ホンダのアドベンチャーバイク「アフリカツイン」とは? その軌跡を辿る

そうして「CRF1000Lアフリカツイン」に行きついた

 その後、ホンダは「XL1000Vバラデロ」にそのポジションを渡しますが、ファンにとってアフリカツインの存在は絶対でした。海外へ取材に出ると「ホンダはいつ新しいアフリカツインをだすのか?」そう聞かれたのも1度や2度ではありません。

2014年のミラノショー(EICMA)で発表されたコンセプトモデル「True Adventure」

 次なる胎動は2014年のミラノショーから始まります。ホンダは「True Adventure」と呼ばれるコンセプトモデルを発表します。また、2013年にファクトリー体制でダカールラリーに復帰したホンダは、再びそのイメージを活用するかのように翌2014年、走りのイメージを湛えた「CRF1000L Africa Twin」を発表するのです。

 その開発コンセプトは「15年間、継続して進化をさせたらきっとアフリカツインはこうなっているはず」というものでした。

 エンジン型式はVツインから並列2気筒へ。それは車体レイアウト上、より有利であるという判断からでした。270度クランクの採用で、エンジンの爆発間隔は初代アフリカツインと同様トラクション特性をいかしたものに。その排気音まで先代をオマージュするに十分なもの。

 サスペンション、フレームもパワフルな1000ccエンジンの力をしっかりと扱えるよう仕立てられました。また、通常のマニュアルトランスミッションに加え、ホンダのお家芸とも言える「DCT:Dual Cratch Transmission(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」搭載のモデルもラインナップします。

 このDCTは、ホンダが2010年から2輪に採用を開始したもので、オフロード系モデルには初搭載となり、話題をさらいます。

2016年にリリースされたホンダ新型「CRF1000L Africa Twin(DCT)」

 新型アフリカツインは国内でも多くのファンに支持され、年間販売計画台数をデビュー後間もなく超えたのはおなじみの話です。

 2017年にはパワー、トルク、排気音を向上させ、より魅力的になりました。2018年には初代をオマージュするような容量24リッターの燃料タンクを搭載した「アドベンチャースポーツ」が登場します。

 アフリカツイン全体としても、メーターパネルの変更や、スロットルバイワイヤーの装備、多軸センサーの採用によるコーナリングABSの装備など、電子制御面のアップデートも行なわれました。

2018年リリースのホンダ「CRF1000L Africa Twin Sport Adventure(DCT)ローダウン仕様」(左)と「CRF1000L Africa Twin(DCT)」(右)

 そして2018年11月に発売された2018年型では、2016年モデルから標準装備されてきたETC車載器がETC2.0となります。カラーリングの変更も設け、CRF1000Lアフリカツインとしてはもっとも熟成されたバージョンとなるのです。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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