ヤマハとヤマハがひっそりコラボ 「おもてなし」を詰め込んだヤマハブースの秘密とは?【TMS2019】

ヤマハ発動機は、10月25日から一般公開されている東京モーターショーのブース内にヤマハ株式会社とコラボし「おもてなし」を詰め込んでいます。いったいどのような施策なのでしょうか。ヤマハ株式会社の担当者に伺ってみました。

ヤマハ発動機を裏方としてサポートする「ヤマハ株式会社」

 2019年10月25日から一般公開されている東京モーターショーには、国内外の二輪・四輪メーカーやパーツメーカーなど、様々な企業が思考を凝らしたブースを展開しています。

ヤマハ株式会社が開発したアプリ「おもてなしガイド」。ヤマハ発動機のブースではヤマハ株式会社が裏方としてサポートしていました

 数あるブースの中でも、さりげなく「おもてなし」を詰め込んだヤマハ発動機のブースでは、楽器・オーディオ関連製品を製造・販売するヤマハ株式会社とのコラボにより他のブースにはない独自性が盛り込まれていました。

 そこで、ヤマハ発動機のブースを特別なものにした薄型のスピーカー「Flatone (フラットーン)」とアプリ「おもてなしガイド」について、ブランド戦略本部 ブランド・マーケティンググループ寺島尚志主任と、研究開発統括部/研究開発企画部 技術企画グループの吉永憲市主幹に伺ってみました。

ヤマハ・ブース影の立役者、ヤマハ株式会社の寺島尚志主任(左)と吉永憲市主幹(右)。上部にはヤマハの薄型スピーカー「Flatone (フラットーン)」が設置されています

―――今回、ヤマハ発動機さんとコラボでブースを作られた理由について教えて下さい。

寺島さん:日頃から、ヤマハ発動機株式会社とは合同デザイン展示やCSRなどでご一緒してきており、気軽に相談できる間柄にあります。今回ブースでコラボをさせていただいた背景には、「非常に混雑するブースにおいて、全てのお客様に均質な情報提供ができていない。さらに海外のご来場者を含めて情報の出し方が難しい。」というヤマハ発動機株式会社の課題に由来します。

 その解決手法として、後述する薄型指向性スピーカー「Flatone(フラットーン)」と、音声を多言語で文字表示するアプリケーション「おもてなしガイド」を組み合わせることで、課題解決の一助となるのではとご提案し、採用に至りました。また、ヤマハ株式会社が持つユニークなテクノロジーを通して、ヤマハの事業の幅広さや技術の奥深さを体感いただけたらという想いで取り組んで参りました。

―――ブースではヤマハの薄型スピーカーが設置されていましたが、この製品にはどのような技術が取り入れられているのでしょうか。

吉永さん:ブース内に設置されているスピーカーは、ヤマハ株式会社が開発した紙製の薄型指向性スピーカー「Flatone (フラットーン)」です。その特徴・技術は、大きく分けて以下の4つございます。

「Flatone (フラットーン)」を手に持ち説明する吉永憲市主幹。壁に画鋲で固定できるほどに薄型、軽量な設計となっています

①薄く軽い
Flatoneは紙でできたスピーカーです。 とても薄く軽いので、スペースのない場所、高い場所など、一般のスピーカーでは設置しにくい場所でも容易に設置することができます。

②限られた範囲に遠くまで
Flatone は「限られた範囲に」「遠くまで」音を届けるという特徴を持っています。例えば案内板の前にいる人にだけ必要な情報を伝えるなど、特定の人にだけ音を伝えたいシーンで役立ちます。また、音の反響が気になる場所、たとえばトンネルの中などでも、反響の少ないクリアな音で届けることができます。

③磁石不使用
ほとんどのスピーカーには、磁石が使われていることをご存知でしょうか? Flatone は磁石をまったく使用していません。病院などの、精密機器への影響が懸念される場所でも使用できます。

④構造
紙を主材とした2枚の電極板の間に、極薄の導電性フィルムをはさみ込みます。電極板の間のわずかな隙間で電導性フィルムが振動することで、音が出ます。シンプルで美しい構造をした、今までにない紙製スピーカーです。

―――今後、「Flatone」はどのような場所に展開していく予定ですか?

