メルセデスベンツ「E350」で感じたジェントルな乗り心地は、ヤマハ「TMAX」シリーズに通じる!?

メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」の高級感と高い動力性能は、バイクで言えばヤマハ「TMAX」シリーズに通じるものがあるのでは? モーターサイクルジャーナリストの青木タカオさんが試乗しました。

“「これナンcc?」おじさん”も驚愕のディーゼルプラグインハイブリッド

 こんなクルマが似合う男になってみたい……。メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」の運転席に座ると、完全に自分がクルマに負けていると思えてなりません。

メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」とヤマハ「TMAX」

 メルセデスベンツだとコンパクトなハッチバックがAクラスとBクラスで、その次のCクラスがセダンをはじめ、ステーションワゴンや2ドアクーペ、カブリオレもラインナップし、Eクラスはその上のミディアムなポジション。

 ということくらいは、ぼんやりとイメージできますが、「E350」にはもうプレミアムなオーラが充分すぎるほどに漂っているではありませんか。恐る恐るお値段を聞くと、車体875万円(税込み)とのこと。さすがはベンツ、それでもミドルクラスという位置づけですから、やはり高級ブランドであることは間違いないようです。

 何もわからないので、とりあえず「これ、ナンcc?」と聞いている自分が恥ずかしいかぎり。これではサービスエリアで観光バスから降りてきて、女子ライダーや凄そうなバイクを見て排気量を聞く「これナンccおじさん」と同じではありませんか!

 エンジンはディーゼルプラグインハイブリッドで、直4ターボチャージャー付き2リッター。バイクにハイブリッドは「PCX」しかありませんが、エンジンに電動モーターを組み合わせていることぐらい知っていますとも。

排気量1950ccのDOHC直列4気筒ディーゼルターホ?エンジンを搭載。最高出力は143kW(194PS)を発揮

 ただし、従来はガソリンエンジンが主流でしたが、これはさらに経済性に優れるディーゼルエンジン。そして、プラグインは日本では初登場とのこと。プラグイン、つまり充電コードからバッテリーへのチャージが可能で、よりEVに近いということでしょう。

この贅沢な空間と高い動力性能、バイクで言うならヤマハの「TMAX」か!?

 さぁ「D」(ドライブ)に入れて発進と、左手でシフトレバーを探しますが、見つかりません。聞けば、最新ベンツではハンドル右にギアセレクターのレバーがあり、コンソール部に備わるのは「COMAND」システムのタッチパッド。ディスプレイを見ながら指で触ると、ナビなどいろいろなことの操作ができ、とても便利です。

大きなコックピットディスプレイや左手で操作するタッチパッドなどツルリとした印象のインテリア

 ようやく走らせてみると、乗り心地がとても素晴らしく、トルクも強大。システム全体で700Nmもの最大トルクを発揮し、とてつもない心臓部の持ち主であることがわかります。ディーゼルエンジンは長距離でこそ威力を発揮しますから、このまま500kmくらいのドライブに出かけたら、さぞかし気持ちがいいでしょう。

 内装が上質で、なんという贅沢な空間なのか。この高いコンフォート性、そして力強いエンジンと高い動力性能、バイクだとヨーロッパで爆発的ヒットを飛ばしたヤマハ「TMAX」シリーズが思いつきます。

 見た目からスクーターと思われがちですが、スイングアームにパワーユニットが搭載されるスクーターとは違い、並列2気筒エンジンをアルミダイキャストフレームに搭載し、ベルトドライブで後輪駆動。ヤマハは「オートマチックスポーツ」と呼びます。

 初代は2001年に欧州でデビューし、2013年の「TMAX530」でその名の通り排気量が500ccから530cc化、2020年5月にはさらに排気量アップした「TMAX560」がデビューしていますが、今回メルセデスベンツ「E350 de アバンギャルド スポーツ」とともに「TMAX530DX ABS」に乗ってみました。

高速クルージングを得意とする両車

 シート高は800mmで、足を地面に着くときには、無意識なうちに着座位置を目一杯前の方にずらしています。身長175cmの筆者の場合、つま先立ちに。小柄な人には手強いかもしれません。跨ってすぐに「デカイなぁ」と感じますが、走らせるともう軽快にキビキビと動きます。

ヤマハ「TMAX530DX ABS」に試乗する筆者(青木タカオ)

 360度クランク直列2気筒エンジンは低回転域からトルクフルで、2000rpm付近で遠心クラッチがつながるとそのままスムーズに回り、4700rpmほどで100kmに達します。D-MODE(走行モード切替システム)を搭載し、「Sモード」ではレスポンス鋭くパワフルに加速。「Tモード」では穏やかな反応となります。さらにトラクションコントロールも備え、スリッピーな路面もアクセルワークに神経質にならずに済み、操作性はイージーです。

 6000rpm以降からパワーの盛り上がりを感じ、ハイスピードレンジも得意とすることがわかります。そこはクルマの流れの速い欧州で鍛え抜かれたと言わんばかり。秀逸なウインドプロテクション、剛性があって落ち着いた車体、振動を感じないバランサー付きのパラレルツインエンジン、いずれを見ても、かなり優秀な高速ツアラーであることがわかります。

 とくに上級仕様となる「DX」では、フロントスクリーンが高さ135mm幅で無段階電動調整ができ、クルーズコントロールも装備。グリップウォーマーやシートヒーターも付き、「SX」との価格差も納得です。新型「560」も含めた車両本体価格(消費税込み)は次のとおりです。

「TMAX530SX ABS」 126万5000円
「TMAX530DX ABS」 137万5000円
「TMAX560 ABS」 127万6000円
「TMAX560 TECHMAX ABS」 141万9000円

高い旋回性でワインディングもホームグランド

 コーナリング性能が高いのも「TMAX」ならでは。前後15インチの足まわりは、剛性のしっかりとあるサスペンションが組み合わされ、旋回中も高い接地感をライダーに感じさせます。インナーチューブ径41mmの倒立フォークに、対向ピストン4ポット・ラジアルマウントキャリパーがセットされ、「DX」はスプリングプリロードと伸側減衰力のアジャスターがリヤショックに装備。初期荷重ではソフトに動きますが、大きな入力が入った奥ではしっかりと踏ん張りが効き、ハードな走りにも対応してくれるのです。

 見た目は上質なスクーターですが、実際はアクティブなスポーツモデル。ジェントルなハイウェイクルージングを得意としつつ、ワインディングではスポーツバイクを獲物にする猛獣にもなる二面性を持ち合わせるのは、「E350アバンギャルド」との共通点のような気がします。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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