まさかの40万円ダウン!! 往年の味わいと現代的な扱いやすさを両立 ハーレーダビッドソン「ナイトスター」は今が買い!?
排気量975ccの水冷Vツイン「Revolution Max 975T」エンジンを搭載するハーレーダビッドソン「Nightster(ナイトスター)」に試乗しました。いったいどんな乗り味なのでしょうか。
空冷復活の前にあえて水冷に乗る理由
2026年初夏の今、ハーレーダビッドソンの「スポーツスター」に関する話題と言ったら、筆頭に挙がるのは2021年に生産が終了した「空冷」モデルが、近日中に復活することでしょう。
もちろん、長い歴史を誇る伝統のパワーユニットの復活は私(筆者:中村友彦)自身も楽しみですが、その一方で2021/2022年から発売が始まった水冷モデル、「スポーツスターS」と「ナイトスター」はどうなるんだろう……という気がしないでもありません。
と言うのも、市場でのセールスはいまひとつパッとしないようですが、少なくとも空冷スポーツスターの後継に当たる「ナイトスター」に、私は好感を抱いていたのです。
ちなみに「スポーツスターS」は乗り手の技量や体格を問う、メーカーメイドのカスタムモデルと言いたくなる雰囲気です。

だからこそ、私はこのモデルが人気を獲得できない理由に興味津々でした。そこで空冷モデルの復活が話題になっている今、改めて、と言うかあえて、2026年型の「ナイトスター」にじっくり乗ってみることにしました。
構造は別物だが、通じる要素は多い
前述したように、「ナイトスター」は空冷スポーツスターの後継に当たるモデルですが、構成は完全な別物です。
まず空冷スポーツスターが搭載する排気量883/1200ccのエンジンが、昔ながらのOHV2バルブ45度Vツインだったのに対して、「ナイトスター」のエンジンは「パンアメリカ」用をベースとする975ccのDOHC4バルブ60度Vツインです。
また、空冷スポーツスターのフレームが伝統のダブルクレードルタイプだったのに対して、「ナイトスター」はダイヤモンドタイプを採用しています。

ただし、フロント19/リア16インチのタイヤサイズは両車に共通で、車体各部の寸法やライディングポジション、前後サスペンションなどもよく似ています。おそらく開発陣は、空冷スポーツスターを多分に意識して、そのあたりの構成や数値を決定したのでしょう。
昔ながらの味わいと現代的な扱いやすさ
今回の試乗で私の念頭にあったのは、2021年に生産が終了した空冷スポーツスターです。そして久しぶりの「ナイトスター」を体験して、最初に目を見張ったのは軽さでした。空冷スポーツスターより車重が30kg以上軽いのですから、それはまあ当然なのですが、サイドスタンドを払って車体を直立させるだけで軽さを感じますし、(一般的な成人男性なら)押し引きも軽々です。
また、空冷スポーツスターのようにエアクリーナーボックス(右)とプライマリーカバー(左)の出っ張りが気にならないことも、「ナイトスター」の美点です。ニーグリップがごく普通にできるこのバイクなら、日本車しか経験がないライダーでも違和感は抱かないでしょう。
実際に走って感心したのは、エンジン回転数やギア段数に関わらず、どんな状況でもスムーズな加速が実感できることです。
誤解を恐れずに表現するなら、空冷スポーツスターは右手の操作に対する反応が必ずしも忠実とは言えませんでしたし、低回転域から伝わってくる濃厚なトラクションは、場合によっては走りを阻害するノイズになることがありました。でも「ナイトスター」には、そういった気になる要素が一切見当たらないのです。

もちろん、魅力はそれだけではありません。少々マニアックな視点ですが、私が特筆したいのはコーナリングの初期に感じるフロントまわりの穏やかで分かりやすい舵角です。その挙動を生み出すのは昔ながらの車体寸法、30度のキャスター角や137mmのトレール、かなり大きめのフォークオフセット(60~70mm前後はありそう)、伝統のサイズを踏襲した100/90-19の前輪などで、こういった部分に現代的な数字を導入しない開発陣の姿勢に、私はニヤリとしました。
それに加えて、空冷スポーツスターより格段にパワフルになりながら(ナイトスターの最高出力は89.7ps。空冷スポーツスターは未公表だが、1200は65ps前後と言われていた)、同様の低中回転域を使ったマッタリ巡航が楽しめること、DOHC4バルブヘッドを採用しているにも関わらず、ガソリンタンクをシート下に配置した効果で、OHV2バルブヘッドの空冷スポーツスターに通じる重心の低さを実現していることにも、私は大いに心を動かされました。
価格の乱高下
いずれにしても、昔ながらの味わいと現代的な扱いやすさを両立したナイトスターは、やっぱり魅力的なモデルで、市場でのセールスはいまひとつパッとしない理由は、今回の試乗でも私には見つけられませんでした。
それでもあえて理由を探すなら、価格でしょうか……。

何と言っても、デビュー当初の「ナイトスター」の価格は188万8700/191万9500円だったのですが、装備の充実化を図ったスペシャル(237万3800/240万6800円)が追加された2023年型は226万3000/229万6800円に値上がりし、2024年型では一転して188万8800/192万2900円に下がり、2025年にはスペシャルのみが188万8800/192万8400円で販売されたのです。
為替相場の影響は無視できませんが、ここまで乱高下があると、どのタイミングで購入するべきかで悩む人がいたでしょう。逆に当初の価格をずっと維持していたら、人気モデルになれたかもしれません。
もっとも2026年型の価格は、なんと148万8800円にまで下がりました。その背景にどんな事情があるかは定かではありませんが、今回の試乗でこのモデルならではの魅力を再認識した私は、今がベストのタイミング、買い時ではないか……と感じています。
Writer: 中村友彦
二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。













