150cc水素エンジンが生む電気で4脚を駆動 川崎重工のコンセプト「CORLEO(コルレオ)」登場 どうやって乗るの? 見てきた

いよいよ4月13日に開幕する「大阪・関西万博」に向けて、川崎重工グループは人間が乗車して運転する4本脚の乗りもの「CORLEO(コルレオ)」を発表しました。

4脚で操る楽しみ、技術力で人馬一体を実現

 いよいよ4月13日に開幕する「大阪・関西万博」(2025年日本国際博覧会・EXPO2025)に向けて、川崎重工グループは人間が乗車して運転する4本脚の乗りもの「CORLEO(コルレオ)」を発表しました。

川崎重工が公開したコンセプトモデル「CORLEO」。乗車時はしゃがんでくれるという(写真:小林ゆき)
川崎重工が公開したコンセプトモデル「CORLEO」。乗車時はしゃがんでくれるという(写真:小林ゆき)

 ラテン語で「獅子(ライオン)の心臓」の意味を持つCORLEOの命名通り、その姿は4本脚の動物のような形で、手綱(たづな)のようなハンドルと鐙(あぶみ)のようなステップで左右前後とスピードをコントロールして運転するというパーソナルモビリティです。

 CORLEOは2050年の実用化を見据えて開発したコンセプトモデルで、日立製作所やKDDI、クボタ、神戸製鋼所、日本特殊陶業など国内15社が共同で展開する「未来社会ショーケース・フューチャーライフ万博」(略称「未来の都市」)にて展示されます。

 ショーケース会場は万博会場の西ゲート側(木製の大屋根リングの外側)で、川崎重工業本社のある神戸を望む「フューチャーライフゾーン」に位置しています。

 川崎重工グループは、モーターサイクルだけでなく航空宇宙・ロボット・船舶・ガスタービンやガスエンジンなど多角的な事業を有する企業です。CORLEOは川崎重工グループ全社から有志を募り、2年前からプロジェクトが始まったとのこと。

 社内のさまざまな技術を結集したとのことですが、そこはやはり「カワサキ」。そこここにモーターサイクルのイメージが見てとれます。

 動力はモーターサイクル用水素エンジンやゼネレーター、インバーターなどを組み合わせた排気量150ccの発電用水素エンジン「O’CUVOID」を搭載。後方に搭載するキャニスターから水素を供給し、発電された電気を利用して4脚に搭載したパワーユニットで駆動します。

 腰部分にはスーパーチャージャーエンジンを積んだモーターサイクル「Ninja H2」と同じ「H2」のロゴが掲示されています。

 サスペンション機能は後脚部分が前脚部とは別に動くスイングアームによって歩行や走行時の衝撃を吸収する仕組みで、肩や大腿骨にあたる部分は動物と同じく前後方向だけでなく左右方向にも動き、左右方向への操舵に対応します。

正面から見た姿もまた動物のようだが、モーターサイクルや新幹線の要素も感じるデザインだ(写真:小林ゆき)
正面から見た姿もまた動物のようだが、モーターサイクルや新幹線の要素も感じるデザインだ(写真:小林ゆき)

 ライダーはバイクのようにまたがって乗車し、乗馬のように手綱型のハンドルと鐙型のステップを使って重心移動によってマシンを操作します。シートはオフロードバイクの形そのものです。

 気になる(?)シート高はおよそ1500mm程度と思われます。一般的なモーターサイクルが800mm前後であることを考えると、足つきは厳しいというより不可能です。

 どうやって乗り込むのか気になり、デザインを担当したケイテック福本圭志氏に伺うと「乗車時はCORLEOがしゃがんでくれる」とのこと。ロボティクスを融合させた乗りものならではの機能が搭載されるのですね。

 今回の展示ではCORLEOが脚を伸ばして立っている姿と、脚を曲げてしゃがんだ姿勢を見ることができます。

「移動本能」を出展テーマに掲げたCORLEOは、4本脚の乗りものだからこそ実現可能なオフロード、山岳での走破性能を持ち合わせます。

 イメージモデルである山岳ランナーの第一人者で富士山を1日で4度登山するギネス世界記録保持者、上田瑠偉さんは「思ったより大きいが、マラソンランナーの倍くらいある自分の太股と同じくCORLEOの脚も太く安定感がありそう。娘と安全に山を楽しめそうですね」と語りました。

 プロジェクトを統括した川崎重工業執行役員の鳥居敬氏は「2050年に向けてこういった乗りものが実現できれば」と抱負を述べました。

 CORLEOに搭載されている技術のうち、水素エンジンO’CUVOIDはすでに研究開発が始まっており、その他もひとつひとつは実現可能な技術ばかり。

 実用化に向けては、人間が乗車しての出力やブレーキのコントロールの技術と、新たなる乗りものとしてのパーソナルモビリティに対する法律整備が必要です。

 果たして2050年までにCORLEOが街や山を駆け回る姿を見ることができるのか。

 CORLEOの隣には、カワサキの陸・海・空のモビリティ技術を結集させた、自由で快適に移動を楽しむことができる箱型のモビリティシステム「ALICE SYSTEM」も展示されます。

※ ※ ※

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・夢洲(ゆめしま)で開催される「EXPO 2025 大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)から10月13日(月)までの開催です。

【画像】まるでマンガの世界!? 4脚駆動の「CORLEO」いったいどんな仕組みで動く? 画像で見る(26枚)

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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