【自転車の種類】ルーツとも言える「ピストバイク」に乗る際の注意点
自転車には様々な種類があり、いろいろなシチュエーションに合わせて多彩な進化を遂げてきました。必要最低限のパーツで構成された、あらゆる自転車の元祖とも言える「ピストバイク」を紹介します。
自転車の純粋性を追求、バックも可能な「固定ギア」!?
自転車には様々な種類があり、いろいろなシチュエーションに合わせて多彩な進化を遂げてきました。必要最低限のパーツで構成された、あらゆる自転車の元祖とも言える「ピストバイク」を紹介します。

国内では一般的に「ピストバイク」という呼び名が定着していますが、「トラックレーサー」とも呼ばれるこの種類の自転車は、その名の通り、自転車のトラック競技で使用されることを前提にした自転車です。日本発祥で世界的なスポーツとなった「競輪」で使われている車両も、広義の意味ではこの自転車の仲間になります。
見た目や構造的に「ロードバイク」と似ていますが、目指している方向が全く異なります。「ロードバイク」がロードレースで使用されることを前提に、長距離・長時間移動することを目的にしているのに対して、「ピストバイク」は1周250mから400mのトラックを高速で走ることを目的としています。陸上競技に例えるなら、「ロードバイク」はマラソン、「ピストバイク」は短距離走と言えます。
トラックレースでスピードを追求する「ピストバイク」には、他の種類の自転車と大きく違うポイントがいくつかあります。まず、基本的にブレーキがありません。車体の軽量化を求める意味もありますが、身体が触れ合うぐらい接近して争うトラック競技では、走行中にブレーキをかけると接触して大事故につながる恐れがあるため、そもそもブレーキを装備するという選択肢がありません。
次に特徴的なのが、変速機が無いことです。「ロードバイク」のようにシチュエーションに合わせてギアを変える必要がないので、重量軽減も兼ねて、ペダル側と後輪にそれぞれ1枚だけギアがついているシンプルな構造になっています。
そして最大の特徴は、ペダルと後輪のギアが直結した「固定ギア」になっていることです。普段、自転車に乗っていてペダルを漕ぐ足を止めても惰性で自転車は進み続けると思います。これは後輪が「フリーホイール」という仕組みになっており、後輪がペダルと連動せずに回る機構を備えているためです。しかし「固定ギア」はペダルと後輪が完全に直結しているので、ペダルを漕ぐ足を止めると後輪も止まります。つまり、走り出したら止まるまで、ペダルを漕ぎ続ける必要があります。
慣れるまでに時間がかかる「固定ギア」ですが、ペダルを踏んだ力が後輪にダイレクトに伝わるのでスピードを出しやすく、ほかの自転車では味わいにくい「自分の力で自転車をコントロールしてる」という踏み心地を味わえると思います。また、ペダルと後輪のギアが直結していということは、ペダルを逆に回すと自転車なのにバック走行ができてしまうという特典(?)もあります。
必要最低限のパーツで構成された「ピストバイク」は、自転車の原型であり、自転車の純粋性を追求した種類と言えます。一切無駄のないシンプルな見た目も魅力的で、ファッションアイテムとしての人気が高いこともうなずけます。
ただし、ブレーキを備えていない「ピストバイク」で公道を走ることは禁止されています。販売されている「ピストバイク」の中には、あらかじめブレーキが装備されていたり、「フリーホイール」を採用するなど公道走行が可能な仕様がありますので、購入の際はくれぐれも慎重に選んでください。