スーパーカブエンジン2000km/リッター超え!? エコマイレッジチャレンジなら当たり前!!
競うのでは速さではありません。マシンの燃費性能です。1リッターのガソリンでどれだけの距離を走行できるか? これに情熱を燃やす、学校の先生と生徒たち、そして社会人チーム。本田宗一郎杯Honda エコ マイレッジ チャレンジが静かな盛り上がりを見せました!!
英知を結集し燃費の限界にチャレンジ!
しっ、信じられません! たった1リットルのガソリンで、なんと2,451.870kmもの走行距離を記録!! いったい、どれほど燃費が良いのだ。
エンジンはスーパーカブが搭載するホンダ4ストローク50ccがベース。本田技研工業の主催による『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』の決勝が9月10日(日)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)にて開かれ、そこで「水曜クラブ」によって叩き出された記録です!!

「1リッターのガソリンで、どれくらい走れるのか?」をテーマに、燃費の限界にチャレンジするこの競技会は、創造力を駆使し、挑戦する科学のモータースポーツ。学校や気の合う仲間たちと、1チーム5名(2人乗りクラスは6人)で力を合わせて挑みます。
各チームはマシンの設計や形状、走り方など、ありとあらゆる要素の効率化を追求し、燃費性能の極限を目指します。

空気抵抗を減らすため、フルカバーされた車体の中にドライバーが寝そべった姿勢で乗り込む。ほとんどのチームがこのスタイルを採用し、小柄で体重の軽い人をドライバーに起用しますが、この日の気温は35度にも迫る酷暑。もちろん、エアコンなどありません。体力的にもかなりハードです。
第1回大会は、1981年に鈴鹿サーキットで開催されました。以来、全国各地の中学校や高等学校、高専、専門学校、大学や社会人のチームが毎年多数参加し、今年は計217チームがエントリー。クラスごとに分かれて、静かな熱戦が繰り広げられたのでした。
エンジンを切るか、そのまま走るか!?
厳格なルールがあり公平性を保ちますが、簡単にいうとモビリティリゾートもてぎのオーバルコースを規定時間内に平均速度25km/h以上で7周(16,389.68メートル)走り、ガソリンの消費量を計測し、燃費を算出します。

決勝レース用のガソリンは大会運営から公式燃料をタンクごと供給され、すべてのチームが同じ条件となるよう決勝レース直前にも燃料の残量チェックや微調整が行われます。
走行中にもエンジンを停止させて、なるべく惰性で進んだりするなど、普通のレースのように決してアクセル全開なんてことはしません。マシンづくりも重要ですが、各チームで綿密な戦略が練られ、勝負の行方を左右します。

各チームに聞いて回ると、エンジンを途中で停止させ「燃料を節約する」というチームもあれば、「再始動時にガソリンを余計に使ってしまう」とエンジンは停止しないチームもあるなど作戦はさまざま。規定速度があるので、アクセルワークも重要。どこでアクセルを開けるか、パソコンのデータなどを見ながらピットからドライバーへ、細かく指示を送るチームもあります。
コースサイドで見ていると、タイヤの転がる音や風切音さえもほとんどしません。音がするということは、それは抵抗となっている証拠。無音のまま、いたって静かにマシンは通り過ぎていくのです。高度な車体設計がされていることがわかるのでした。
連覇を達成するチームが続出!
6月3日もてぎ大会(モビリティリゾートもてぎ)、6月10日鈴鹿大会(鈴鹿サーキット)、8月5-6日九州大会(HSR九州)と続き、9月9-10日にこの全国大会(モビリティリゾートもてぎ)となりました。

中学生クラスである「グループI」には16チームがエントリーし、東京都の「あきる野市立東中学校Team-A」が、808.630km/Lを好成績を収め優勝しました。
2位も545.347 km/Lの記録で「あきる野市立東中学校Team-B」が続き、さらに3位まで上位を独占するという圧倒的強さを見せつけます。

全クラスで最も多い83台がエントリーした「グループII」は高校生のクラス。2,105.226 km/Lの記録で優勝したのが「千葉県立下総高等学校自動車部B」、1,744.330 km/Lで2位だったのは「千葉県立下総高等学校自動車部A」で、千葉県立下総高等学校が1位と2位で入賞し、大会7連覇を達成しました。

「グループIII」の大学・短大・高専・専門学校生クラスは43チームで競われ、「八戸高専自動車工学部NP号Ⅳ」が1,585.755 km/Lで優勝し、大会2連覇となりました。「KIT夢考房Welt」が1,443.299 km/Lで2位に続いています。
「グループI/II」はチームマネージャーの教員と生徒たちのチームですが、「グループIII」ではチームマネージャーは教員または満18歳以上の学生とします。

そして一般クラスで「水曜クラブ」が2,451.870 km/Lの記録で優勝。大会2連覇という強さです。2,384.826 km/Lの記録で「富士エコラン・チーム白糸」が2位に入りました。

エンジンを唯一、Honda4ストローク50cc以上150cc以下とする「ニューチャレンジクラス」は、1,535.888 km/Lを記録した「栃木県立矢板高等学校 OB」が優勝。こちらも大会2連覇です。
本田宗一郎の意志を継ぐ
二輪車クラスは「Little Cubs」が294.424km/Lの記録で優勝を果たしました。

このクラスの過去最高記録541.481km/Lも「Little Cubs」が保持。二輪車クラスと2人乗りクラスのみ、3周(6,856.72メートル)でおこなわれます。
2位は237.262km/Lだった「Super Cub’s+水戸藩」、3位には「長野高専BKB」が233.574km/Lの記録で入りました。
過去最高はリッター3644km!
これまでの最高記録は2011年、ツインリンクもてぎでの3,644.869kmで、モビリティリゾートもてぎからベトナム・ハロンまでの距離に相当するというから驚愕です。
Honda二輪車正規取扱店では『Honda エコ マイレッジ チャレンジ』に使用する目的に限り、50ccエンジンを販売しています。C50エンジン(PGM-FI仕様)、スロットルバルブASSY、ACジェネレーター、スターティングモーターがセットになり、メーカー希望小売価格7万7000円です。
こうしたチェンレンジの場をつくるホンダ、さすがとしか言いようがありません!!

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。















