走る実験室「サンダンス・ゴールデンボールズ」米国デイトナスピードウェイで勝利を飾ったハーレーが生み出された意義

サンダンスによるワンオフ(一品もの)ガソリンタンクからオリジナルのテールカウルへと流れるようなラインが印象的なリアビュー。J・スプリングスティーンがGNCフラットトラックで固定ゼッケンとして使用した#9がデイトナでの勝利を思い起こさせます
車体はフロントフォークを倒立タイプに換装した上、ワンオフ(一品もの)トリプルツリーでトレール量を適切に補正。その上でフレームもスイングアームピボット位置の高さが変更されており、そこにアルミ製目の字断面スイングアームをセット。ピボット部はフレームにウェルドオン(溶接)されたサブフレームで挟みこまれた構造となっています
エンジンは当初、ハイパーブランチヘッドとウエポンカム、点火の変更に留められた仕様でしたが、公道とサーキットでのテスト走行を経てクランクやコンロッドを強化タイプに変更。またサンダンス・FCRキャブもワンオフ(一品もの)マニホールドでダウンドラフトスタイルになっている点にも注目です
目の字断面構造のアルミスイングアームに装着されたホイールはPVMに特注した3本マグ。ブレーキはブレンボ製キャリパーとサンダンス製ディスクローターで強化されえています。リアサスはイギリスのクアンタム発注したサンダンス・オリジナルですが、現在は流通コストと更なる路面追従性を求め、日本のカヤバ製をオリジナル商品としてラインナップ。当然、このマシンでの経験が設計に生かされています
マフラーはサンダンスがオリジナル商品としてリリースする“ハイパーオレンジ”の、いわばプロトタイプを装着。大排気量のツインエンジンを搭載するH-Dの場合、本来、2in1というエキパイの構造は前後シリンダーの排気干渉が適切に得られないデメリットがあるのですが、このプロダクツは集合部のパイプ径を絞らずに十分な容量を確保している為、集合マフラーならではの軽量化とパワーの確保を両立。こうした部分でのノウハウの蓄積がレースに参戦する意味と柴崎氏は語ります
31度バンクがそびえる高速コースであるデイトナスピードウェイに合わせ、ジェイのリクエストによりこの年のゴールデンボールズはハーフカウルを装着。たとえばこのアメリカン・レジェンドライダーが日本のプライベートチームであるサンダンスのマシンを走らせるという光景は、クルマの世界に当てはめるとF-1のニキ・ラウダあたりが日本のGT選手権でプライベートチームの車両に乗り、優勝するような感じなのかもしれません
1992年式スポーツスター1200をベースに、あくまでもストリートでの使用に耐えうるチューニングが施されたこのマシン。写真では保安部品を装備しないレーシングバージョンとなっていますが、ヘッドライトやウインカーを取り付ければ公道での走行も可能です
1982年に『サンダンス・カスタムサイクルズ』を創業し、97年より社名を『サンダンス・エンタープライズ』に変更後もH-Dにまつわる“機能パーツ”やスーパーXR、スーパーリアルナックルなどのオリジナルコンプリートマシンを世に送り出す柴崎“ZAK”武彦氏。ちなみに“ZAK”の愛称は“SHIBAZAKI”という苗字を省略したもので、海外のレース関係者から親しみを込めて、そう呼ばれています。H-Dで唯一、世界耐久選手権である鈴鹿8耐に参戦したことからもお分かりのとおり、名実ともに日本を代表するH-Dチューナーです
1976年から78年にかけてAMAのフラットトラックレースで年間チャンピオンを獲得したジェイ・スプリングスティーンは、まさにアメリカン・レーシングのレジェンド的存在。83年にもティリーレーシングとH-Dワークスによるロードレーサー、“ルシファーズハンマー”がジェイのライディングによってデイトナで勝利しましたが、97年のゴールデンボールズでのBOTT-F2クラス優勝は、じつに14年ぶりのロードでの勝利とのことです

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