「黒」を基調に白とクロームのスパイスを効かせた大人スタイル

　今回紹介するホンダ「シャリィ」カスタムを含む、「モンキー」や「ダックス」などのミニバイクカスタム界において、ムチムチのワイドタイヤを履かせる「太足」、そしてエキゾーストパイプが擦りそうなほど車高を落とす「シャコタン」の2つの手法は、4ミニカスタムのセオリーと言っても過言ではないでしょう。

　しかし、そのセオリーのままだと「ずんぐりむっくり」とした可愛らしさはあるものの、“可愛い”が“カッコイイ”を上回ってしまいます。

　そこで今回紹介するシャリィは先の太足＋シャコタンにしながらも、カッコイイに振ったスタイルを形成しています。

　まず、良い意味でシャリィらしからぬ「黒」一色に仕上げられたエクステリアにより、可愛らしさを払拭しシャープでカッコイイ印象と高級感すら漂わせています。

　ただ「黒」に塗装すれば良いという訳ではなく、ハンドルは一度前方へ突き出した後に乗車ポジションへとオフセットし、フラットタイプのバナナシートとキャリアを備えることで、ホイールベースは変わらないものの視覚的に全長を長く見せています。

　そして前後のキャストホイール、乾式クラッチのプレート、FCRキャブのトップカバーなどを「黒」の対象色である「白」とすることで、スポーティーでレーシーなイメージを構築しています。

　また、エンジンチューンも施されており、見ての通り本来はフレーム内に収まるキャブレーターが外装から飛び出している点にも注目したいところです。

　最後に、光り物のライトベゼル、前後のリム、クラッチカバー、シートモール、テールランプブラケットを車体全体にバランス良く配置し、のっぺりとしがちな「黒」にメリハリをつけています。

　モンキーやダックスと比べてカスタムベースとして敬遠されがちなシャリィですが、この1台を見れば配色バランスこそ難しいものの、イメージを一新するどころか大人カッコイイシャリィへ変貌を遂げることが可能なことがお分かり頂けるでしょう。