吉永さん:Flatoneはこれまで以下のような実証実験を行って参りました。

①高速道路SAのトイレにおける「足元注意」の音声注意喚起看板の設置実験
・場所ごとに異なるアナウンスを流す事で一定の効果を確認

②店舗等における店頭看板の設置実験
・近隣への音漏れ抑止効果を確認

③上空(静止飛行船)からの音声案内実験
・イベントや災害時に情報を届ける手段のひとつとして効果を確認。

④寒冷地における音声案内看板の運用実験
・マイナス20度環境へ対応性能を確認。

⑤音声による避難誘導の可能性模索 【私立大学(西日本)の研究支援】
・場所ごとに最適な避難方向を案内する誘導効果実現への可能性を確認。

⑥有害鳥獣排除に有効な音響装置としての可能性模索 【国立大学(東日本)の研究支援】
・農業施設に於ける有害鳥獣被害対策として鳥獣排除効果の可能性確認。

 今後、これらの実験内容を中心に展開を進めて参る所存です。

製品情報が丸わかり! ヤマハ独自のアプリ「おもてなしガイド」とは?

―――ヤマハのブースでは独自に開発されたアプリ「おもてなしガイド」が取り入れられていましたが、このアプリはどういう経緯で開発されたのでしょうか? また、いつ頃から運用されたものでしょうか。

寺島さん:「おもてなしガイド」は、『SoundUD』化された空間の対応音声(人には聴こえないデジタル信号)をマイクで拾うことで、内容を多言語の文字で表示することができるスマートフォン向けアプリケーションです。会話翻訳等を目的とした一般の翻訳機では対応できない、街中のアナウンスや展示物のガイダンス、ショーや各種コンテンツなどの音声内容を、言語のわからない外国人や音を聞き取りづらい高齢者、聴覚障がい者に効果的に伝達できる仕組みとして評価され、2015年5月の「ミラノ国際博覧会 日本館」での公式採用を皮切りに多方面で活用が進んでいます。

ヤマハ株式会社が独自に開発したアプリ「おもてなしガイド」。日本語だけではなく、英語や中国など、様々な言語で「おもてなし」を受けられます

 現在では、「音のユニバーサルデザイン化」を推進できる有用な手段として、全国の鉄道会社や自治体、メーカー等の協力も得てその普及に努めています。2018年7月からは、アナウンサー等の話者が話す内容をリアルタイムに翻訳、文字化して届ける機能を追加し、全国のテレビ局やラジオ局ともその普及に取り組んでいます。
※『SoundUD』:Sound Universal Design(音のユニバーサルデザイン)

 東京モーターショーのヤマハ発動機ブースでは、ブースに展示されている製品情報を9言語(日本語、英語、中国語繁体字・簡体字、タイ語、インドネシア語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語)でご覧いただけます。ご来場の際には、ぜひお試しください。

―――今後もヤマハ発動機とのコラボ予定などはありますでしょうか?

寺島さん:ヤマハ株式会社とヤマハ発動機株式会社は、同じヤマハブランドを掲げる企業として「感動」という一つのキーワードの下、それぞれの事業領域においてブランドの高揚に努めています。今後の具体的なコラボ予定は申し上げられませんが、ヤマハ発動機株式会社と合同のデザイン展示や、イベント、ブランドコミュニケーション企画など目下進行中です。ご期待いただけますと幸いです。

※ ※ ※

 寺島さんはヤマハの活動について「外部業者含めて多くの人達の努力と工夫により成り立っています」と話しますが、様々な新型車やコンセプトモデルにより、モーターショーならではの華やかなムードとなった東京モーターショーでは、その「裏側」に様々な技術や取り組みが隠されています。違った側面から楽しむのも、ある意味でモーターショーならではの醍醐味かもしれません。

【了】

ヤマハ×ヤマハにより実現したTMS2019のヤマハ・ブース

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