耐久仕様のマシンとフランスの天気に大苦戦のEWC開幕戦 ル・マン24時間レース前編!レーシングライダー石塚健のレースレポート

国内外で活躍するレーシングライダーの石塚健選手が、FIM世界耐久ロードレース選手権の開幕戦、ル・マン24時間レースに参戦。その様子をレポートしてくれました。

フランスのコロコロと変わる天候に翻弄されたレースウィーク

 皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。

 今回は、4月11日から4月16日に、フランスにあるル・マン ブガッティサーキットで開催されました、FIM 世界耐久ロードレース選手権(EWC)の開幕戦、ル・マン24時間レースに参戦してきましたので、そちらの参戦レポートをしていこうと思います。

 少し長くなりそうなので今回は前編といたします!

スズキ「GSX-R1000R」を駆りル・マン ブガッティサーキットを攻める石塚健選手
スズキ「GSX-R1000R」を駆りル・マン ブガッティサーキットを攻める石塚健選手

 サーキットに入ったのは月曜日の午後。到着しピットの設営やホスピタリティの準備など、チーム員各々が長いレースウィークのスタートに向けて準備を行いました。

 ちなみに今回のレースウィークは、チーム全員がサーキット内に停めたキャンピングカーでの生活。僕自身初めてのサーキット泊な上に、観戦者の一部の人々が、夜通しエンジン音を奏で続けると、事前に聞いていたので、寝られるかどうかという不安がありました。

 そして実際に聞いていた通り、観戦者が一晩中、物凄い爆音を奏で続けているので快適とは言えませんでしたが、個人的にはそれほど気にならずに眠ることができたので、その点は良かったです。とはいっても、寝ても覚めても鳴り響く、観戦者のバイクのエンジン音に、「この人たち、24時間耐久どころじゃない耐久してるじゃん(笑)」と、終始笑えてきてしまう状況です。

 お風呂に関しても、サーキット内のシャワー室で済ます事になりましたが、寒いとう事以外は全然苦ではありません。サーキット泊をしてみた結果、レースウィークの走行前のサーキットとホテルの間の移動時間が省けるので、その点がとてもメリットに感じました。

 もしEWC開催中のル・マンでサーキット泊をするかもしれないと言う人は、念のため耳栓を用意したほうがいいかもしれません。

石塚健選手がレースウィークで寝泊まりしたキャンピングカー
石塚健選手がレースウィークで寝泊まりしたキャンピングカー

 少し脱線してしまいましたが話をレースに戻すと、レース2週間前に行われた公式テストでは、初めて走るサーキット、そして初めてのスズキ車への理解を深める事をメインに、順調に進めていけました。

 しかし、レースウィークからバイクの仕様が耐久レース用へと変更され、その違いに少し戸惑い、思ったようにライディングできず、試行錯誤の連続。

 火曜日から走行が開始となるも、フランス特有の雨が降ったり止んだりの繰り返しという悪天候が続いた上に、4人のライダーで順番に1台のバイクを走らせるので、中々走行時間を確保できない状況が続きます。

「やばい」初日の走行は、テスト時のタイムを更新することができず、約1秒落ち。内心焦りはありましたが、落ち着いてチームと解決策を話し合いました。

チェーントラブルに見舞われ、Q1中にマシンをストップさせる石塚健選手
チェーントラブルに見舞われ、Q1中にマシンをストップさせる石塚健選手

 水曜日は車検や装備のチェック、ブリーフィングが行われて走行は無し。木曜日には午前中に2時間のフリープラクティスがあり、午後から予選Q1が行われました。予選は、ライダー3人がそれぞれ20分間の予選Q1,Q2と2回タイムアタックし、そのベストタイムの平均でグリッドが決まります。

 自分は、Q1セッション開始直後に局地的な雨が降り出し一時ピットイン、様子を見て再びコースインした2周目にチェーンが切れるトラブルが発生し、その場でマシンがストップ。アタックをする事ができないまま、Q1が終了となってしまいます。

ピットウォークでフランスのファンと触れ合う石塚健選手
ピットウォークでフランスのファンと触れ合う石塚健選手

 翌日のQ2は、朝から大粒の雨が降るフルウエットコンディション。路面状況を見ながらチームと相談し、ギリギリドライで走ることができた前日のタイムを更新する事が不可能との判断で、走行をキャンセルする事になりました。

 予選結果は全54チーム中総合30位、スーパーストッククラス15位です。予選後にはピットウォークが行われ、大勢のフランスファンと交流することができました。

 そして翌日は、いよいよ決勝レースがスタート!と、前編はここまでにしておきます。

 次回の後編は、決勝レースの模様をお伝えしていきますので、楽しみにしていてください。

石塚 健 / Takeshi Ishizuka

【画像】世界耐久ロードレース選手権の開幕戦でル・マンサーキットを走る石塚健選手を画像で見る

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Writer: 石塚健

(レーシングライダー)埼玉県出身の27歳。3歳からポケットバイクに乗り始め、ロードレースというオートバイ競技に参戦。現在は世界各国で活躍できるライダーを目指して日々、活動中。
2019年から、ヨーロッパでおこなわれる「FIM CEV REPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」への挑戦を開始。2023年は、「FIM EWC 世界耐久ロードレース選手権」にフランスのJMA RACING TEAMより参戦します。スポンサー募集中!応援よろしくお願いします。

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