スズキの“隠れ名車”「SV650」仕方ないけど生産終了は名残惜しい!! どこを探しても死角は見たらないのに!!

悲しいかな、スズキのロングセラーモデル「SV650」が、ついに新車では購入できなくなります。バイクジャーナリストの青木タカオさんが改めて走り込み、未練たっぷりにその魅力を解説いたします。

大型クラスながら200kgを切る軽量な車体

 軽量かつ剛性バランスに優れる鋼管スチール製トラスフレームと、トルクフルで扱いやすいVツインエンジンの組み合わせにより、排気量645ccの大型クラスでありながら車体装備重量は199kgにまで抑えられ、その走りは思わず頬が緩むほど軽快です。

 正統派と言えるオーソドックスなネイキッドスタイルに、ライダーを身構えさせないコンパクトな車体。国内ではスズキ「カタナ」や「ハヤブサ」のように大きな脚光を浴びることは残念ながらなかったかもしれませんが、その実力は折り紙つきで、完成度という点では極めて高い水準にありました。

 これを「隠れ名車」と言うのでしょう。スズキ「SV650 ABS」です!

 2025年に惜しまれつつも生産終了となり、ミドルスポーツのポジションはパラレルツインの「GSX-8」シリーズ、あるいは2025年秋の「EICMA 2025(ミラノショー)」で発表されたクロスオーバーモデルの新型、「SV650」譲りのVツインエンジンを搭載する「SV-7GX」へと受け継がれていきます。

スズキ「SV650 ABS」の生産終了を惜しみつつ、じっくりと試乗する筆者(青木タカオ)
スズキ「SV650 ABS」の生産終了を惜しみつつ、じっくりと試乗する筆者(青木タカオ)

 つまり、販売店にまだ僅かながらにも在庫があれば……という話ですが、「SV650 ABS」を新車で買うなら今がラストチャンスとなっているのです!!

「隠れ」ではなく、本当は大人気!

「隠れ名車」と冒頭で言ったものの、欧州では高い人気を誇ります。ワンメイクレースが開催されるほどスポーツ性能に優れ、ロングセラーとして確固たる地位を築いてきました。

「SV」シリーズが登場したのは1998年のことでした。バーハンドル仕様の「SV400」、そしてセパレートハンドル&ハーフカウル付きの「SV400S」が国内向けにデビューしてから、海外向けとして「SV650」と「SV650S」が翌1999年に発売されています。

 FI化した2003年型では、楕円断面だったアルミ製トラスフレームを角パイプ風のアルミダイキャスト製に刷新。2008年の「パリショー」で、フレームをスチールパイプ化した「GLADIUS(グラディウス)」が発表されると、欧州仕様から順次切り替わっていき、国内では2009年モデルを最後に「SV650」は一旦絶版になっています。

 流麗なスタイルで、小洒落た「グラディウス」がラインナップされたのは2010~2015年モデルでした。

スズキ「SV650 ABS」(2025年で生産終了)カラー:パールビガーブルー/マットブラックメタリック
スズキ「SV650 ABS」(2025年で生産終了)カラー:パールビガーブルー/マットブラックメタリック

 そして2016年、楕円デザインだったマルチリフレクターヘッドライトを丸型に戻すなど、奇をてらわないスタイルで「SV650」がよみがえりました。

 電子デバイスは装備せず、素性の良さで勝負。当時、筑波サーキット1000で開かれたメディア向け試乗会にて、高い運動性能と万能力を兼ね備えていることに舌を巻いたことを思い出します。

 2018年にはヘッドライトカウルやセパレートハンドル、タックロールシートを備えてネオレトロなカフェレーサースタイルとした「SV650X」も仲間入り。最終仕様はユーロ5規制に適合した3代目となっています。

Vツインがもたらすメリットとは!?

 熟成を重ねた650ccクラスのVツインエンジンは、「スズキの名機」とも言われるほど国内外で高く評価されています。

 並列2気筒と比較すると前後長に伸びるV型2気筒ですが、エンジンの幅はシングルと変わらないほどスリムで、車体をリーンさせる際には身のこなしの軽さが大きな武器になります。

 また、挟み角を90度に配置したVツインエンジンでは、前後シリンダーのピストン運動がお互いの振動を打ち消し合うメリットがあることに加え、爆発のタイミングが不揃いになる不等間隔爆発によって、リアタイヤが路面に食いつきやすく、駆動力が強大に。安定したトラクション性能を生み、積極的にアクセルを開けることができます。

 DOHC4バルブエンジンはボア×ストロークを81.0×62.6mmとして、645ccの排気量を獲得。6800rpmで最大トルク63Nm(6.4kg-m)を発揮し、8500rpmでピークパワー53kW(72PS)に達します。

排気量645ccの水冷90°VツインDOHC4バルブエンジンを搭載するスズキ「SV650」価格(消費税10%込み)83万6000円
排気量645ccの水冷90°VツインDOHC4バルブエンジンを搭載するスズキ「SV650」価格(消費税10%込み)83万6000円

 右手のアクセル操作に対してリニアに反応し、乗り手の意志や感覚とシンクロ。意のままに操れる一体感のあるフィーリングが持ち味で、これまで根強く支持されてきたことは、乗ったことが一度でもあれば納得がいくでしょう。

 全域で力強く、そして滑らか。過不足のない応答性はビッグバイクビギナーにもやさしく、特に発進時や渋滞での低速走行、UターンなどではローRPMアシスト機能が回転の落ち込みを緩和させて、ギクシャクさせません。

 思うがままにパワーを引き出しコントロールできることから、エキスパートにとっても手足のごとく乗りこなせる相棒となってきました。

 常用速度域で多用するミドルレンジでピックアップが良く、高回転域では爽快に伸び上がります。粘りのある低速トルクは、早めにシフトアップし、高いギヤを用いて鼓動を感じつつクルージングするのも苦手にしません。

日本の道に「ちょうどいい」

 前後サスペンションがしなやかによく動き、路面からのフィードバックが得やすいのも「SV650」のフレンドリーさを強調しています。

スズキ「SV650 ABS」に試乗する筆者(青木タカオ)
スズキ「SV650 ABS」に試乗する筆者(青木タカオ)

 コーナーアプローチで車体が自然と寝ていくニュートラルでクセのないハンドリングは、ライダーがいつも以上に上手くなったような気がするほど。ステップへの僅かな入力で車体のバンク角を調整でき、リーン角が深くなっても車体が落ち着いています。

 燃料タンクとシート形状がスリムで、フィット感に優れ、足つき性も良好。シート高が785mmと低いだけでなく、足を地面に下ろしやすいのです。

 コンパクトな見た目と200kgを切る車体重量が示す通り、取り回しがイージーで気負わず乗れる。ヨーロッパでも高く評価されますが、日本の道にちょうどいいことをファンはよく知っています。

 どこを探しても死角は見たらず、生産終了となるのが残念としか言いようがありません。

 車体本体価格(消費税10%込み)は83万6000円と、リーズナブルで手を出しやすい。

 ……何度も言いますが、迷っている時間は、もうないのです!!

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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