自分の中にいる昭和ライダーの執着が新車購入を悩ませる!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.109~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ホンダ「レブル1100」を購入前提で考えたとき、クラッチ操作不要のDCTモデルが悩ましいと言います。どういうことなのでしょうか?

クルマもバイクも、クラッチ操作から解放される時代?

 僕(筆者:木下隆之)はホンダ「Rebel 1100(レブル1100)」にゾッコンである。「レブル250」にまたがって感じた乗りやすさは「レブル500」でも健在、さらに排気量が拡大し、1100になっても体にフィットする。シート高が低いこともあり、1100もの排気量があるといっても気圧されることがない。今すぐにでも購入したくてウズウズしているのだ。

ホンダ「Rebel 1100(レブル1100)」DCTモデル

 だが、購入を考えるときに誰もがぶち当たる「嬉しい悩み」に遭遇している。組み合わされるミッションの選択で迷っているのだ。

 シンプルな6速マニュアルを選択するのが妥当のような気がする。せっかくの大型バイク、クラッチレバーを握ったり離したりしつつ、左足でギアを選択するのがライダーとしての筋だと思う。

 だが厄介なのは、「レブル1100」には6速ツインクラッチのDCT(Dual Clutch Transmission:デュアル・クラッチ・トランスミッション)が設定されているのだ。左手と左足が変速から解放される。アメリカンクルーザーのVツインらしく、大陸的なツーリングをするには適しているのではないか、とも考えるのだ。

 ただし、昭和のライダー特有の(?)古風な感情がチョイスを惑わせる。「大型バイクでオートマって、軟弱じゃね?」という世間体が気になるのだ。

 バリバリのレーサーでもないのだから、DCTでももちろん良いのだが、安楽を求めるのは風雨もいとわずバイクにまたがる硬派のライダーとしての本分にもとるような気もしなくはない。最新の機能に触れることも楽しみのひとつだが、旧態依然のシステムを使いこなすこともまた、ライダーとして正しい気がするのである。

ホンダ「レブル」シリーズ。手前から1100、500、250と、排気量別にラインナップ

 というのも、先日トヨタとスバルが発表した共同開発モデル、新型の「GR86」と「BRZ」にはオートマチックが設定されており、しかもそのミッションにはスポーツモードが設定されていた。「初心者でもマニュアル風の走りができます」的な変速機能が組み込まれているのだ。Dレンジで走っていても、アクセルの踏み込みを強くすればエンジン回転をめいっぱい使い切りますよ、といった仕様なのである。

 しかし、昭和のレーサー特有の感情が邪魔をした。「スポーツカーなんだからマニュアルで乗れよ」と……。

 開発者に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「AT限定ドライバーが増えています。そのような方でもマニュアルドライビングを楽しんで欲しいのです」

 いや、だったらMT免許取得しろよ、って気分である。とはいうものの、「レブル1100」の6速マニュアルを選ぶべきか、変速操作から解放されるDCTにするべきかを悩んでいる自分がいるわけで、自分勝手なものです……。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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