「このバイク、どんな未来を見ているんだろう」カワサキとヤマハ 2台の「水素エンジンバイク」の魅力に迫る!! ~高梨はづきのきおくきろく。~

毎月「8」がつく日は『高梨はづきのきおくきろく。』です。今回は、「Japan Mobility Show 2025」で出会った「水素エンジンのバイク」についてお届けします。

エンジンの未来は、ひとつじゃない!!

 皆さんこんにちは、バイク女子の高梨はづきです!

 本日の「きおくきろく。」は、「Japan Mobility Show 2025」(一般公開日:2025年10月31日~11月9日)で取材した2台の「水素エンジンバイク」についてお届けしていくよ!

 水素は「環境」や「カーボンニュートラル」と一緒に語られることが多い言葉。でも、会場で目の前にした2台は、そうした言葉だけでは収まらない存在だったんだ。

 数字や理屈よりも先に、「このバイク、どんな未来を見ているんだろう」そんな問いが、自然と浮かんできた。

 まず足を止めたのは、カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」。

カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」と、バイク女子の高梨はづきさん
カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」と、バイク女子の高梨はづきさん

 このバイクが選んだ道は、電気モーターではなくレシプロエンジン。つまり、私たちが知っている「エンジン」を、そのまま未来へ持っていくという選択だった。

 燃料は水素で、排出されるのは基本的に水。ただし潤滑のためにエンジンオイルを使っているので、完全なゼロエミッション(走行時にCO2などを排出しないという考え方)ではない。

 それでも燃料が燃えて、マフラーを通って、音が出る。鼓動感も、排気音も、フィーリングも、ガソリン車とほぼ同じ。EVのような静かでスムーズな世界とは、あえて違う方向を向いている。

「バイクって、こうだよね」

 そう思わせてくれる感覚を、ちゃんと未来につなごうとしている姿勢が、とてもカワサキらしく感じられた。

 ここで私が強く感じたのは、カワサキが「技術の正解」よりも「バイクの文脈」を守ろうとしていること。

エンジンは「Ninja H2」の排気量998ccの直列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースに、水素燃料の筒内直接噴射(直噴)仕様に改良したもの
エンジンは「Ninja H2」の排気量998ccの直列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースに、水素燃料の筒内直接噴射(直噴)仕様に改良したもの

 水素という新しい燃料を使いながら、それでもエンジンの音や鼓動を消さない。それは効率や合理性だけを考えれば、遠回りに見える選択かもしれない。

 でも、スロットルを開けたとき、体に伝わる振動、耳に残る排気音など、そういう感情に訴える要素を「未来だから不要」と切り捨てなかった。その不器用さこそが、私の知っているカワサキだった。

 エンジンは「Ninja」系を転用。水素燃焼の特性上、出力が落ちやすい部分についてはスーパーチャージャーを採用することで補っている。力任せではなく、理屈と思想が通っているところも印象的だったな。

 一方で、課題もはっきりしている。それが、水素タンクの大きさと重さ。

 高圧ガスを扱う以上、現状ではどうしてもボリュームが出てしまう。市販化のロードマップも、まだ未定。このバイクは、あくまで研究開発段階にあるの。

 それでも、エンジンの未来を諦めていない。その意思だけは、はっきりと伝わってきたよ!

 次に取材したのは、ヤマハの水素エンジンコンセプト「H2 Buddy Porter Concept」。正直、最初に目に入ったのは技術よりも「顔がかわいい!」という印象だった。

ヤマハの「H2 Buddy Porter Concept」と、バイク女子の高梨はづきさん
ヤマハの「H2 Buddy Porter Concept」と、バイク女子の高梨はづきさん

 ライトの表情がやさしくて、水素バイクと聞いて想像していたゴツさや重たさがほとんどない。

 ヤマハの125ccクラスの車両をベースに水素タンクを搭載したコンセプトモデルで、排気量はベース車と同等。足つき、シート、ハンドル幅も基本はそのまま。スペック的な違和感はほとんど感じなかった。

