カワサキの名車「ダブル」が“まったく新しい姿”で生まれ変わった!? クラシカルルックで妖艶なタイ発のチョッパーに注目!
2年に1度開催されるアジアを代表するカスタムイベント「バンコクホットロッドカスタムショー2026」。その第6回目となる会場に展示されたカスタムマシンを紹介します。
タイの地で覚醒したニッチなベースマシン
近年の世界的なネオクラシックブームによって、オリジナル(純正状態)の美しさが国内外で極めて高く評価され、重宝されている往年の名車や旧車たち。
その潮流に逆らうかのように、至高のヴィンテージバイクを惜しげもなく大胆なカスタムへと投じた一台が、タイのバンコクホットロッドカスタムショーに突如として現れました。
ベースとなっているのは、2機のキャブレーターを備えたカワサキの「W(ダブル)」。その特徴から、通称“ダブワン”の後期型にあたる国内モデル「W1S」か、もしくは輸出モデルの「W2」であると推察されます。
半世紀以上の時を超え、東南アジアの地でフルスクラッチに近いモディファイを施されたこのマシンは、来場者に鮮烈な驚きを与えていました。
基本的な骨格や心臓部であるバーチカルツインエンジンこそ原型を留めているものの、フレームのフルクローム化やエンジンの徹底的なポリッシュ加工によって神々しい輝きを放ち、キャブレーターのマニホールドやファンネルの美しさもさることながら、特筆すべきは操作系の常識を覆す大改造にあるでしょう。
本来、この時代のWは現代の一般的なオートバイとは真逆の「右シフト・左ブレーキ」システムを採用していますが、このマシンは驚くべきことに現代主流の「右ブレーキ・左シフト」へと完全にコンバートされています。
右フットブレーキは柔軟なワイヤー引きとすることでクリアし、最大の難所である左シフトは、別体ミッションから伸びるリンゲージをスイングアームシャフトの内部へと巧みに通すことでリンクを完遂。決して一筋縄ではいかない複雑な加工を、ビルダーの卓越した技術力により見事に具現化しています。

しかし、この車両の真価はメカニカルなギミックに留まりません。
車体を包み込む淡い紫を基調としたペイントは、絶妙なグラデーションで異なる紫があしらわれており、洗練された高級感とどこか官能的で妖艶な雰囲気を漂わせています。
さらに足回りや全体のシルエットにも、ビルダーの膨大な知識量と並外れたセンスが息づいており、ナローなトリプルツリーでタイトに仕上げられたフロントユニットにワイドめのアップハンドルが組み合わされ、マフラーは力強くカチ上げるのではなく、エンド部を絶妙にアップスイープさせ即座にカットしたショートエキゾースト仕様とされています。
このチョッパースタイルでありながら、あえてアップマウントに設定したリアフェンダー、そして前後ホイールには往年の「Hリム」を奢ることで旧車特有のクラシカルな美学を調和させています。
日本生まれのWが、まさか製造から50年以上が経過した現代のタイでレストアされ、ここまで独創的なカスタムマシンへと変貌を遂げるとは、かつての開発者もこの車両自体も想像していなかったに違いないでしょう。
近年、目まぐるしいスピードで進化と発展を遂げているタイのカスタムカルチャーですが、ハーレーダビッドソンやヤマハ「SR」といった王道のベース車両に頼るのではなく、あえてニッチなマシンを完璧に昇華させるその情熱と高いクオリティは見ての通り。
国境を越えたカスタムの無限の可能性を証明する、至高のマスターピースと言えるでしょう。
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