どっこい生きてた125オフ! 海外ブランドなら妥協なしの本格派が選べる『XEF125』に試乗
国産モデルが少なくなったエンデューロモデル、海外ブランドのファンティック「XEF125」にモータージャーナリストの青木タカオさんがオン・オフの走行性能を探ります!
重宝する原2ナンバー付きトレール
4スト125ccエンジンは扱いやすく、軽い車体に走破性の高い足まわりをセットしたトレールモデルなら、ツーリング先で舗装が途絶えようとも臆せず進んでいけます。
「この枝道の先はどうなっているのか?」
旅先でのそんな好奇心を満たしてくれるのです。
「エントリーユーザー向けに」「セカンドバイクに」「街乗りにもちょうどいい」と人気を博し、かつては欠かせないセグメントとして各メーカーからラインナップされていた125ccのナンバー付きトレール。

気がつけば、国内4社から日本向けには発売されておらず、軽二輪枠にかろうじてホンダ『CRF250L』があるものの、排気量を問わずナンバー付きトレールは絶滅危惧種となっています。
さすがはイタリアンブランド
そんななか、見逃せない存在となっているのが、ファンティックです。1970年代から80年代にかけて、モトクロスやエンデューロ、トライアルで世界に名を馳せたオフロードの名門で、1968年にイタリア北部バルザゴで創業。1995年に工場が閉鎖してからは経営破綻と再建を繰り返しましたが、生まれ変わった現在ではモータリスト合同会社が日本における販売総代理店として取り扱っています。

公式ホームページでは「大人の走りのプレミアムトレール」とうたわれ、「ENDURO」にカテゴライズされているのがXEFシリーズで、『XEF 125』と『XEF 250 Trail』が4ストロークモデル。さらに、2ストモデルの『XE50』まで揃っているのですが、いずれも本格的なフルサイズボディとしているから嬉しい限りです。
フルサイズが嬉しい
走破性に優れるフロント21インチ、リヤ18インチのホイールサイズで、前後サスペンションは倒立フォークとモノショックという組み合わせ。もちろんブレーキも前後ディスク式で、まさに“プレミアムトレール”としか言いようがありません。

クロームモリブデン鋼ペリメタフレームに、ボア・ストローク:52×58.7mmで排気量を124.66ccとした水冷単気筒エンジンを搭載。始動はセル式で、最高出力11kW(14.96PS)/9750rpm、最大トルク11.8Nm/6750rpmを発揮します。
VVA(可変バルブアクチュエータシステム)とフューエルインジェクションの組み合わせによって、低回転域から力強く、スムーズなまま高回転まで回っていきます。
車体重量はガソリンを抜きにして108kgしかなく、スロットルレスポンスの良さにも貢献。フロントをくぼみや溝に落とし、車体の挙動が乱れたときも、アクセル操作で鋭くダッシュし、立て直すこともできます。
ENDUROと呼ぶに相応しい足まわり
インナーチューブ径41mmの倒立フォークとピギーバック付きのモノショックはしなやかに入って、大きな負荷がかかっても底づきせず受け止めてくれるから、ダートでもアクセルは大きく開けがちになり、性能の高い足まわりはビギナーにも大きな助けとなるでしょう。

アルミ製のスイングアームや軽量高剛性のリムなど、細部に至るまでハイスペックで、フロント260mm/リヤ220mmのディスクブレーキも制動力とタッチに申し分ありません。
街乗りやツーリングにも最適
スリムでフィッティングの良い燃料タンクは、ツーリングでも不足のない7.5Lの容量を持ち、一般道もシャシーの剛性がしっかりとあることで想像以上に快適。

ハンドリングの軽快性を武器に、ワインディングも良いペースで駆け抜けることができます。アクセルをワイドオープンにして高回転まで引っ張り上げても、粘り強くパワーを絞り出してくれるのでした。
オフ好きには嬉しい高いシート
オフロード性能の高さを示すように、シート高は915mmとコンペティションモデル並み。ただし先述した通り、前後サスが初期からソフトに動き、ライダーが跨がればじんわりと沈み込んで、身長175cm/体重67kgの筆者だと不安はありません。

というのも片足つま先ですが、車体が軽いので取り回しが苦にならないのです。ライダーに媚びることなく、シートがフラットなままテールエンドに立ち上がっていくスタイルが、オフロードファンとしては大きな魅力となるはずでしょう。

シンプルなリヤセクションや、上を向くアップマフラーもホンモノを感じさせ、車体価格99万円(税込み)も納得がいきます。用途の多い125ccオフローダー、海外ブランドなら新車で手に入れることができるのです!

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。









