カブ主総会目前! エンジンも丸ごと変わった新型スーパーカブ110に乗った!!

もはやビジネスバイクの域を超え、キャンプツーリングなどホビーユースにも引っ張りだこの人気となっているス一パーカブ。バリエーション豊かなラインナップを展開していますが、根強く支持されるのがスタンダードです。原付二種クラスの『スーパーカブ110』は特に注目度が高く、22年式は新型となったからなおさらでしょう。

週末には全国からオーナーらが青山本社に集結!

『第25回 カフェカブミーティング in 青山』が10月15日(土)、16日(日)の2日間、Hondaウエルカムプラザ青山(東京都港区)にておこなわれます。ファンの多い“カブ”シリーズのオーナーたちが全国から集まるミーティングとして知られ、「カブ主総会」とも呼ばれる伝統のイベントです。

新型スーパーカブ110に試乗する筆者(青木タカオ)
新型スーパーカブ110に試乗する筆者(青木タカオ)

 一昨年は新型コロナウイルスの感染状況を鑑みてオンラインイベントにて開かれ、昨年は開催が見送りとなりました。リアルイベントとしては、じつに3年ぶりの復活となります。

TVア二メ「ス一パーカブ」で声優として主人公・小熊を演じた夜道雪さん
TVア二メ「ス一パーカブ」で声優として主人公・小熊を演じた夜道雪さん

「バイクフォーラム」には、TVア二メ「ス一パーカブ」で声優として主人公・小熊を演じた夜道雪さん、礼子役の七瀬彩夏さんに加え、プロデューサーの伊藤敦さん、さらに現行モデルの開発責任者代行・瀬川健太郎さんによるトークショーがおこなわれるというから楽しみでしかありません。

理由はなんでもいい! 新型に乗る!!

 というわけで「カブ主総会」に備え、シリーズの最新作となる2022年式『スーパーカブ110』に乗ってみましょう。エンジンや足まわりなどを大幅にリニューアルをしたばかりですが、フォルムは大きく変わっていません。

フォルムは大きく変わっていない2022年式『スーパーカブ110』
フォルムは大きく変わっていない2022年式『スーパーカブ110』

 乗り降りがしやすいアンダーボーンフレームに、コンパクトなエンジンを低い位置に搭載。丸みを帯びた外装を身にまとい、ヘッドライトは伝統の丸目を踏襲しています。

 フルカバードのリアサスペンションやチェーンケースもそのままで、頑丈なリアキャリアはブラック仕上げとなり、質感高くオシャレに見えます。

 スイングアームにタンデムステップがマウントされるのも従来どおりですが、ペグの形状は角型から細長いスティックタイプになりました。

進化ポイントは足まわり

 すぐに「新しくなった!」とわかるとポイントがあります。トラディショナルなワイヤースポーク仕様のホイールが、より剛性の高いY字10本スポークのキャストホイールになり、フロントにディスクブレーキをついに採用。1チャンネルABSを標準装備しているのです。

ワイヤースポーク仕様のホイールからY字10本スポークのキャストホイールに変更
ワイヤースポーク仕様のホイールからY字10本スポークのキャストホイールに変更

 前後サスのスプリングレートと減衰力設定が見直され、タイヤもチューブ式からチューブレスへと進化。また、フロントのウインカーボディが長くなっていたり、ハンドル下に開口部があるなど、細かく違いがあります。

バツグンにいい足つき性

 ライディングポジションは従来と変わらずコンパクト。シート高(738mm)が3mm高くなりましたが、身長175cmの筆者の場合、両足を地面におろしてもカカトまでベッタリ届き、足つき性はバツグンに良いまま。グリップ位置も近く、上半身は起きてリラックスした乗車姿勢です。

シート高(738mm)が3mm高くなりましたが、身長175cmの筆者の場合、両足を地面におろしてもカカトまで届く
シート高(738mm)が3mm高くなりましたが、身長175cmの筆者の場合、両足を地面におろしてもカカトまで届く

 ローギヤ(1速)は相変わらず力強く、荷物満載での登板力や加速性能にたくましさを感じますが、2速からは加速フィーリングが若干穏やかになり、扱いやすい出力特性になっていることがわかります。

 1速をローギヤード化し、2~4速をハイギヤード&ワイド化されたことで頻繁なシフト操作が要らなくなりました。低速が粘り強く、高いギヤのままでもトコトコ走ってくれるので、バイクに乗り慣れていない人もギクシャクせずに走らせることができるでしょう。

2速からは加速フィーリングが若干穏やかになり、扱いやすい出力特性になっている
2速からは加速フィーリングが若干穏やかになり、扱いやすい出力特性になっている

 4段ロータリー式のトランスミッションは、つま先とカカトを使うシーソーペダルで操作ができます。ニュートラルからシフトアップすると1速→2速→3速→4速→ニュートラルへと停止時にのみ戻り、走行中は4速→ニュートラルには入らないよう安全装置が備わっています。

「いま、何速に入っているかわからない」となりがちでしたが、メーターに液晶モニターが組み込まれ、ギアポジションが表示可能となったことは新型の大きな進化ポイントです。

 さらに燃料計や平均燃費もデジタルで示し、たいへん機能的になりました。WMTCモード値67.9km/リッターの驚異的な好燃費をディスプレイで確認しつつ走行できるのは、オーナーの新たな楽しみになるのではないでしょうか。

 シートを開けると給油口が姿を見せる燃料タンクは容量4.1リットル。カタログ値では、278.39kmを走行することが可能となっています。

ロングストローク設計の新作エンジン

 横置きの空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブエンジンは最新の排ガス規制に対応した新作で、50✕55.6mmだったボア・ストロークを47✕63.1mmのロングストローク設計へと見直されています。

C125には備わっていないキックペダルを110では標準装備
C125には備わっていないキックペダルを110では標準装備

 63.1mmのストロークは上級仕様となる『スーパーカブC125』と同じですが、C125には備わっていないキックペダルを110では標準装備し、セル/キック併用を続けました。

 せっかくキックアームが備わっているので、試しに使ってみると、いとも簡単にエンジンが始動します。キックペダルの形状が見直され、ラバーが付いて滑りにくくなったことも報告しておきましょう。

価格は30万2500円!!

 シリーズ累計1億台以上が生産され、ホンダを、いいえ日本を代表するオートバイ、工業製品と言える“スーパーカブ”シリーズ。その最新型もまた信頼を裏切らない完成度の高さです。

大幅リニューアルを行なった『スーパーカブ110』と筆者(青木タカオ)
大幅リニューアルを行なった『スーパーカブ110』と筆者(青木タカオ)

 ニューエンジンを積むだけでなく、キャストホイールを履き、ディスクブレーキを採用。ABS搭載でメーターに液晶画面を備えるなど、今回の大幅リニューアルは大きな出来事であったと、将来振り返ったときも言えそうです。

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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