並列2気筒エンジンのストローク長72.6mmはそのままに、ボアを66mmから74mmに拡大し、排気量を496ccから624cc化しました。

カワサキ「650-W1」(1966年型)

「W1」でもシングルキャブはそのままでしたが、モアパワーの要望に応えて輸出仕様では「W2SS」(1967年)で、国内向けでは「W1スペシャル(W1S)」(1968年)からキャブレターを2基(VM28×2)備え、47ps/6500rpm(海外仕様は50ps)だった最高出力を53ps/7000rpmに向上しています。

 右サイドカバー部に位置するオイルタンクが暖まってきたら、いよいよギアを入れて発進です。ドライサンプ方式なので、暖機はじっくりと。焦って走り出すのは禁物です。

右側にあるシフトチェンジペダル

 英国式の右チェンジで、シーソーペダルをツマ先で踏み込んでローに入れます。クラッチを繋いでアクセルを丁寧に開けると、車体は軽やかにスタートし、2速、3速とすぐにシフトアップ。

シフトチェンジペダルはエンジン右側となるカワサキ「650-W1」(1966年型)

 トランスミッションは4段で、一番上がニュートラル、ペダルを踏み下ろしていくにしたがって1速、2速、3速、4速とギアが上がっていきます。

 モナカマフラーは歯切れの良い心地良い音を奏で、W1S以降が採用したキャプトンタイプマフラーより低く落ち着いたサウンド。W1S以降はさらに勇ましく、弾けるような豪快な音で、いずれも「ダブワンサウンド」とファンらに愛され、レコード化されて売られたこともあるほどです。

「ダブワンサウンド」を奏でるマフラー

 ホイールは前後18インチに細身のタイヤを履き、ハンドリングは軽快。フロント19インチ化されたW1Sと比較すると、よりクイックで応答性が過敏な気がします。W1S以降はもっと大らかですが「18インチもいいな……」と感心せずにはいられません。

 360度クランクで等間隔爆発となる直列2気筒エンジンは、パルス感が心地良く、自分のダブワンで走るときもそうですが、2つのピストンが同時に上下動する構造をボンヤリ想像し、プッシュロッドがバルブを駆動する姿をどういうわけか頭の中で描いてしまいます。

 OHV2気筒エンジンは機械構造がシンプルで、その内部構造をイメージできるのも楽しみのひとつのような気がします。

コーナーを駆け抜ける歓びがある

 もちろん現代のバイクと比べれば、スペック的に大きく劣りますし、ブレーキも前後ドラム式で、その走りはたかが知れているかもしれません。

カワサキ「650-W1」(1966年型)

 しかし、スポーティなライディングが楽しめないのかと言えば、それは「ノー」です。カーブの手前でしっかり減速し、加速しながらコーナーを立ち上がる基本に忠実な操作をすれば、夢中になってワインディングを駆け抜けられるでしょう。

 英国車全盛の時代に、北米市場でカワサキの名を広く知らしめようと輸出した世界戦略車であり、後の「MACH(マッハ)」や「Z(ゼット)」への道しるべとなったW1。国内では最大排気量車としてバイク乗りから羨望の眼差しを受け、白バイにも使われました。

ワイドでアップライトなライディングポジションになるハンドルバー

 高く迫り上がったハンドルを握っていると、堂々たる気分です。カワサキ・フラッグシップのオーラは50年以上が経った今も褪せるどころか、さらなる輝きを放っています。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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