クローネンバーグの遺伝子が本格覚醒!? 狂気の近未来バイオレンス『ポゼッサー』

偉大な父と同じ映画監督の道を選んだブランドン・クローネンバーグ監督の新作。攻めに攻めた設定と恐ろしくも美しい映像で観客を震撼させる『ポゼッサー』が、2022年3月4日(金)より全国順次公開されます。

あえてCGは使わない監督のこだわり

 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ主演の長編デビュー作にして怪作『アンチヴァイラル』(2012年)で多くの映画ファンを震撼させたブランドン・クローネンバーグが、最新作『ポゼッサー』で再び映画界に衝撃を与えます。

『ポゼッサー』(c)2019 RHOMBUS POSSESSOR INC, ROOK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights Reserved.
『ポゼッサー』(c)2019 RHOMBUS POSSESSOR INC, ROOK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights Reserved.

 その名が示すとおり、ブランドン監督の父親は『スキャナーズ』(1981年)や『ヴィデオドローム』(1982年)、『ザ・フライ』(1986年)、『裸のランチ』(1991年)、『イグジステンズ』(1999年)、そして『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005年)や『イースタン・プロミス』(2007年)などで知られる鬼才、デヴィッド・クローネンバーグです。

 セレブから採取したウイルスが売買される近未来を描く『アンチヴァイラル』から、8年ぶりとなる新作『ポゼッサー』。今回は第三者の「脳」にトランスフォームし、所有者<ポゼッサー>として「人格」を乗っ取った上で殺人を行う完全無欠の遠隔殺人システムを舞台に、女工作員と人格を乗っ取られた男との生死を賭けた攻防を描くという、またしても攻めに攻めた怪作に仕上がっています。

 本作は2020年サンダンス映画祭でのワールドプレミア後、シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀作品賞と最優秀監督賞をダブル受賞。各国映画祭で39のノミネートと15の受賞を果たし、2021年の第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」部門でも上映されました。真っ赤な鮮血が飛び散る恐ろしくも美しい映像の数々はCGではなく、全て実際に行っているとのこと。監督のフィジカルな特殊効果へのこだわりが感じられますが、このスタイリッシュかつグロテスクな映像表現こそブランドン監督の持ち味と言えるでしょう。

短編TVシリーズの一篇『機械』(1976年)にはホンダのエルシノア125(1973)などが登場
短編TVシリーズの一篇『機械』(1976年)にはホンダのエルシノア125(1973)などが登場

 父デヴィッドは“乗り物”を様々な角度から自身の作品に取り入れており、『ラビッド』(1977年)にはノートンのコマンド850が、短編TVシリーズの一篇『機械』(1976年)にはドゥカティの900SSデスモやダルマをはじめ、ホンダのエルシノア125やCB550、ゴールドウイングGL1000、そしてハーレーダビッドソン・エレクトラグライドなどが登場。さらに『ザ・フライ』の転送装置のデザインはドゥカティのシリンダーヘッド部分から着想を得ているそうで、まさに機械(マシン)に取り憑かれた映画作家でもあるのです。

『ポゼッサー』(c)2019 RHOMBUS POSSESSOR INC, ROOK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights Reserved.
『ポゼッサー』(c)2019 RHOMBUS POSSESSOR INC, ROOK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights Reserved.

 そんな偉大すぎる父と同じ映画監督の道を選んだブランドン監督ですが、その狂気的な才能の覚醒が垣間見える『ポゼッサー』は、2022年3月4日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開です。

狂気の近未来バイオレンス『ポゼッサー』予告編

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