英国カフェレーサー文化から生まれた「ロケットカウル」 その特徴と歴史とは?

そもそも、「ロケットカウル」をつけるのはなぜなのでしょうか。また、改造車として違反とみなされることはないのでしょうか。

「ロケットカウル」とは何か その歴史と実用性

「ロケットカウル」とは、前方へ伸びる流線形の大型フロントカウルのことです。

 小型の「ビキニカウル」とは異なり、ハンドルまわりだけでなくタンク部まで覆うため存在感が際立ちます。

レーシングマシンからフィードバックしたロケットカウルを装備するドゥカティ900SS(1975年)
レーシングマシンからフィードバックしたロケットカウルを装備するドゥカティ900SS(1975年)

 その起源といわれているのは、1960年代の英国カフェレーサー文化にあります。

 当時は、市販車に競技用パーツを移植することで、深夜の幹線道路で少しでも速く走ることを目指すライダーたちがいました。

 そこで、レースマシンの空力部品を真似て作り、装着されたものが「ロケットカウル」といわれ、風圧を抑えて最高速を伸ばす実用パーツとして採用されたものとされています。

 1970年代には、ドゥカティ「750SS」の量産スポーツモデルにも採用され、走行性能とクラシカルな美観を兼ね備えた象徴的装備となりました。

 日本では、暴走族が乗っているバイクに用いていることが多く見られるため、「違法改造」のイメージを抱く方も少なくありません。

 しかし、本来の「ロケットカウル」は、速さと快適性を追求するための合理的な装備です。

 近年では、トライアンフ「スピードトリプル1200RR」やホンダ「HAWK 11」など、メーカー純正で「ロケットカウル」風のモデルが登場して、合法かつ高品位なスタイルとして再評価されているようです。

現代的に解釈したロケットカウルを装着するトライアンフ「スピードトリプル1200RR」
現代的に解釈したロケットカウルを装着するトライアンフ「スピードトリプル1200RR」

「ロケットカウル」装着で何が変わる?交通違反になることはない?

 ロケットカウルを装着するメリットとしてあげられるのは防風性能です。

 胸元や腕に当たる走行風を大幅に減らせるため、高速巡航や寒冷期のツーリングでは体温低下と疲労を抑制できます。

 それに加えて、雨天時の上半身への水滴付着を軽減できる点も見逃せません。

 さらに、流麗なシルエットが与える視覚効果も大きな魅力です。

 一方では、転倒時の修理費が高くつきやすいこと、整備の際にカウルの脱着が必要となることがデメリットといえるでしょう。

 また、装着時に気を付けておきたいのが法規制です。

 道路運送車両法における「ロケットカウル」の扱いは、基本的に車体の寸法規定に適合するかどうかが重要であるとされています。

 そのため、車体寸法が車検証の記載値から長さ3センチ、幅2センチ、高さ4センチ以内の変更であれば構造変更届は不要と定めています。

 また、「ロケットカウル」の固定がしっかりおこなわれているかや、スクリーンの透過率が25%以上で前方視界を妨げなければ車検に通ると言われています。

 つまり、寸法を大幅に超過させたり、視界を著しく阻害したりしない限り違法にはなりません。

 暴走族仕様の極端な跳ね上げカウルが、不適合とみなされるのは、あくまで車体寸法の逸脱や視界不良が原因であって、ロケットカウルそのものが違法というわけではありません。

 現在、市販されているアフターパーツには、ABS樹脂や繊維強化プラスチック、カーボン製などの素材でつくられており、フルカウルタイプやハーフカウルタイプ、シングルライト用、デュアルライト用などがありバリエーションも豊富です。

 装着目的が長距離ツーリングなのか、あるいはクラシカルな外観を演出したいのかによって選択肢が変わるため、カスタマイズに幅が出て楽しいかもしれません。

 また、純正車と同等の寸法に収まる製品を選び、規定トルクで確実に取り付けることで、合法的かつ実用的なカスタムになるように気をつけることが大切です。

※ ※ ※

 ロケットカウルは、速さを追い求める若者たちの間から生まれ、多方面で用いられています。

 さらに、「ロケットカウル」が魅せるクラシカルな曲線美は、現代の量産モデルにも反映され、復権しています。

 正しい知識と法令順守のうえで導入すれば、走行性能の向上と独特の存在感を同時に手に入れることができます。

 現代のモーターサイクル文化において、「ロケットカウル」は、過去と現在をつなぐ架け橋といえるでしょう。

【画像】上品でスポーティ!! ロケットカウルを装着したモデルを画像で見る(6枚)

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