ハーレー・ダビッドソンの転換期を感じさせる新型「ソフテイル」のスポーティさ

ファットボブという新提案

 ユーザーが求めているのは、もうトラディショナルなスタイルだけではない。それを知ったハーレー・ダビッドソンの開発陣は、エンジンを搭載するプラットホームを1から作り直すことを決めました。ハイスピードにも耐えられるよう強度を上げ、より俊敏に走るよう軽量化も両立させます。さまざまなトライ&エラーを繰り返した末に生まれたのが、今回の新作だったのです。

「FATBOB 114」

 ケビンさんは教えてくれました。
「強度を65%向上させながら、車体の重量を15〜20%落とすことに成功しました。そして『ヘリテイジソフテイル』や『デラックス』のようなトラディショナルなモデルを進化させそのまま継続させつつ、従来にはなかったスポーティ路線のモデルを追加することに至ります。『ファットボブ』のようなモデルです」

 ケビンさんは、ファットボブを「今回のヒーローモデル」と呼びました。角目のLEDヘッドライト、スポーツバイク用の倒立式フロントフォーク、スタイルだけを見ても熱い走りを予感させますが、実際に乗ると、これがあのハーレーなのかという軽快感があります。

「FATBOB 114」

 スポーツバイクのような長めのストローク量を持つ前後サスペンションを備え、グリップ性に優れるラジアルタイヤを履いています。オートバイはライダーが体を動かして前後サスペンションに荷重を掛けつつ操ることで、より高い運動性能を発揮しますが、ファットボブはそれを前提とし、動きやすいシートと操作しやすいハンドルでスポーティなライディングを実現してくれるのです。

エンジンは「よりテイスティに」

 新型ソフテイルは、搭載されるエンジンも新しくなりました。空冷Vツインという伝統を受け継ぎながら、4バルブ、ツインスパークといった新技術を採用。狙ったのは「ただ単にパワフルに」というだけでなく、「より味わい深く」という乗り手の感性に訴えかけるもの。1000rpm前後だったアイドリング回転数を850rpmに下げたり、走行中にもハーレーらしいエンジンの鼓動を強く感じるように味付けするなど、進化しても持ち味を失わないよう開発陣は考えたのです。

「BREAKOUT 114」

 排気量は1745ccをスタンダードに、『ヘリテイジソフテイル』『ファットボーイ』『ファットボブ』『ブレイクアウト』では上級仕様として1868ccも選べます。

 乗ってみると、1745ccでも充分過ぎるほどの力強さですが、1868ccのモアパワーもまた魅力的です。飛躍的進化を果たしつつも、どちらもロングストローク設計ならではの大らかさがあり、昔ながらのハーレーが好きというオールドファンも唸らせる出来映えです。

他社のネオクラシック路線に対抗する本家

 カワサキ『Z900RS』やヤマハ『XSR700』、BMW Motorrad『R nineT』(アール・ナインティ)シリーズ、トライアンフ『モダンクラシック』シリーズなど、他メーカーがレトロ志向のモデルをリリースし、市場でも受け入れられている現在。そのシーンなら本家ともいえるハーレー・ダビッドソンは、トラディショナル路線をそのままにユーザー層を拡げるべく走りの性能を上げてきました。

「このままではいけない」と転換期を迎えたハーレー・ダビッドソンに、今後も注目したいと思います。

【了】

提供:くるまのニュース

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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