兵士、英雄、皇帝、そして独裁者へ

　かつて“戦争の天才”と謳われたナポレオン・ボナパルトの半生を、巨匠リドリー・スコットが映画化。主演に『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスを迎え、弱小貴族から皇帝にまで昇りつめたナポレオンの激動の数十年を怒涛の勢いで描きます。

——1789年。自由、平等を求めた市民によって始まったフランス革命。マリー・アントワネットは斬首刑に処され、国内の混乱が続く中、天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り、皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛けていきます。冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を勢力下に収めていくナポレオンですが、フランスを＜守る＞ための戦いが、いつしか侵略、そして＜征服＞へと向かってゆき……。

　リドリー・スコット監督とホアキンは、アカデミー賞5部門制覇の『グラディエーター』（2001年）以来、23年ぶりの再ダッグ。そしてナポレオンの妻ジョゼフィーヌ役に『ミッション：インポッシブル／デッドレコニング PART ONE』のホワイト・ウィドウ役を演じたヴァネッサ・カービー。脚本は『ゲティ家の身代金』でもスコット監督とタッグを組んだデヴィッド・スカルパなど、超一流のキャストとフィルムメイカーが集結しました。

　アメコミ界の名悪役ジョーカーをはじめ様々な役柄を演じてきたホアキンですが、ポール・トーマス・アンダーソン監督による傑作『ザ・マスター』（2012年）では、BSAのM20にノートンのタンクを乗せたカスタムバイクに乗る姿を見ることができます。実際には意味をなさない撮影用のフェイクパーツも用いられているようで、PTA監督らしいこだわりも感じられます。

　なお余談ですが、先日フランス・パリで行われた某オークションでは、ナポレオンが所有していたとされる二角帽子が193万2000ユーロ（約3億1600万円）で落札されたそうです。

『ナポレオン』は2023年12月1日（金）より全国ロードショー中です。