排気量2.5リッターの3気筒エンジンを搭載するトライアンフ「ロケット3R」はアウディ「A8」の快適性・先進性に迫るか!?

規格外のスポーツモデルであるトライアンフ「ROCKET 3 R(ロケット・スリー・アール)」と、アウディのフラッグシップセダン「A8」。迫力と高級感漂う2台に青木タカオが試乗しました。

他を圧倒する佇まい! 大きいという優越感に高級感が加わった

 両車とも見るからに大きく、ただ者ならぬ佇まい、圧倒的な存在感を放っています。高級感という点でも群を抜き、最高峰フォーマルセダン、アウディ「A8」にいたっては目の前にあるV型6気筒3リッターエンジン搭載の「A8 55 TFSI quattro」だと1172万円、V型8気筒4リッターの「Audi A8 60 TFSI quattro」となれば1552万円ですから、もはや憧れを通り越して怖じ気づいてしまいます。

アウディ「A8」&トライアンフ「ロケット3R」と筆者(青木タカオ)

 A8のラグジュアリーな乗り心地を堪能してからトライアンフのロケット3Rを走らせると、どちらも強靱な心臓部を持っているのに上品さがあることに気付きます。

 市販2輪車としては世界最大排気量となる2458ccの直列3気筒エンジンは、最高出力167ps/6000rpmを発揮します。これは2004年に登場した初代に比較すると11%増しで、縦置き水冷3気筒のレイアウトはそのままに、排気量は2294ccから2458ccに拡大しているのでした。

 驚きは最大トルクで、221Nm/4000rpmのスペックは、これまた世界ナンバーワン。単純に言えば、4000rpmまでの力強さは断トツで、実際に乗って確かめても加速は強烈そのものです。その鋭いダッシュは0-100km/h加速2.89秒とされ、ホンダ「NSX」の2.9秒をも上回ってしまうのですから、凄まじいとしか言いようがありません。

見た目とは裏腹に、扱いやすくジェントルな出力特性

 感心するのは、獰猛なまでにパワフルなのにコントロール性に優れることです。見た目からは「手こずるだろうな……」という印象を受けますが、油圧クラッチの操作は軽く、トルクが急に立ち上がって扱いにくいなんてこともありません。

トライアンフ「ロケット3R」に乗る筆者(青木タカオ)

 ロード、レイン、スポーツ、ライダー設定と、4段階のライディングモードでスロットルレスポンスも自在に設定可能ですが、スポーツでも過激すぎるとは感じませんでした。

 エンジンは高回転域まで無理させてブン回すより、低回転域でドロドロドロと前へ進むゆとりを味わっていたくなります。100km/hクルージングはトップ6速わずか2000rpm強ほどで、高速道路でクルーズコントロールを使ってゆったり流すのも得意とするところです。

 もちろん加速は強烈で、6500rpmのレッドゾーンへ至るまで力の塊がわきがってくるような感覚。ライダーが風圧にさえ耐えられれば、ロケットダッシュはまだまだ続きます。

 ウェイトへの探求心は強く、初代より車重を40kg、エンジン単体でも18kg軽減することを実現しました。フルドレッサーのアメリカ製クルーザーなら車両重量は400kgに迫りますが、ロケット3Rは291kgほど。車体を起こすとズッシリとした手応えがあるものの、シート高は773mmで踏ん張りが効くので苦にならないことも付け加えておきましょう。

 ハンドリングにも軽快感が増し、スポーティさへのこだわりを感じます。32度だったキャスター角が27.9度に立てられ、トレール量(152mmから134.9mm)やホイールベース(1695mmから1677mm)も短縮し、身のこなしが軽くなっているのです。

目を見張る先進装備! GoPro内蔵でツーリングも映像で記録

 インフォテインメントシステムが上段、空調システムを下段に配置したアウディ「A8」のセンターディスプレイは、触っていれば使い方もわかってくるはずですが、乗ってすぐにアレコレ好きなようにいじれるほど単純ではなさそうです。

アウディ「A8」のインテリア

 ロケット3Rも、ブルートゥース接続によってスマートフォンやインターコムと連携でき、さらにバイクでは世界初となる「内蔵型GoProコントロールシステム」を搭載しています。TFTディスプレイとGoProが接続され、走行中もディスプレイ画面や左手のスイッチで直感的に操作できるのです。

 また、Googleナビアプリ「ターンバイターンナビゲーションシステム」も利用できるなど、じっくり試してみたいことが盛り沢山です。さすがはフラッグシップ、世界最大という称号とともに進化するトライアンフの最新技術がふんだんに盛り込まれているのも大きな魅力です。

 トライアンフ「ロケット3R」の価格(消費税10%込み)は265万3000円です。スーパーカーのようなダッシュ力ですべてを置き去りにすることもできますが、心穏やかにクルージングを愉しむのもいいでしょう。

アウディ「A8」に乗る筆者(青木タカオ)

 もちろん、アウディ「A8」のような異次元の上質さ、コンフォート性にはかないませんが、ロケット3Rにも最高峰の走りや先進的なコネクティビティ機能が揃っています。両方を持つ? それは夢物語でしょう……。

【了】

【画像】アウディ「A8」&トライアンフ「ロケット3R」詳細

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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