やたら距離を歩かされる東京モーターショー 電動シティコミューター導入の布石か!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.23~

自動車イベントなのに二つ会場の行き来で歩き続けた東京モーターショー。EVシティコミューターが必要だと考えさせるイベントでした。

巨大テーマパークになった東京モーターショーにEVコミューターは不可欠なのか?

 今年の東京モーターショーは、さまざまな意味でのリニューアルのショーとなった。
輸入車メーカーの出展がほとんどなく、国産メーカーも規模を縮小している。それを「日本市場のシュリンク」だとか「若者のクルマ離れ」だとか、都合のいい理由を振りかざして納得させようとしているのは訳知り顔のジャーナリストや、ちょっとだけかじった自動車関係者であろう。

東京モーターショー2019は今までとは違う企画や展示で前回に比べ大幅に観客動員を増やした

 そんな負のコメントを知ってかしらずか、主催する日本自動車工業会は気を吐いた。これまでの典型的なパターンである、ただクルマをならべるだけのショーでなく、ガラリと趣きを改めたのだ。「観るショー」ではなく「感じるショー」になった。目標観客動員は、前回の77万人を大幅に上回る100万人である。

 会場は、東京有明地区の東京ビックサイトだった。ただ、そこでは手狭だったようで、MEGAWWBを長い通路で連結。広大なスペースを走ったり乗ったり飛び跳ねたりに活用した。東京モーターショーというより、東京モーターテーマパークである。

会場間の連絡路には電動キックボードなどの体験試乗やバイク・クルマの展示企画などが行われていた

 それにしても、歩かされた。駐車場から会場入口まで、ゆっくり歩いて15分の距離だ。東京ビックサイトとMEGAWEBとの連結も、モノレールの駅でひとつほど離れている。よほどの健脚でなければ、会場のすべてを観て回るのは困難だろう。歩きたいくないから自動車業界でお世話になることにしたいのに、自動車のイベントでこれほど歩かされると、道を間違えたのかなと反省したくなる。

 だがその、やたらに歩かさせることが、コンセプトの”ふり”なのではないかとも思えた。

「ほらね、こんなに歩かさせられると、EVの有り難みが伝わってくるでしょ?」

 連絡路には電動キックボードの体験試乗が企画されていた。移動が大変そうだから、体験と称してキックボードでスーイスイ・・・と。

ヤマハブースは、様々なEVに特化した展示を積極的に行なっていた

 ヤマハのブースに足を踏みいれると、電動チェアの展示もあった。そもそもヤマハはEVに特化した展示だった。ステージを飾るのはEVスクーターだったし、電動自転車やEVトライアラー(TY-E)という徹底ぶりだ。時代は電動化ですと声高に宣言していたのだ。EVチェアも含めてである。

「その意味では、東京モーターショーの会場の特長を、逆手にとってましたね」

 なるほど、東京モーターショーの仕掛けは奥が深い。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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