レーシングライダーが語る モータースポーツと一般市場の関係性とは
バイクやクルマなどを使用して行われる「モータースポーツ」は、あるいみで密接した関係にあります。現役のレーシングライダーにその関係性を聞いてみました。
レースと一般市場の関係性とは
バイクやクルマなどを使用して行われる「モータースポーツ」には、市販車両開発のための技術研究や、安全性能の向上など、様々な意味が込められています。

一見すると、レースは一般ユーザーからかけ離れた存在であると感じることもあるでしょうが、鈴鹿8時間耐久ロードレースや、全日本ロードレース選手権、ロードレース世界選手権への参戦経験を持つ渡辺一樹選手は、レースと市場の関係性について以下のように話します。
「世界選手権に参戦した時に、日本国内でバイクに乗る人が増えないと世界戦で戦う日本人ライダーの育成も難しくなっていくんだなと、凄く感じました。現実的な話になってしまいますが、世界選手権の運営団体は、世界的に見てバイクが売れている地域のライダーを使いたがるんです。売れている国出身の人気ライダーを作り上げたいわけですから。
自分はレーシングライダーとして凄くいい思いをさせてもらっていますが、レーシングライダーを目指す人を増やそうとは思っていません。ただ、もっと楽しくバイクに乗るために自分が出来ることがあるんじゃないかなと考えています。

今は日本の4メーカーの活躍があるから、まだ数名の日本人ライダーが世界選手権に参戦することが出来ていますが、今後はどんどん難しくなっていくと思っています。だからこそ、もっと多くの人にバイクの楽しさを知ってもらって、たくさんの人にバイクを買ってもらって、乗ってもらって、という需要を増やしてくのが将来的には重要かと感じています。
もちろん、スケールの大きな話しなので、自分ひとりでどうにかなるとは思っていませんが、そういった活動をすることがレーシングライダーとしてお世話になってきた業界への恩返しになるのかなと思っています」。
レーシングライダーが考えるライダー増加のための行動とは?
「もしもレーシングライダーをやっていなければ限りなくニートに近いかもしれません(笑)。14歳からバイクに乗り始めて、そこから数年でロードレースの世界に入り、この業界で頑張ろうと決めてきちゃっていますからね。それに、これまでレース活動を“続けて来られちゃった”だけに、他の道のことを考える時間が無いまま過ごしてきていますしね。
レースはやっている人口が少ないだけに、見る機会も少ないのが正直なところです。ですから、最近は親子バイク教室が凄くいい活動だなと感じています。僕自身がそうだったように、小さいころにバイクに乗って得られた感動は、大きくなってからも記憶に残ると思うので、そういうバイクの楽しさを伝えるための地道な活動を広げていくことでライダーを増やしていきたいなとも感じています」。
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日本自動車工業会の発表によると、2019年上半期(1月から6月)の自動二輪車の販売台数はリーマンショックの起きた2009年以降、最高の数字を記録しています。また、各社が展開する「バイクレンタル」では20代などの若年層の使用も増加傾向にあるなど、国内の市場にも光明が差し込んでいます。
今後の日本の二輪市場がかつての勢いにどこまで迫れるか、期待したいところです。
※一部修正しました(8月18日17時51分)