ホルムズ海峡封鎖危機は“バイク”だけでなく“コーヒー屋”も直撃!! バイクライドもコーヒーブレイクも平和の象徴⁉︎ デイドリップ通信Vol.50
バイク乗りのカフェ店主、黒田悟志さんによる連載コラム。今回はホルムズ海峡を巡る、バイクとコーヒーへの影響についてのお話です。
チューニングしたバイクとコーヒーを同時に味わう
こんにちは、Day Drip Coffeeのクロダです。都内のとある住宅街で小さなロースターカフェをやっている、バイクの好きな店主です。このコラムは「バイクとコーヒー」をテーマに、この二つの世界を行き来して感じた様々なトピックをお届けしています。
今回のコラムは石油(ガソリン)とコーヒー豆の危機について。テレビなどの様々な報道機関から、「ホルムズ海峡封鎖危機」について連日のように伝えられていますね。この問題についてバイクとコーヒー双方の視点から取り上げてみたいと思います。
まずホルムズ海峡とは何なのか? ですよね。中東にペルシャ湾という大きな湾があるのですが、その出口の一部が狭くなっていてそこがホルムズ海峡です。イメージでいうと東京湾の出口の、神奈川県側の観音崎と千葉県側の富津岬の間、みたいな感じでしょうか。ちなみにこれは地形としての例え話であって、他意は全くございませんのであしからず。
そんなホルムズ海峡は、世界の石油貿易にとって大変重要な場所です。現在世界の石油輸送のおよそ20%が、ここを通過して運ばれていくからです。日本にとってはどうなのかと言うと、大変重要どころか超・超・超重要な場所です。
なぜなら日本が輸入する石油の、なんと90%以上がここホルムズ海峡を通るからです。それが今年2月末頃からアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が始まったことで、イラン側が海峡を封鎖。戦況の変化の果てに、今はアメリカが逆封鎖という、如何ともしがたい状況が続いています。
真っ先に影響を受けたのがガソリン価格でした。3月にはレギュラーガソリンの平均価格が1リットルあたり186円台まで上昇、現在も165円台で高止まりしています。影響は次第に広がり、ナフサが原材料となるような石油由来の製品の不足や価格高騰、またそこから派生する様々な業種・業態への影響も現れ始めています。それはコーヒー屋も例外ではありません。

アイスコーヒー用のプラカップやストローは元より、ホットコーヒー用の紙コップだって、内側はポリエチレンのフィルムがコーティングされているので、これも原材料はナフサです。コーヒー生豆を運ぶのはトラックとタンカーで、その燃料も石油です。
今回はイスラエル+アメリカ対イランですが、2023年にはイスラエル対ハマス(パレスチナのガザ地区を支配するイスラム主義組織)の争いがありました。この時ハマスを支持する諸勢力の一つであるイエメンのフーシ派が、紅海の出口であるアデン湾で船籍を襲撃する事態が勃発しました。
湾の要所で攻撃が行われ、物流が滞るという構図は、今回のホルムズ海峡と全く同じです。この時はコーヒー生豆を輸出するために紅海を使用するエチオピアの船便が大幅に減ってしまい、エチオピア産豆の輸入が滞りました。
運ぶにもスエズ運河〜喜望峰経由の長距離だと運賃は高騰。もしアデン湾を突っ切るにしても、タンカーに多額の戦争保険金を掛けるため、やはり運賃に影響が出ます。
そして何とか日本に到着しても、豆が傷んでいて使い物にならないというケースを多く耳にしました。なぜならエチオピア国内でも港へ運ぶための物流が滞り、途中で定温倉庫などに保管されないまま輸出を待つことになった生豆が傷んでしまったそうなのです。イエメンのフーシ派はイランを支持する組織でもあり、今後も紅海封鎖のリスクは存在します。
石油もコーヒーもほぼ輸入に頼っているものであり、中東情勢に少なからず影響を受ける点でも、大変似たような存在であることがお分かりいただけたかと思います。見方を変えれば、バイクライドもコーヒーブレイクも世界が平和だから楽しめるもの。
「風が吹くと桶屋が儲かる」ということわざじゃないけれど、政情不安は巡り巡って僕らの暮らしに大きな影響を及ぼします。今後の世界情勢や様々な動向を注視しておきたいですね。
Writer: 黒田悟志
世田谷の自家焙煎カフェDay Drip Coffee店主。自転車ロードバイクに20年ほど乗ってきたが、2年前オートバイに目覚めて自動二輪免許取得。両足2気筒から4スト単気筒へ。昨年はSSTRにも初参加しバイクライフを堪能中。





