「美味しんぼ」に登場した「吉田のうどん」の名店で実感! 強いコシは女性の社会進出が理由!?
ツーリングルートとして人気の富士山方面。麓の山梨県富士吉田市や忍野村で食べられる「吉田のうどん」を目的にグルメツーリングをするという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、グルメ漫画「美味しんぼ」に登場した名店をご紹介します。
農林水産省が「農山漁村の郷土料理百選」に選定
梅雨が明け、麺類がさらに美味しい季節になってきました。
関東の人気ツーリングスポットのひとつといえば富士山方面です。麓にある山梨県富士吉田市や忍野村などの郡内地方を中心に食べることができる「吉田のうどん」は、そんな富士山方面のツーリングで、ぜひ食べて欲しいグルメです。
バイクで西湖、精進湖、本栖湖、河口湖、山中湖が連なる富士五湖巡りを楽しみながら、筆者も「吉田のうどん」を食してきました。

吉田うどんと称されることが多いのですが、正式名は「吉田のうどん」。
2007年に農林水産省が、各地で受け継がれてきた食文化の代表として選定した「農山漁村の郷土料理百選」にもセレクトされており、噛めば噛むほど素材と出汁の旨味を楽しめる、硬くてコシの強い麺が特徴です。
富士吉田市の観光ガイドに載っている店舗だけでも数十軒あり、お店選びに迷うところですが、今回は国民的グルメ漫画「美味しんぼ(80巻・日本全県味巡り 山梨編)」にも登場した、忍野村の「渡辺うどん」さんを訪れました。
優しいツユと調和するしっかりと噛んで食べる麺
下調べして得た情報では、かなり並ぶ人気店とのことだったので戦線恐々でしたが、食べに行った日曜日は開店時間の11時より早くから営業されているとのこと。それを知らず10時50分頃に行ったところ、すでにバイクやクルマが何台か停まってはいましたが、スムーズに入店することができました。
11時を過ぎると俄然混み始め、相席を依頼されている人も見受けられたので、ツーリング仲間や家族など、複数人で訪れる際は、余裕を持って、早めに向かうと良いでしょう。
有名店だけのことはあり、店内の一角にはTV番組の取材で来たと思われるお笑い芸人やタレント、著名なミュージシャンのサインが、所狭しと飾られていました。

壁にメニューが貼られていて、一瞬だけ目移りしましたが、ここはやはり一番人気の「肉玉うどん(中)」をチョイス。1分ほどで出てきたうどんには、甘辛く煮込まれた馬肉、柔らかく茹でられたキャベツ、玉子、わかめ、ひと口大にカットされた油揚げがのっています。
まず最初にすすってみたツユは、ありきたりな表現ですが、優しい穏やかな味わい。煮干しを中心にした出汁と醤油がベースだと思われますが、ほんのりと感じる味噌の風味が家庭のお味噌汁を思わせ、なんとなくホッとする味付けです。
続いて主役の麺へと取りかかりますが、こちらはすするというよりもしっかりと噛んで食べるイメージ。
普通のうどん生地は寝かせる時間が1時間から3時間程度なのに対し、こちらのお店では丸ひと晩寝かせるため、生地の水分が抜け、コシがあって力強い、歯ごたえのある麺になるようです。打ち粉をたっぷり振って太く切ったうどんを大きな釜でぐらぐらと煮るのも美味しさの秘密だといえるでしょう。
多くのメニューで大・中・小を選べますが、筆者は中がオススメ。成人男性には少し量が少ないかもしれませんが、そんな場合には替え玉があるので心配ご無用。
テーブルには、やや辛みを感じるお店独自のすりだね(薬味)、天かすも置いてあるので、味の変化も楽しめます。
あえてお腹をいっぱいにせず、バイクで何店舗かハシゴをするなんて楽しみ方も、ツーリングならではかも?
うどんの硬さやコシの強さは女性の大活躍が理由
ちなみにですが、製法以外に「吉田のうどん」が硬い理由として、江戸末期から昭和初期の吉田地区では、繊維業が中心的な産業だったことも挙げられます。
織物の機械を動かすのに忙しい働き手の女性に代わり、男性が炊事を受け持ち、昼食として仕事の合間に短い時間で食べられるうどんを作ったことが「吉田のうどん」のルーツとのこと。
その際に。その際に、満腹感を得られ、なおかつ腹持ちが良くなるよう、強い力でこねられた、硬く、コシがあって太い、独特のうどんが誕生したそうです。

また、女性たちが炊事を避けた理由として、水仕事によって手が荒れたり、あかぎれができたりして、扱う糸が痛むのを防ぐこともあったとか。
現在、多様な働き方や女性の社会進出といったことが盛んにいわれますが、冷涼な気候と水持ちの良くない土質によって稲作が難しかったという事情があったとはいえ、地域の産業を支えた女性たちの活躍が「吉田のうどん」の硬さやコシの強さの理由だったとは、驚きです。
Writer: 井出ナオト
ロードレース専門誌時代にMotoGP、鈴鹿8耐、全日本ロードレース選手権などを精力的に取材。エンターテインメント系フリーペーパーの編集等を経て、現在はフリーランスとして各種媒体に寄稿している。ハンドリングに感銘を受けたヤマハFZ750がバイクの評価基準で、現在はスズキGSX-R1000とベスパLX150を所有する。
Twitter:@naoto_ide




