知ってる? 水冷バイクの冷却水の役割とは

水冷エンジン搭載バイクには、冷却水の存在が欠かせません。では、冷却水が無くなった状態で走行を続けた場合、一体どうなるのでしょうか。

冷却水がなくなった状態でバイクを走らせると最悪の場合は廃車に!?

 バイクのエンジンには、空冷エンジンと水冷エンジン、そして油冷エンジンの3種類があり、それぞれの大きな違いは冷却方法。空冷エンジンは走行風、水冷エンジンは冷却水を利用して、エンジンの熱を冷やします。そして、水冷エンジンに使用される冷却水はクーラントやLLC、またはラジエター液と呼ばれる重要な消耗アイテムです。

 エンジンのシリンダー内部では、点火プラグによりガソリンが爆発を繰り返し、温度が上昇し続けます。冷却水はその上昇した温度を、一定に保つ役割を持っています。そのため、水冷エンジン搭載バイクには、冷却水の存在が欠かせません。

 では、もし冷却水が無くなった状態で走行を続けた場合、一体どうなるのでしょうか。

バイクのエンジンは水冷と空冷が存在
バイクのエンジンは水冷と空冷が存在

 結論からいうと、冷却水の適正な量が保たれていないと、エンジンが焼き付いて停止してしまう危険性があります。

 冷却水がないとエンジンが冷却されないため、エンジン内部の温度が上昇。上がり過ぎた熱により、エンジンオイルで形成された油膜が切れたり、部品が溶けたりして作動不能に。焼き付いてしまうと異音や異臭などのほか、突然エンジンがストップしてしまう場合もあります。

 走行中に突然エンジンがストップしてしまうとバランスを崩し、転倒事故になる可能性があり非常に危険です。また、一度焼き付いたエンジンは使い物にならない場合が多く、修理は不可能ではありませんが、高額な修理代がかかる可能性があるので注意してください。

 なお、一般的に冷却水は自然蒸発して減少していきますが、ラジエターやホースなどが劣化して、つなぎ目から冷却水が漏れたりする場合もあります。冷却水が漏れだすと甘い匂いがしたり、白い煙(水蒸気)が出たり、バイクに緑や赤の粉が付着するなどの異変発生。これらの症状が起きてないか、日常的にチェックしておくと安心です。

運転中に冷却水の減少に気付いたら?

 では、運転中に冷却水の残量が少なくなっていることに気付いた場合、水道水などを使用しても良いのでしょうか。

エンジンの冷却水は定期的にチェックすることが重要
エンジンの冷却水は定期的にチェックすることが重要

 答えは、使用可能です。ただし、水道水は外気温が0度になると凍ってしまうため、暖かい季節で凍結の心配がないことが条件。水が氷になって体積が1割ほど増えることにより、ラジエター内部やウォーターポンプ、冷却水用ホースなどを破損する可能性が出てきます。

 また、水道水を長期間冷却水として使用すると、ラジエター内部や冷却水を送るウォーターポンプに錆が発生し、冷却水が通る通路を錆で塞いでしまうかもしれません。

 そういった場合、エンジンの冷却機能に支障がでてしまい、冷却水の役割を果たすことができなくなります。また、ミネラルウォーターも、一時的には冷却水の代わりは可能です。しかし、水道水と同様に錆びたり、凍結したりするリスクがあるほか、水自体に含まれるミネラル成分がラジエターやホース内で結晶化して、内部を破損する可能性もあるので注意してください。

 もし、緊急事態でミネラルウォーターを使う場合は、ミネラル分が少ない軟水を使用したあと、整備工場できちんと冷却水に入れ替える必要があります。

 一般的な冷却水にはエチレングリコールが混ぜてあり、凍結防止作用のほか、金属部品の腐食やサビ、ホースなどゴム製品の劣化を防ぐ効果も含まれているので、適正な製品を使うことでバイクの寿命を延ばすことができるのです

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 冷却水はエンジンの温度を下げて、一定に保つ役割を持っています。しかし、時間が経つにつれて冷却水の量は自然に減っていくことに加え、性能も低下するため、2年に1回の頻度で交換することが重要。

 ミネラルウォーターや水道水などを使用することもできますが、冷却水本来の役割を十分に果たすことができないため、きちんと専用の製品を使用するようにしましょう。

 日常的なメンテナンスの一環として、普段から冷却水の量をチェックして、異常がないか確認しておくと良いでしょう。

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