状況判断に戸惑う? 自転車と「横断歩道」の関係について
歩行者が安全に道路を渡るための「横断歩道」では、自転車は道路を移動する利用者のなかで、道路の状況によって「横断歩道」を渡ることや横切ることもあるという、なんとも判断に困る状況に陥る乗り物です。
自転車だけは、横断歩道を渡ったり横切ったり
なかなか減らない自転車が関わる事故は、警察による取り締まり強化やテレビなどメディアの報道が増えたことで、自転車のマナー違反や危険運転について知ることも多くなりました。しかし、それでもなお事故が減らないのは、自転車に関するルールやマナーがまだまだ認知されていないことも一因と言えるでしょう。走行していれば必ず遭遇する「横断歩道」についてはどうでしょうか。

「横断歩道」とは、交差点や交通量の多い道路で、歩行者が道を渡る(横断する)ことが危険な地点に設置された、舗装路面に白色のペイントで縞模様が描かれているエリアです。
歩行者用の信号機が設置されている場合と、信号機は無く縞模様だけが描かれている場合があります。その名の通り、歩行者が道路を安全に「横断」するための「歩道」です。
基本的にクルマやバイクで走行中に横断歩道を渡ることは無く、歩行者として歩道を歩いている場合、横断歩道を横切ることも無いでしょう。ところが自転車は、道路の状況によって「横断歩道を渡る」こともあれば、「横断歩道を横切る」こともあるという、なんとも判断に困る状況に陥る乗り物です。
自転車で「横断歩道を渡る」
自転車は道路交通法で「軽車両」に分類され、原則としては車道を走る乗り物であり、歩行者のために用意されている横断歩道を渡ることは無いはずです。ただし「普通自転車」(車体の大きさや構造が一定の基準に適合する、他の車両をけん引していない自転車。ママチャリなど一般的に使われる多くの自転車が該当)に限っては、自転車通行可の道路標識がある場合や、運転者が13歳未満もしくは70歳以上の場合、そして車道や交通の状況で安全を確保するためやむを得ない場合に、歩行者に注意して歩道を走行しても良いとされています。

あくまでも「例外的に」ということで、歩行者の通行を妨げるようなことが無いよう注意が必要です。横断歩道に歩行者がいるときなどは自転車から降り、押して渡るものだと考えれば良いでしょう。
なお、横断歩道の横に二重線が引かれ、その間に自転車のマークが描かれている「自転車横断帯」がある場合、自転車は自転車横断帯を使って道路を横断しなければならないとされています。
自転車で「横断歩道を横切る」
クルマやバイクが車道を走行中、横断歩道に近づいたら、明らかに横断する人がいないことが分かる状況以外では、その手前で速度を落として進む必要があり、歩行者が横断しようとしているときは、一時停止して歩行者に道を譲らなければならないというルールがあります。それは自転車も例外ではなく、自転車で車道を走行中に横断歩道に近づいたら速度を落とし、渡ろうとしている人がいたら道を譲らなければいけません。
自転車において、この一時停止して「歩行者に道を譲る」という部分は、意外と見落とされている部分かもしれません。ルールとして知っておくべきなのは言うまでもなく、それ以前に自転車がクルマやバイクと同じ「車両の仲間」であることを、あらためて認識することが重要です。
歩行者の平均速度は時速4km程度と言われ、自転車の平均速度はママチャリでも時速15kmと、約4倍近い速さで走っています。それを理解することで、自ずと歩行者に対する気配りや配慮が生まれるのではないでしょうか。