 ヤマハが想定している使い方は、個人所有よりも商用・業務用途。だからこそ、このバイクのデザインコンセプトは「人と同じ空間で働く相棒」なんだね。

 もしこのバイクが、配達で街を走っていたら……企業の敷地内を静かに移動していたら……と想像してみると、そのときに「怖い」「重そう」「近寄りがたい」そう思われた時点でもう成立しないんだよね。

 ヤマハは、水素バイクをまず「街の風景」として成立させようとしていたよ。

 燃料タンクを隠さず、なじませるという考え方なんだけど、水素バイクの大きな課題は、やはりタンク。このモデルには、トヨタと共同開発した小型高圧水素タンクが4本搭載されている。

 見た目は、まるでボンベのよう。それでも生々しさを感じさせないのは、全体のシルエットや色使いでうまくデザインに溶け込ませているからだ。

 充填はタンクを1本ずつ取り外す方式ではなく、車体に搭載したまま行う。その関係でシート高はやや上がっているものの、今後の実証実験で改善していく段階だという。

「まずは使ってみて、課題を洗い出す」

 そんな姿勢が、このバイク全体から伝わってきた。

 カラーリングも印象的で、白を基調に、水素エンジン開発で使われてきたブルーとオレンジをアクセントに配置。これまでヤマハが発表してきた水素エンジン搭載のゴルフカーや4輪バギーとも、ちゃんと世界観がつながっている。クリーンで、やさしくて、公共の場に置いても違和感がない。

 水素を「特別な技術」にしない。そんな考え方が、デザインから静かに伝わってきた。同じ水素でも、見えている未来は少し違った!

トヨタ自動車が新規開発した、バイクへの搭載に適した小型の高圧水素タンク
トヨタ自動車が新規開発した、バイクへの搭載に適した小型の高圧水素タンク

 カワサキとヤマハ、2社の水素エンジンバイクを取材して、正直、かなりワクワクした。

 同じ「水素エンジン」という言葉なのに、目の前にあった2台は、見ている方向がちゃんと違っていたから。

 カワサキの水素エンジンは、私たちが知っているエンジンの延長線上にある。鼓動感、排気音、走りのフィーリング。

「これがなくなったら、バイクじゃないよね」

 そんな気持ちを、きちんと受け止めたうえで未来につなごうとしている。

 一方でヤマハは、水素バイクを街の風景の一部としてどう成立させるかをとても丁寧に考えているように見えた。

 近くで見ても、向かってきても、どこかやさしい顔つき。「一緒に働く相棒」という言葉が、スッと腑に落ちた。

 水素エンジンは、まだ答えではない。課題も多く、市販化もインフラもこれから。

 それでも、こうして形にして人の前に出して、ちゃんと説明してくれる。その姿勢自体が、今のバイク業界にとってすごく大切なことなんじゃないかと思った。

 エンジンの未来は、ひとつじゃない。どちらが正解、という話でもない。取材していて感じたのは、水素エンジンという技術が、すでに「性能」や「数値」だけの話ではなくなっているということだった。

 走りで語るカワサキ。佇まいで語るヤマハ。

 同じ未来を目指しながら、こんなにも違うアプローチがあることが、純粋にバイクって面白いなと思えたよ!

 電動化だけが答えじゃない。エンジンの鼓動も、音も、存在感も、まだ終わらせないための選択肢としての水素。モビリティショーで出会った2台は、そんな未来への分かれ道を、少しだけ先に見せてくれた存在だったよ!

 ということで本日はここまで! また「8」のつく日にお会いしましょ~♪

【画像】これが水素エンジンのバイクです!! カワサキとヤマハが開発したコンセプトモデルを画像で見る(10枚)

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Writer: 高梨はづき/hapi

(役者/YouTuber)17歳で普通自動二輪免許取得し、当時の愛車はホンダCB400T。声優を目指して専門学校に入学後、勉学に専念するため同車を手放し一時バイクを離れる。2020年3月にカワサキ・エストレヤを購入し、数年ぶりにバイクの世界にリターン。声優活動を経て、現在は舞台役者・バイカーモデルとして活動中。同時に"hapi"名義でYouTubeチャンネルを開設、自身のバイクライフをマイペースに投稿してます!チャンネル登録お願いします!!

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