1月25日発売のスズキ「GSX-S1000GX」 なぜ旧型エンジンがベース? 電子制御サスは何がすごい? 開発陣に聞いてみた

専用設計の制御系とスズキ製バイク初の電子制御サスペンション

 エンジン自体と出力特性は同じであっても、制御系に関してはGX専用のものが採用されています。

スズキ「GSX-S1000GX」。6軸IMU(慣性計測ユニット)を新たに搭載することで、より細かなマシンコントロールを実現しています
スズキ「GSX-S1000GX」。6軸IMU(慣性計測ユニット)を新たに搭載することで、より細かなマシンコントロールを実現しています

 GXでは6軸IMU(慣性計測ユニット)を新たに搭載し、より細かいマシンのコントロールを行っていますが、例えばGSX-S1000やGTでは5段階+オフだったトラクションコントロールは7段階+オフとさらにワイドレンジに。

スズキ「GSX-S1000GX」に乗る筆者(鈴木大五郎)
スズキ「GSX-S1000GX」に乗る筆者(鈴木大五郎)

 6〜7は雨や著しく路面が滑りやすい状況に向けてかなりマージンをもって設定されているとのことです。

 もっとも介入の少ないのは1で、マシンを深くバンクさせている状態からわざとスロットルを大きく開けてその作動を確認するも、大きくリアタイヤが滑る前に出力がコントロールされ挙動を乱すことはありません。

 サーキットも走らせるようなスポーツバイクと異なり、マシンの挙動を大きく崩すことのない設定としているとのことです。

 これは同時にウィリーコントロールにも言えることで、腕のたつライダーであれば「ちょっと介入が早いかな?」と感じられるものですが、なによりも安全が損なわれず怖さを感じさせない作り込みをしたといいます。

 もちろんトラクションコントロールをオフにすれば、2速でも高々とフロントホイールが宙に浮くというパワフルさと同時に、制御の確かさを確認。また、加速時だけでなく、減速時にはコーナリングABSも備わり安全性もさらに高められています。

スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション。スズキのモーターサイクルとして初めて採用されています
スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション。スズキのモーターサイクルとして初めて採用されています

 スズキのモーターサイクルとして初めて採用された電子制御サスペンションは、前後150ミリという長いストロークを様々な状況で有効に使うための装備であるといえでしょう。 ユニット自体は日立アステモ製SHOWA EERA(ショーワ・イーラ)を用いていますが、時間をかけてスズキ独自のセットアップを施しているといいます。

スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション
スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション

 減衰力は1000分の1秒という超高速で検知された情報をもとにアジャスト。実際1000分の1秒で検知したとしても、アジャストには少しのタイムラグが発生します。

 そのタイムラグが違和感につながることもありますが、GXは処理能力も速く、そのフィーリングも自然なものとなっていました。

 GXはソフト、ミディアム、ハード、そしてさらに細かいアジャストの出来るユーザーモードが選択可能。開発陣に「選択することなく、全てに対してアジャストしてくれるほうが有り難くいのでは?」と聞いてみましたが、ワイドレンジのなかでアジャストしていくことも可能ではあるものの、ある程度設定を絞ることでよりはっきりとキャラクターの変化を楽しんでもらうための装備でもあるとのことです。

 事実、それぞれの設定で大きくキャラクターが変わることで、1台で何通りものマシンを味わえるという驚きと楽しみが存在していたのも事実です。

 また、その変更操作自体がシンプルに出来ることで、性能を手軽に味わえるのもメリットでしょう。

スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション。リアショックのプリロード調整も電動で行なわれます
スズキ「GSX-S1000GX」に搭載された電子制御サスペンション。リアショックのプリロード調整も電動で行なわれます

 さらにGXのサスペンションは、ダンピングのみならずリアショックのプリロード調整も電動で行なわれます。

 任意にソロ、ソロ+積載、タンデムとプリロード量が変更出来ることに加え、オートモードではサスペンションの沈み込み量を元にベースのプリロード量を設定。

 これは走行中も絶えず検知されるとのことですが、減衰力と異なり、リアルタイムで瞬時に設定変更するのは難しいとされています。しかし、大きく前後の重心バランスが崩れて連続走行するシーン等では適切な姿勢に落ち着かせるとのことです。

 また、欧州に多い石畳等、ラフな道路状況が長く続くような状況においてはスズキロードアダプティブスタビライゼーションが作動。マシンの挙動を抑えるべく設定範囲を超えた減衰調整が行われることに加え、ギャップによってスロットル操作がラフになった状況を回避すべくエンジン出力もコントロール。

 開発陣によれば、日本の道路で作動する機会は殆どないだろうとのことでしたが、マシンのキャラクターからの走行シチュエーションを考えれば、非常に有効性の高い装備と言えるでしょう。

スズキ「GSX-S1000GX」
スズキ「GSX-S1000GX」

 過去最高に電子制御が詰め込まれたマシンとなったGX。しかし、同時に血の通ったスズキらしさもしっかりと感じさせるマシンに仕上がっていました。GXに乗ることで、スズキがバイク作りに取り組むブレのない姿勢を再確認することが出来たのです。

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