ヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」を装着したスーパーキャリイに試乗

スズキの軽トラック「スーパーキャリイ」に装着されたヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」は、職人気質がカタチになったバイク乗りにも満足できる製品です。

ヨシムラのスリップオンマフラーを軽トラック「スーパーキャリイ」に装着

 あのヨシムラからスズキの軽トラック「スーパーキャリイ」用のスリップオンマフラーが発売されています。前回のレポートでは、4輪との関係性や製品化に至るきっかけをうかがったわけですが、今回は実際に試乗! 開発担当者の話も交えつつ、その印象をお届けしましょう。

キャリイの中を覗くとさりげなく「YOSHIMURA」のロゴが刻印されています

 なにはともあれ、見た目がまるで違います。ノーマルマフラーの出口はφ40mmほどで、地面に向かってほぼ真下に曲げられています。地上からの高さも350mmほどのところにあり、やや奥まっていることもあって一見しただけでは存在に気がつかないかもしれません。

 一方、ヨシムラの「Slip-On Ovalサイクロン」はまず太い! 出口径はφ80mmで真下ではなく真後ろに排気。取り付け位置も100mmほど高く、表面にはチタンブルーの焼き色が付けられていたり、中を覗くとさりげなく「YOSHIMURA」のロゴが刻印されていたりと、存在感が強調されています。

 一般的なクルマなら喜びはここまででしょう。なぜならマフラーを交換しても、通常は出口部分しか見えないからです。ところが、軽トラックは違います。最低地上高が高く、車体下部にかなりの空間がある構造上、エキゾーストパイプやメインのサイレンサーが見えやすくなっているのです。

ヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」の出口径はφ80mmで真下ではなく真後ろに排気されている

開発:「バイクのマフラーはもちろん機能ありきですが、お客様にとっては大切な嗜好品でもあります。そのため、我々開発の人間はパワーやトルクもさることながら、デザインに関してもみんなうるさいです(笑) もちろん、カッコイイの基準は人それぞれ異なるため、数mm単位で長さや高さを調整しつつ、誰もが納得できるストライクゾーンを探っています。4輪用でもそれは同様で、このスーパーキャリイのマフラーもちゃんとヨシムラらしい仕上がりになっていると自負しています」

 確かにそれは、少し身体をかがめて車体を真横から見れば明らかです。ノーマルは、なんの変哲もない丸太のようなサイレンサーが吊り下げられているだけですが、ヨシムラ装着車は印象が一変。グッと細身に仕上げられたオーバル形状のサイレンサーが、物理的にも視覚的にも軽やかな雰囲気に貢献しています。

2輪クオリティで製作されたヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」

開発:「2輪ファン、もしくはヨシムラファンの方が見れば、よく分かって頂けると思うのですが、サイレンサーの形状、その前後のフタ、スプリングとスプリングフック、リベット、スリットの入ったバンドなど、構成パーツのすべてを2輪クオリティで制作し、4輪用にアレンジして落とし込んでいます。あまり見えないところにまでこだわり過ぎるとコストの問題がありますが、ヨシムライズムは軽トラック用のパーツでも変わることはありません」

 実際、サイレンサーに貼付されている「ヨシムラ」のエンブレムは、フレームやフェンダー、補器類に妨げられない、「ここしかない」という位置にリベット留めされているところからも、デザインへの強いこだわりを知ることができます。

ヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」を装着したスーパーキャリイは、アイドリングから3気筒らしさが強調される

 さて、見た目トークだけでいつまでも引っ張れそうですが、そろそろ走りましょう。のっけから「オオッ!」と思わされるのがアイドリング音です。音量そのものは大きくないのに、音質が低く、太いものへと変化。通常、軽トラックのエンジン音を聞いて、その形式がなんであるかを意識することなんてありませんよね?

 ところが、このマフラーだと3気筒らしさが強調され、いかにもトルクがありそうなザラついたサウンドを聞かせてくれるのです。

 体感的にも裏切りはありません。クラッチをミートする瞬間、ノーマルにはトルクが落ち込む領域があるのですが、それが見事に改良され、普通ならノッキング音が聞こえてくるような場面でもひと粘り。ストップ&ゴーが断然イージーになっています。

高速道路では、気持ちのいい速度の伸びやスポーティな気分に浸ることができる

 日常的にスーパーキャリイに乗っている身としては、正直これだけで大満足なのですが、そこはヨシムラのサイクロン。真骨頂は中高回転域の伸びにありました。高速道路を走行中、たとえば80km/hから加速するような場面でもスムーズに速度が上昇し、ストレスなく、そして心地よく100km/hに到達。その一方、シフトノブからほどよいバイブレーションが手に伝わってきて、やたらとスポーティな気分に浸れるのです。

 パワーとトルクの出力特性グラフを見せてもらうと、それを裏付けるだけの波形になっていて、サイクロンの条件である「高性能」、「高品質」をクリアしているのは明らかです。もちろん、4輪パーツの性能確認機関であるJQR(2輪のJMCAに相当)の認証を取得していますから車検にも対応。サイクロン3つ目の条件である「レギュレーション対応」に関してもまったく問題ありません。

ワインディングもヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」を装着すればストレスなく加速してくれます

開発:「ノーマルとの違いを体感頂けてなによりです。我々も当初はどこまでお客様に受け入れられるのか手探りだったのですが、発売以来、コンスタントにオーダーを頂戴しています。開発担当者として、最もつらいのは製造部門に行った時に生産されている形跡がないことなんです。構成部品の管理状況やパーツひとつで、おおよその受注状況が分かるのですが、キャリイとスーパーキャリイに関しては途切れる様子がなく、ありがたいですね。決して派手な製品ではなく、スピードを求めるような製品でもありません。それでもシフトチェンジする度に“ヨシムラってなんかいいね”と感じて頂けると最高に嬉しいですね」

 いや、素晴らしい。最近、マフラーのカスタムでこれほどの変化を感じたことは少なく、企画にも開発にも製造にも1mmも関与していないのに、なぜか誇らしい気分になれた取材でした。

 開発担当さんとはこの後もしばらく話が盛り上がり、音質だけでなくリズムを引き出す方法、鉄とステンレスとチタンそれぞれの音の響きの違い、次回作のチャンスがあればもっと自然吸気らしい軽やかな音色にしてみたい……と話題は留まるところを知らず。ヨシムライズムというものがあるとすれば、こういう目には見えない職人気質がカタチになったもののことでしょう。

ヨシムラのスズキ・キャリイ&スーパーキャリイ用「Slip-On Ovalサイクロン」STB(チタンブルーカバー)

 ヨシムラのスズキ・キャリイ&スーパーキャリイ用「Slip-On Ovalサイクロン」の価格は、STB(チタンブルーカバー)が9万4600円(消費税10%込み)、SS(ステンレスカバー)が7万5900円(消費税10%込み)です。いずれもヨシムラのオンラインショップ限定品として購入可能です。

ヨシムラ Slip-On Oval サイクロンマフラー【オンラインショップ限定品】
https://shop.yoshimura-jp.com/syouhin/syousai.php?id=20093

【画像】ヨシムラ「Slip-On Ovalサイクロン」の画像を見る(11枚)

画像ギャラリー

1 2

最新記事