タンデム初体験のバイク女子とツーリングならVストローム250でキマリ!? その理由とは?
ツーリング派に根強く支持されるVストローム3兄弟。なかでも末弟のVストローム250 ABSは、クラスを超えた大柄な車体と扱いやすさが融合し、幅広い層に高い人気を誇ります。バイクジャーナリストの青木タカオさんが、バイク女子の高梨はづきさんとタンデムレポートです。
旅好きが好む3兄弟
昨今、人気を博しているアドベンチャーモデル。スズキのラインナップには、Vストローム3兄弟があります。

『Vストローム1050/XT』を長兄に『Vストローム650/XT ABS』と『Vストローム250 ABS』という布陣です。クチバシが付いているかのようなフロントマスクで、3機種とも共通のデザインとしています。
根強いファンが存在し、スズキでは「Vストロームミーティング」も2014年より開催。トータルバランスに優れ、特にツーリング派に定評があります。
兄たちは欧州市場で生まれ育った
初代は2002年に登場した『Vストローム1000』。TL1000S系の90度Vツインエンジンをリチューンし、快適で上質なアドベンチャーツアラーとして欧州市場で支持されました。
2004年には弟分として『Vストローム650』も誕生。2007年に1000が、2011年に650がフルモデルチェンジされ、ヨーロッパで「Vストローム」ブランドを確立していきます。
国内仕様は180km/hのスピードリミッターを追加するなどし、2014年に発売されました。ゆったりとしたライディングポジションで、長距離走行も苦にしない。オンロード寄りながら荒れた路面も走行できる。アドベンチャーモデルを求めた国内市場にもマッチし、日本のバイクファンにも高く評価されました。

末弟も立派なアドベンチャー
2016年秋のEICMA(イタリア・ミラノ二輪国際見本市)で初披露され、翌17年の大阪&東京モーターサイクルショーで国内のバイクファンから注目を集めたのが、シリーズの末弟『Vストローム250』です。
クラスを超えた大柄な車格で、大排気量でなくともアドベンチャーモデルとしての役割をこなします。兄貴分たちがエンジンをVツインとするのに対し、GSR系の並列2気筒が心臓部。SOHC2バルブのパラレルツインは最高出力24PS/8000rpmで、スペックだけを見れば物足りなさそうですが、実際に走らせると低中速トルク重視の味付けで扱いやすく、キビキビ走ります。
足回りは前後17インチで、ホイールは10本スポークのキャストホイール。前後サスペンションがソフトに動いて、車体も街乗り+ツーリングという用途を考えれば申し分ありません。ハンドリングが軽快で、タイヤに接地感があり、ワインディングも気持ちよく駆け抜けられます。

乗るほどに舌を巻く、それがスズキ
乗った瞬間の感動は小さいものの、走るほどに、乗り込むにつれ「いいバイクだなぁ」と思えてくるのがスズキの魅力、持ち味、性(さが)といいましょうか。特に「Vストローム」は兄貴分たちを含め、その傾向が強いんです。

フル液晶ディスプレイを用いたインストルメントパネルは肝心な速度を大きく表示し、タコメーターをバーグラフ式に左から横に流し、時計やギヤポジション、燃料計も見やすく表示してくれる。機能に特化していて、「設計した人、わかっているよなぁ」と、唸るばかりです。

ヘッドライトはアドベンチャーモデルにありがちな異径ライトではなく“まん丸”で、リムを含め見るからに丈夫そう。実用性重視のウインドスクリーンや12V電源DCソケットも備わり、「どうぞ、日常の足から休日の長旅まで思う存分に使い倒してくれ」と言わんばかり。
防風効果の高いナックルカバーをはじめ、ドライブチェーンの調整やメンテナンスなどに便利なセンタースタンドも新車時から標準装備され、アルミ製リヤキャリアは荷掛けフック付きで質実剛健。さらに純正アクセサリーのサイドケースを付けるためのアタッチメントも、車体に調和したデザインで備わっています。
タンク容量は17リットルを確保し、燃費に優れるエンジンもあいまって満タンでの航続距離は500kmを超えてしまいます。街乗りで近場ばかりを走っていると、「あれれ? 給油したの、ずいぶん久しぶりだなぁ」ってことになりそうです。

タンデム初体験にオススメ!
座面も広く快適なシートに座っていると、「ホントにニーハン?」と疑いたくなりますが、極めつけはタンデムでのコンフォート性の高さではないでしょうか。
タンデム経験が少ないという、バイク女子の高梨はづきさんをリヤシートに乗せてみます。2人乗り体験が少なく、いきなり辛かったり嫌な思いをしてしまうと、タンデムが苦手になってしまいますから、ここは慎重にならなければなりません。
そういう意味では、バイクが大きすぎたりパワーがありすぎてもいけないし、非力で小さすぎて窮屈なんてこともNG。『Vストローム250 ABS』はうってつけではないかと思った次第です。

高梨はづきちゃんの反応いかに!?
実際に2人乗りで走ってみると、運転するライダーも後ろに乗るパッセンジャーも驚きの快適性ではありませんか。高梨さんにファーストインプレッションを聞くと、こう答えてくれました。

初体験で嫌な想いをさせずに済んだ!
『Vストローム250 ABS』でよかった! まず後部シートは座面が広く、平らでありながらタンデムステップに足を伸ばしやすいよう、角を削った絞り込まれた形状になっています。

パッセンジャーもニーグリップがしやすいうえ、大型リヤキャリアがグリップを兼ねて発進時や減速時も身体を支えやすい。運転するライダーとも離れすぎず、肩の上から前方が見やすく安心感があるから、長い距離を走っても結果的に疲れにくいのです。
しばらくタンデム走行し、我々ふたりはバイクを降りると「ホントにニーハン?」と顔を見合わせるのでした。『Vストローム250 ABS』は税込み61万3800円で、ライバルと比較しリーズナブルなところも魅力となっています。人気なのも納得です。
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。