ホンダ「スーパーカブC100」をさらに旧車的魔改造!! 誰もが感じる「懐かしバイク」を目指したDIYカスタムがスゴイ
誰に何か言われても、マシンオーナー個人のアイデアとセンスで突き進み、バイクいじりを楽しむのがカスタムマシン作りの理想像であり醍醐味と言えます。オリジナルフォルムを残さないフルカスタムには、様々な意味で「相当に高いセンス」が求められますが、この「スーパーカブC100」カスタムには、観る者の多くを引き寄せる魅力があります。
旧車「スーパーカブC100」をさらに旧車的魔改造!?
マシンオーナーの思い入れひとつで、まさかまさかのスタイリングに大変貌するのが、カスタムマシン作りの楽しさです。
スペシャルショップやビルダーに製作依頼したものではなく、オーナー自身の手で、すべてがDIY作業で仕上げられたと聞けば、バイクいじりが大好きなサンデーメカニックなら、誰もが興味津々となるはずです。
バイクの仕上がりセンスもさることながら、ディテールの作り込みや材料のチョイスが、実に興味深いクラシック系カスタムマシンが、このスーパーカブC100カスタムです。

カスタムマシン作りの素材モデルとして、数多くのバイクファンに愛されているのがホンダ「スーパーカブ」です。特に、プレスフレーム時代の通称「鉄カブ」は、様々な方向性でカスタマイズを楽しめます。
デザイン的に大きなアイコンでもある、レッグシールドを取り外すだけでも、その雰囲気は様変わりします。そこからさらに鉄フレームをチョップして、軽快なカブチョッパースタイルを楽しんだり、ハイパフォーマンス系パーツを満載したカスタムスタイルも人気です。
生誕60周年かつシリーズモデルの生産累計が1億台に達した頃には、国内バイクシーンに於けるスーパーカブシリーズの人気が、また新たな時代へ突入しています。
「CC=クロスカブ」シリーズがラインナップに加わり、「CT=ハンターカブ」シリーズの復活によって、新シリーズ人気は不動のものとなりました。

大型自動二輪免許が教習所で取得可能になり、すでに30数年が経過しましたが、その間、国内バイク市場の注目は、大排気量スーパースポーツやネイキッド、そしてツアラーモデルがメインでした。
大型自動二輪免許取得者のバイクファンも、成熟してきたことで、大型モデル一辺倒ではない考え方も生まれ、そんなタイミングでスーパーカブの新シリーズが登場したこともあって、人気に拍車をかけたようです。
高速道路網の充実だけではなく、一般国道を始め市道や生活道路の整備によって「高速道路を使わなくてもツーリングを楽しめる環境」が広がっています。
そんな一般道の道路事情も、原付2種クラスの活性化に大きく貢献しているようです。
1950年代を目指した1960年代の代表モデル
現代のスーパーカブシリーズが大人気を誇る一方で、旧車系スーパーカブにも根強い人気があります。

OHVエンジンを搭載した初代C100シリーズに始まり、OHCエンジンに進化し通称「オッパイウインカー」を装備したスーパーカブ。通称「かもめハンドル」を装備してメタリック塗装を初採用したデラックスシリーズ。1980年代から90年代は、1ボディタイプに集約されながらもグラフィック変更が積極的に行われ、1997年には前後14インチホイールで足つき性をさらに高めたリトルカブが登場しました。このリトルカブが登場して以降は、さらなる小径ホイール化を進めたカスタム仕様も数多く登場しています。
独自のクラシックスタイルを追求しているのが、このスーパーカブC100カスタムです。製作者でありベテランライダーのオーナーさんは、C100シリーズが隆盛を極めた以前の時代のバイクの容姿を創造しました。
1950年代前半、ホンダがスーパーカブで成功する以前に大きなシェアを誇っていた、トーハツやヤマグチのデザインイメージでもあります。

驚きなのがフレームパイプの材料です。ホームセンターで容易に購入できる単管(足場や手すりなどに使う鉄パイプ)を利用している点です。
「フレームが余っていたので、製作してみました。足まわりや外装部品も、手持ちの余っていた部品を組み合わせてみました」とはマシンオーナーであり製作者の江原さんです。
オリジナルデザインの完成車を無理に改造するのではなく、余っていた部品やスペア部品を組み合わせることで完成させたのが、このカスタムマシンになります。
作り手のやる気次第で、完全オリジナルの「ものづくり」を楽しむことができる、好例と言えるでしょう。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。















