the「燃費」最後の空冷4気筒か？ ホンダ「CB1100EX」の魅力再発見！
「バイクの燃費どれくらい？」ちょっと気になる人の燃費。とはいえ燃費はミズモノ。走る場所、乗り方で大きく変わります。そこで、本当のところどうなのか？ ホンダ「CB1100EX」で走ってみました。
空冷直4エンジンのホンダ「CB1100EX」の燃費はどれくらい？
バイクの燃費は走る場所、乗り方、環境で大きく変わります。実際はどうなのか？ ツーリングを模したルートを設定し、交通状況が許す限り、毎回同じ程度のペースで走り、いろいろなバイクで燃費調査を実施していきます。
実走調査では、「基本的に同一ルート」「流れに合わせたペース」「急加速、急減速、急発進の3急を避ける」「車載されたトリップ、燃費計を活用する」「この中で得た結果、感想を率直に述べる」という条件のもと行ないました。
今回の調査対象は、オールドスクールなスタイルを再現したホンダ渾身のレトロモダンモデル、「CB1100EX」です。デビュー10年の熟成を重ね、いまや現行モデルでは貴重な空令4気筒エンジンを搭載します。メーターには燃費計を備えており、今回のデータはその数値を採用しています。
低回転域のトルクが生きる、市街地走行
満タンで255kgの車体重量、1140ccという排気量。テスト前に想像した数値は「良くて18km／l、16km／lでも驚かない」というものでした。いざ実走！ 都心を抜けるルートながら当日、交通の流れも悪くなかったこと、信号待ちが長い場合アイドリングストップもしつつ、15km走行した結果は25.0km／lでした。
CBのエンジンは、低速トルクが豊富で40km／hで6速が実用的に使え、しかもそこからの加速がスイートです。じつはその前日、リハーサルのつもりで市街地を35.3km走りました。環状線、国道など片側3車線程度の道が中心でしたが、この日も流れがよく、燃費計は26.3km／lをマーク。エンジン特性やバイク全体のキャラクターがなせる技でしょう。
制限速度は70km／hから100km／hの高速道路
設定した燃費調査ルートは、千葉県の木更津をスタートし、東京湾アクアライン連絡道、「袖ケ浦IC」から館山道の終点「富浦IC」の出口にあるコンビニまでの50kmで計測しました。制限速度は80km／h、100km／h、70km／hと変化します。
新東名高速の一部区間のように120km／h制限はありませんが、ネイキッドバイクにはほどよい速度域です。走行風圧に苦労すること無く走れます。空冷4気筒、というよりCBのエンジン特性は、不思議とこの速度域にぴったりとはまります。
サスペンションの乗り心地の良さや車線変更時のゆったりした動きなど、全体のトーンが威風堂々としたムードであり、一定速で走り続けるのも楽しい。復路、短い区間で計測した数値も、25.3km／lと、ほぼ同値でした。
走りを慈しみ好結果に。ゆったり、しっかり曲がる理想のライディング
CB1100EXでのツーリングは、このバイクが持つ魅力のハイライトだと思いました。停まっているとズシリと重たい車重です。しかし、動き出した瞬間、自らの重さを上手に活かしながら左右に切り替えし、向きを変えてくれる。
右手が引き出すエンジンのトルクが、後輪から路面に伝わると、寝かせた車体がスッと起きてくる。細かな一連の「ライディング」がとても滑らかで楽しい。なんとも言えない体験ができるのです。ビッグバイクらしいけど、ビッグバイクの手応えを重さだけで表現していない。見事です。
直線の多い道で退屈せず、大きなカーブでも楽しめて、峠に向かう細い道でもスイスイと切り返せる。景色を楽しむ余裕すらある。低めのギアより4速から5速、そして6速という風に、高いギアを使う場面が圧倒的に多い。ズワンという排気音を聞きながら軽くアクセルを開けるだけで、パワーというより魅力があふれ出す印象が続く……。
ツーリングセクション（信号、交差点が少ない快走路）前半を26.5km／lで折り返し、峠道のある復路でやや数値を落としたものの、26.2km／lは立派な成績だと思います。
想像以上の好燃費。WMTCモード値18.9km／lから考察
スタート地点付近の給油所で満タンにし、再び戻り、給油するまでを計測しました。高速道路、市街地、ツーリングと、区間ごとにメーターのトリップAを「ゼロ」にリセット（燃費計もリセットされる）して燃費を計測します。
総走行距離174.3kmを走り、高速＋ツーリングの総合燃費は25.3km／lを記録。このとき、CB1100EXのガソリン消費計は6.8リットルを表示していました。実際の給油量は7.25リットルで450ccほどの差異がありますが、給油ノズルの差し込み方、給油ガンのトリガーに握り具合で変わる給油流速など、誤差の部分も多いのが現実です。
オーナーになれば特性を掴み、平均化できるとは思いますが、満タン法計測にも誤差はある、ということで、車載データを優先することにしました。なにせ同行スタッフが走らせたバイクは、全く同じ道を走っているのに、トリップメーター上では少なくない距離差もありました。厳密ではなく、参考として下さい。
■ホンダ「CB1100EX」燃費結果
評価：☆☆☆☆★（ホシ4つ）
総走行距離：174.3km
市街地燃費：25.0km／l（リハでは26.3km／l）
高速道路燃費：25.3km／l
快走路燃費：26.2km／l
※ ※ ※
ホンダ「CB1100EX」の実力、文句なし。エンジンの魅力を低い回転で楽しめる走りと低燃費のバランス。満足しました。いいバイクです。
【了】
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。
